Oh My God!人材派遣スタートアップには苦難の道が!人材派遣会社立ち上げシミュレーション

こんにちは。人材ビジネスアナリスト(自称)のINST石野です。

人材ビジネスに関するブログを書いていて、「あの人何の人なの?」と思われる方も多いと思うので、以前も書いたのですが、改めて書かせていただくと

・BtoCコミュニケーションを解決するツールの開発販売を行っている株式会社INSTの代表(人材ビジネスの顧客中心に40社程の導入実績あり)

・インテリジェンス新卒入社→人材紹介/人事コンサルのセレブレイン→モバイルベンチャー→起業(人材7年、IT/モバイル3年)

・見た目は体育会系、でも実は意外と理系で工学部卒

こんな感じです。

さて、前回書いた人材紹介会社立ち上げに続いて人材派遣会社立ち上げについてのシミュレーションです。

 

<人材派遣事業を立ち上げるには>

一般社団法人日本人材派遣協会によると、許認可が必要と書いてあります。これは人材紹介と一緒ですね。でもこのページに手続きについて書いてあると思ったら、どうやらリンク切れなのか、ページのコンテンツ不足なのか、すべてを見ることができません。

人材派遣 許認可などでググってみると社会保険労務士法人ALL ROUND様のページによくまとまっていましたので引用させていただきます。※担当者様、不都合ございましたらご連絡ください。

1.財産(資産・現預金)に関する要件
基準資産額≧2,000万円×事業所数
基準資産額≧負債÷7
自己名義現金預金額≧1,500万円×事業所数
財産的基礎に関する判断(事業主(法人又は個人)単位で判断)されます。

*詳細は以下の通りです。

イ.資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が2,000万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
厚生労働省令により提出することとなる貸借対照表又は一般労働者派遣事業計画書(様式第3号)の「7 資産等の状況」欄により確認する。
「繰延資産」とは、会社計算規則第106条第3項第5号に規定する繰延資産をいい、「営業権」とは、無形固定資産の一つである会社計算規則第2編第2章第2節の「のれん」をいう。
ロ.イ.の基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること。
ハ.事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
厚生労働省令により提出することとなる貸借対照表又は一般労働者派遣事業計画書(様式第3号)の「7 資産等の状況」欄により確認する。
ニ.基準資産額又は自己名義の現金・預金の額が増加する旨の申し立てがあったときは、公認会計士又は監査法人による監査証明を受けた中間決算又は月次決算による場合に限り、基準資産額、負債の総額及び自己名義の現金・預金の額のいずれについても当該中間決算又は月次決算により確認するものとする。

→事業所が1つでも2000万円以上の資産、個人事業主の場合は1500万円以上が必要ということらしいです。しかも負債(借金)の7倍以上の資産が無いといけないということは結構厳しそうな感じもします。人材紹介は500万円で良かったので、ここで1つハードルが上がりました。

※でもこの資本金の額は後々のシミュレーションで納得の額ということがわかります。
2.事務所(広さ・所在地)に関する要件
事業所について、事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あるほか、その位置、設備等からみて、一般労働者派遣事業を行うのに適切であること。

*当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)で規制する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないこと。
事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あること。

→この辺は人材紹介と一緒ですね。オフィスの面積は紹介シミュレーション同様に20㎡でいきたいと思います。

3.派遣元責任者に関する要件
派遣元責任者として雇用管理を適正に行い得る者が、所定の要件及び手続に従って適切に選任、配置されていること。

*当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。

法第36条の規定により、未成年者でなく、法第6条第1号から第4号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
則第29条で定める要件、手続に従って派遣元責任者の選任がなされていること。
住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であること。
不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと。
次のいずれかに該当する者であること。
成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
この場合において、「雇用管理の経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主(法人の場合はその役員)、支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む。)であったと評価できること、又は労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者(法施行前のいわゆる業務処理請負業における派遣的労働者の労務の担当者を含む。)であったことをいう。

成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者
職業安定局長に開催を申し出た者が実施する「派遣元責任者講習」を受講(許可の申請の受理の日前3年以内の受講に限る。)した者であること。
外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(以下「入管法」という。)別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
派遣元責任者が苦情処理等の場合に、日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行うものであること。

