オープンドア、フリューの元CPのIPOは胸熱。今はところで何を?を調べてみた

おはようございます。INST石野です。

忘年会シーズンですね。今週は(月)〜(木)まで忘年会が詰まっておりまして、なぜか金曜はまた空いているというスケジュールです。別に「誰か誘ってくれよ!」アピールではありません。Give me 休肝日。

最近の上場予定企業の中で僕の目を引いた元CP2社

最近は新規上場もだいぶ増えてきましたね!これは景気が良くなってきていることのあらわれなのでしょうか。明日マザーズに上場されるラクスさんとかは、知人もおり、個人的にも非常に嬉しい上場です。A藤さん、おめでとうございます!

今日注目したのは最近の上場予定企業の中でも
オープンドアさん(マザーズに12/17に上場予定)
フリューさん(市場未定、12/18に上場予定)
の元CP(Contents Provider=いわゆる公式サイトでキャリア課金収益がメインだった会社)2社です。

前職でそっち系の仕事をしていたこともあり、オープンドアさんにもフリューさんにも行ったことがあります。公式サイト保有してる(もしくは保有してた)CPさんで行ったことがない会社のほうが少ないかも、俺。トラベルコちゃんをコツコツ育てて晴れてIPOとなったオープンドアさんもCPビジネスやってましたし、プリントシール(プリクラ)で有名になったフリューさんもデコメなどのサイトをたくさん持たれていましたね。

いわゆるスマホの登場により、圧倒的なプラットフォーム力を持っていたキャリアの課金ビジネスの終焉が訪れ、多くのCPは廃業や事業譲渡を余儀なくされた中、この2社はどうやってIPOまでこぎつけたのでしょうか?並大抵の苦労ではなかったはずです。昔を思い出し、胸熱になったので少し調べてみたいと思います。

 

地道に育ててきたトラベルコちゃんが収益の柱になったオープンドア

まずはオープンドアさんからです。オープンドアさんの有価証券報告書を見ますと、ほとんどがトラベルコちゃんを中心とした旅行関係事業です。

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じゃーん。今はANAさんにジャックされてる感すらありますね。

トラベルコちゃんの事業モデルは旅行業に特化した価格コムのような広告モデルです。
・従量課金:トラベルコちゃん→お客さんのサイトに送客で「チャリン」
・固定課金:トラベルコちゃんのシステム利用料みたいなもので月額いくらで「チャリン」
・広告収入:トラベルコちゃんのサイト上のバナー広告掲載で「チャリン」
の3つとあります。

広告事業でやるからには、かなりのPVがあるのかなと思い、メディア資料を調べたところ月間3800万PV!すごいですね。※ちなみに価格.comは月間8億4000万PVだそう。半端ねえ。価格コムに旅行カテゴリあるのかな?と思ったらありませんでした。

トラベルコちゃんのオープンは1997年の8月。4月創業の同社ですので、ほぼ社歴=メディアの歴史。沿革を見ても地道にコツコツとトラベルコちゃんの事業を拡大していったのがわかります。途中、「ゲーム大集合」や「RPG大集合」などのライトなゲームがやり放題になる公式サイトもオープンされていたようですが、今はゲーム大集合というのがポツリとあるのみです。

ちなみに、社員の業務従事割合を見ると旅行関連事業が119名、その他が1名、全社(多分バックオフィス)が13名の合計133名なので、なんとトラベルコちゃんじゃない仕事やってるのは、たったの1人!寂しすぎる!社内ではどんな感じなんでしょう。気になる売上はというと、前期通期で旅行関連事業が約18億に対して、その他事業は1.4億。1人で1.4億の事業支えて社内ぼっち。もう涙で前が見えない。他の社員の約10倍の生産性なのに社内で1人ぼっちなんて。。。

今後は海外からのインバウンド(訪日外国人旅行客)の獲得に伴い、サービスの多言語化などを推進するとのこと。オリンピックで最大の盛り上がりを見せると思われるこのマーケットはすごく可能性がありそうですね。個人的にはAirbnbなどのシェアリングエコノミーの旅行プランの掲載なども出来るようになってくるとより良いのではないかと思います。掲載基準とか結構大変そうですけどね。

オープンドアさんの有価証券報告書をみてみて思うのは、やっぱり自社メディア大事、時間をかけても育てていくべきってことっすね。プラットフォームに依存しているだけでは本当の企業力なんてつかない。そのプラットフォームが絶対的なものであればいいですが、1社の方針だけでころころ変わったりするものであったりしたら、ハシゴ外されたら立ち直れなくなります。

自社メディアであるトラベルコちゃんを地道に育てて、それが18年かかって花開いたと。オープンドアさん、おめでとうございます!

 

キラーコンテンツ「プリントシール」が引っ張ったCPっぽい事業展開のフリュー

さて、次はフリューです。ご存知の方が多いかはわかりませんが、フリューはもともとオムロン(ヘルスケア領域での大手)のエンタメ部門として設立されたオムロンエンタテイメントを現経営陣がMBO(Management Buy Out)してできた会社です。プリントシールはもともとはオムロンの新規事業だったわけですね。

「プリクラ」と言ったほうが馴染みがあるかもしれませんが、「プリント倶楽部」というのはアトラス(現世がホールディングス)の商標なのです。ホッチキスが商品名で正しくはステープルというような、そんな感じですね。

プリントシールは今でも10代の女性を中心に非常に人気があるサービスらしく、同社の売上の40%位をしめる基幹事業です。

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フリューすげえ。従業員350人で売上240億。利益は47億くらい。やるなあ。

事業別ですと
・プリントシール事業:売上94億→利益16億
・コンテンツ・メディア事業:売上70億→利益40億
・キャラクター・マーチャンダイジング事業:売上40億→利益7000万
・ゲーム事業:売上16億→損失7.8億

コンテンツメディア事業はゲーセンで撮影したシールを共有したりデコったりするサイトの収益が押し上げているようなので、実質70%くらいの売上と利益のほぼ100%はプリントシール関連ってことっすね。

キャラクター・マーチャンダイジング事業はUFOキャッチャーの景品なんかの作成&ライセンス管理、ゲーム事業はスマホゲームだけでなくコンシューマー機(3DS)のゲームに乗り出した模様。この辺はCP→ソシャゲ開発→ゲームアプリという典型的なCP的展開という感じですね。

今後の見通しとしては、アミューズメント市場の縮小(ゲーセン離れ?)を懸念点としてあげられていましたが、そのへんはあんまり問題なさそうな気が?あとはヒットゲームの開発ってのは多くのゲーム開発会社の決算報告書で見受ける提携の文言っすね。

フリューさんも本当におめでとうございます!

やっぱり自社の強みがある会社だけが生き残る

さて、この2社を見てみると、キャリア課金モデルの終焉という不遇の時代にそれぞれの自社の強みを持っていたことで、なんとか生き残り、その後IPOまでこぎつけたという事がわかりますね。プラットフォームに依存するビジネスの怖さをよく知る2社ではないでしょうか。

今INSTがサービスをメインで提供している人材ビジネス領域においても、集客という大事な要素をRANやDODAなどの外部媒体(いわばプラットフォーム)に依存しているのが現状です。キャリア課金が崩れたようなドラスティックな変化は人材広告領域において起きる確率は低そうですが、「他社にない”明確な”自社の強み」を作れるかどうかが今後の生き残りにかかってきそうなのは間違いありません。アタリマエのことなんですけどね。

メディア構築や戦略系のご相談も受け付けておりますので、どうぞお気軽に。

それでは。

Kosuke