採用時のミスマッチがブラック企業を生んでしまう原因だという話

書き出しに「クスッと笑えるひとネタ」を書くことを自分に課して、ブログがサボり気味になったINST石野です。

気付けばリリースを出してからすっかりご無沙汰。

 

某広告代理店の新入社員の方が非業の死を遂げられてから、各メディアは「ブラック企業とは何なのか」をこぞって話題にしている。某先輩のブラック企業アナリストの方はこういうときに忙しくなるのだろうか。

その中で、知人の知人(で、もしかしたら実際お会いしたことがあるかもしれない方)が書いていたブログをその知人経由で拝読し、自分なりに頭を整理するためにも、僕も「ブラック企業とは何なのか」を考えてみたので、それをしたためてみることにする。

ちなみにそのブログ記事はこちら。

ブラック企業を逃げ出す方法 これなら今すぐ辞められる

こういう超優良記事が多くの方の目に触れて、今回の電通社員のような自殺者、強いては「働きたくないけどしょうがなく働いている人」が減っていくことを強く願って止まない。今日はなんだかジャーナリスト風な書き口。

 

結論、件名にもある通り、採用時のミスマッチがブラック企業を生んでしまう原因だということですごくハラオチした

 

ブラック企業かそうでないかは、働く個人によってそれぞれである

・残業を月間100時間したらブラック企業だ
・上司によるパワハラが横行していたらブラック企業だ
・朝大声で社訓を言わされる会社はブラック企業だ

など、それぞれの意見があるが、「◯◯だからブラック企業だ」という定量的な尺度は、本当は存在しない

例えば、皆さんの周囲に、「絶対に別れたほうが良いと思う恋人と付き合い続けている友人」はいないだろうか。「金よこせとかすぐ言ってくるし、殴ったりもされるしー、浮気とかもするんだけどぉー、別れられないんだよねー」とか。

ブラック企業とダメ彼氏はすごく似ている。

いくら一般的に「これはダメだろ」という人が多かったとしても、その人がいいと思っていさえすれば、その恋愛関係や婚姻関係は継続するし、それはその人が幸せであれば、他の誰が文句を言う権利もない。

なので、先程書いたわかりやすいブラック企業っぽい指標も

・残業を月間200時間ても楽しく働けている人
・上司によるパワハラも自分を成長させてくれる糧だと感じられる人
・朝大声で社訓を言わされても「一体感が産まれて(・∀・)イイ!!」という人

にとっては、その会社はブラック企業ではないと判断される。なので、ブラック企業の定義は人によって異なる。

だから、「中にいる人が疲弊してかわいそうだから残業とかあんまりさせないようにね。あ、管理者だったらいいよ(*ノω・*)テヘ」みたいなのがなんとなく法律になっているわけだ。

 

新卒入社した会社で醸成された「働く」への価値観はすごく大事

こういった「人によるブラック企業の定義の違い」は価値観の違いと言っていい。人間の価値観や常識は周囲の環境によって醸成されるもので、例えば千葉県民は内出血が原因でできる青アザのことを「あおなじみ」と呼ぶが、それが方言だったなどと、他の県出身の人に言われるまで全く気づきもしない。もし県外の友人が誰も教えてくれなければ、「青アザ」という言葉など存在しなかったのように一生を終えることだってある。

話が逸れたが、新卒で入社した会社で醸成される「働くことへの価値観」が、その人がどういう会社がブラック企業なのかを判断する尺度を決める重要ファクターのひとつであることは間違いない。

僕は新卒入社した会社でいわゆる「長時間労働」への耐性を養わせていただくことが出来たので、別に長時間モーレツに働くことに対しては特に何の疑問も抱かなかったわけだが、例えば「残業は絶対禁止」みたいな一般的に言う超ホワイト企業に新卒入社した人がその当時のインテリジェンスに転職したら、間違いなく「この会社はブラック企業だ」と言うだろう。