→派遣元責任者は講習を受講するのが必須であるようです。派遣元責任者講習は9000円くらいで受けられるようです。なんとこの記事を書いている現時点で10月1回目の東京の会場は220名のキャパがキャンセル待ち。すごい人気なんですね。調べてみたところ、新規の許認可は3年、その後の更新は5年毎にあるようです。ふむふむ。

その他、3年以上の雇用管理の経験なので、学生ベンチャーとしての立ち上げは不可。あとは生活の根拠が不安定でなく他人の精神・肉体を拘束する恐れがないことなどがあります。ソクバッキーはダメなんでしょうねw

4.派遣元事業主に関する要件
派遣元事業主(法人の場合はその役員を含む。)が派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待し得るものであること。

*当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。

労働保険、社会保険の適用等派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれるものであること。
住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
派遣元事業主となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。
外国人にあっては、原則として、入管法別表第一の二の表の「投資・経営」若しくは別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者、又は資格外活動の許可を受けて派遣元事業主としての活動を行う者であること。
なお、海外に在留する派遣元事業主については、この限りではない。

→法人にもいろいろと要求されます。この辺は個人と同じなので割愛。

5.教育訓練に関する要件
派遣労働者に係る教育訓練に関する計画が適切に策定されていること。
教育訓練を行うに適した施設、設備等が整備され、教育訓練の実施について責任者が配置される等能力開発体制の整備がなされていること。
派遣労働者に受講を義務付けた教育訓練について費用を徴収するものでないこと。

→派遣労働者に教育訓練を施さないといけないことと、受講を義務付けた訓練に関しては費用を徴収してはいけない、とあります。なのでPC研修3ヶ月が必須で1ヶ月10万円かかります。とかはできないということですね。ふむふむ。

6.欠格事由
次のいずれかに該当する者(法人であれば役員)がある場合

禁固以上の刑に処せられ、又は労働法関係やその他の法律に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過していない者
成年被後見人、被保佐人又は破産者
法第14条第1項(第1号を除く。)の規定により、個人事業主として受けていた一般労働者派遣事業の許可を取り消され、当該許可の取消しの日から起算して5年を経過していない者
一般労働者派遣事業について法定代理人から営業の許可を受けていない未成年者であって、その法定代理人が上記イ、ロ又はハのいずれかに該当する者
未成年者とは、満年齢が20歳に満たない者をいう(民法第3条)。
なお、婚姻した未成年者については、未成年者としては取り扱わない(同法第753条)。
未成年者の法定代理人は、通常その父母である(民法第818条)が、場合によっては(同法第838条)、後見人が選任されている場合がある。
未成年者であっても、その法定代理人から一般労働者派遣事業につき民法第6条第1項の規定に基づく営業の許可を受けている者については、この要件につき判断する必要がない。

→役員が前科者だとダメだそうです。また、許認可を以前受けていたけど取り消しになって5年未満とかでも駄目だそうです。派遣は厳しいですね。

ここまでまとめますと、法人としてやるためには

・資本金2000万以上(借金300万円以内)

・派遣元責任者講習受講(9000円くらい)

・役員が前科持ちではだめ

ということが最低ラインでありそうです。また、上記の条件を揃えて、厚生労働大臣に申請をし、2~3ヶ月で認可が降りて初めて人材派遣事業がスタートできます。

<イニシャル費用>

イニシャルの費用は人材紹介シミュレーションでやったように100万円くらい

<ランニング費用>

ランニング費用も同様に3万円/月、募集広告が20万円、オフィス賃料が10万円で計算します。

 

<収益面>

これが結構クセモノです。人材紹介は月1名決めるとなんとかやっていけそうだな、とそろばん弾けるのですが、人材派遣はどのくらいの派遣雇用を成立させると一人前なのかがさっぱりです。そこで、某人材系企業で派遣営業一筋10年の知人に聞いてみたところ