いわゆるその人にとっての「当たり前」はなんなのかがすごく大事で、周りの人に「え?お前の会社、それおかしくない?」と言われたときに自信を持って「いや、でも俺楽しいし」とか言えない状態であったら、それはブラック企業で働いているということを意味する。なので、さっき引用させていただいたブログの著者の方が「心を殺す会社がブラック企業だ」というのはすごく正しい。その会社でも「心が死なない」人にとってはブラック企業ではないのだから。

 

価値観が違う会社に入社してしまう人が増えるとブラック企業は増える

スーパー売り手市場の今は、ブラック企業が増えやすい環境下であるという持論を展開する。そして、実はスーパー買い手市場でもブラック企業が増える。受給のバランスが大事だということだ。

売り手市場だと、採用が難しい。

で、採用が難しいと「嘘をついて採用しようとする」企業が増え始める。本当は違うのに目の前にいる候補者をどうしても採用したくて、嘘をつくまではいかないかもしれないが、回りくどい言い方をしたり、オブラートに包んだり、少し話を逸したりして、なんとか採用までこぎつける。

または、転職に関する知識があまりなかったり、この売り手市場でもなかなか職が見つからない人が紹介会社の人に「ゴリッと捩じ込まれて」転職をしたりする。

そうすると、入社して少しは良いかもしれないけど「あれ?なんか違うかも?」と思う人が現れてくるのは至極当然。ただ、周囲の環境に併せていく事ができたりする順応性なんて言う言葉もあるので、価値観を変化させることで、ミスマッチがあたかもなかったかのようにできる人もいる。順応できなかった瞬間が「その人にとってのブラック企業」誕生の瞬間である。

企業と人の立場を逆転させれば、買い手市場のときにも似たようなことが起きるのはわかっていただけると思う。

以前の上司に「幸助、採用はケミストリーが大事なのよ」と言われた。僕の頭のなかにはサングラスをなぜかコメカミからぶら下げる男が現れた。その上司はオラクルの人事をやっていた人だったので、いわゆる「相性」という意味でその単語を使っていたことが後日判明する。その「相性」というのはいわゆるハードスペックではなくて、こういった「働くことへの価値観」の相性なんだなと。

 

求人票の内容ピッタリでないと採用しない会社はブラック企業生成予備軍

「この人、絶対御社にマッチすると思うのでとりあえず会ってくださいよ!」というような推薦をできるエージェントは、僕は良いエージェントだと思う。こういう推薦のときに限って、求人票の要求スペックとはかけ離れている人材だったりするが、なぜか採用はその人になる、ということがよくある。

「年収1000万以上でー、イケメンでー、背が高くてー、浮気しないでー」みたいなことを言っていたやつに限って、金にだらしない浮気性のブサメンと付き合ってたりする、あれだ。このケースは別の相性が起因していたりする場合もあるが、それはコーポレートブログで書くような内容ではないので割愛する。

冗談はさておき。さっきみたいな推薦が出来るエージェントは、きっと「相性」を理解しているエージェントだということに他ならないと思う。そうなると人材ビジネスはもっと面白くなる。ヘッドハンティングをやる人とかはほとんどがこの領域に達している。

利害関係がない人からの紹介や、社員からの紹介、いわゆるリファラル採用がうまくいくように思われているのも、この「相性」という観点において、ミスマッチを生む可能性が低いからではないかと推測する。

なので逆に、そういうエージェントがいないような会社は、「相性」を重要視していない可能性が高いので、採用のミスマッチが多くなり、結果として「この会社はブラック企業だ」と感じる社員の人が増えていってしまうのではないだろうか。まあじゃんじゃん応募来るからスペックで弾くしかねーんだよ、という人気企業の人事の方はどうぞご退席下さい。

 

最後に皆さんに伝えたいこと

人事も紹介会社の人も、採用目標必達にコミットするのは素晴らしいことだが、採用に関わる人の発言一つが、ブラック企業を産み、望まれない雇用を生み、そして自殺者を生んでしまう可能性だってある、ということは、頭の片隅に留めておいて欲しい、と成田発福岡行きの飛行機に総武線の人身事故が原因で乗り遅れそうになった僕は声を大にして言いたい。

それでは。

Kosuke

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