・新規入職は2~3名/月あればまあまあ

・1人の営業でフォローできるのは150名くらいまででギリギリ

かなと言われましたので、それを元にシミュレーションします。また、紹介の場合は年収400万円の人を毎月1名決定でシミュレーションしましたが、派遣の場合は300万円で行いたいと思います。年収300万円→月給25万円は事務派遣としてはまあまあのレベルではないでしょうか。この辺はおかしいかどうかもわからないので、ご意見いただけると嬉しいです。

以前、人材紹介と派遣を比較した時に人材派遣業では大体25%を給料に上乗せして、派遣先企業に請求するということですしたので、300万円×1.25=375万円、月ベースで31.25万円が売り上がります

31.25万円から当然25万円は派遣社員の方に払うので、残りは6.25万円/月。

ここから社会保険料と交通費を支払います。派遣会社は派遣社員を自社雇用していますので、社会保険料を払わなくては行けないんですね。

保険料には厚生年金、健康保険、雇用保険が発生します。給与明細みて皆さん「保険料ってめっちゃたけーよなー」と思っていることと思いますが、会社も同じ額かそれ以上負担してるんですよ。

それぞれの会社負担額は(厚生年金、健康保険に関してはこちらを、雇用保険に関してはこちらで算出しました。)

・厚生年金:21,394円/月→同額を個人も負担する

・健康保険:11,964円/月→同額を個人も負担する(介護保険は割愛してみました)

・雇用保険:2,125円/月→個人の負担は1,250円(分担割合が決まっています)

交通費が1万円だとすると、

6.25-(3.55※保険料合算)-1=1.7万円/月。これが粗利ですね。粗利率はなんと5.44%!

紹介に比べるとなんと低い利益率なんでしょう。これで新規入職が3名/月、一応退職はせず、ずっと働き続けるとしてシミュレーションしてみますと。。。

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Oh my god!単月黒字になるのは設立9ヶ月、営業開始から7ヶ月もかかります。

人材紹介は初月から単黒になったので偉い違いです。キャッシュも1年間営業して最大で-250万円程度凹みます。なので、資本金をたくさん用意しておけよ、ということなんでしょうね。厚生労働省意外と優しいかも。

毎月の売上はかなり厳しいですね。紹介だったら3ヶ月目くらいから役員報酬もらえると思いますが、派遣だと1年くらいは無報酬でやる覚悟が必要そうです。

ここまでだと、人材派遣は新規立ち上げが困難なビジネスなように思えますが、紹介と比較して、同じペースで2年間営業をした時の売上のグラフがこちらです。

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おー!紹介にはまだ追いつけませんが、コツコツ頑張っていってどんどん売上が上がります。派遣した人がやめていないので当たり前なのですが、紹介はショット型、派遣はストック型のビジネスモデルですので。このグラフを見るとわかりますが、いずれのビジネスも加速度成長はしないということです。厳密に言うと、加速度成長させるには自社のスタッフを採用する必要があるというコトです。採用以外でレバレッジを効かせるのはほぼ無理(企業買収とかすれば別ですけど)なんですね。

5年間シミュレーションしてみるとこうなります。スクリーンショット 2015-10-05 13.54.57

26ヶ月目、人材派遣事業でスタッフが72人稼動した時点で人材紹介の売上を抜きます。ちなみに48ヶ月でキャッシュ・フローも逆転します。コツコツ時間がかかるビジネスなんですね。

ちなみに派遣事業で限界ですと言われた150名の稼動は52ヶ月目に訪れます。その時は250万/月の売上と4200万円ほどのキャッシュがありますので、その時にはフォローアップのスタッフを1人採用すればもう少しフォローできる人数も増えるでしょう。

逆に人材紹介はゼロイチのビジネスですので、新しく採用した人が毎月1名ずつ決めていけるのかは甚だ疑問です。派遣の方はスタッフの人がやめないようにフォローをするのが目的なので、いくぶん職務に対するハードルは低そうです。

 

改めて分析してみて面白かったですが、結論。

派遣は立ち上げは苦労するが

コツコツまじめにやれば安定収入が得られやすい堅実なビジネスモデルである。

ということが言えるでしょう。

 

それでは。

Kosuke

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