AI時代におけるソフトウェア屋の未来とは

AI時代におけるソフトウェア屋の未来とは

nst石野です。

このブログのリニューアルでもそうですが、生成AIの登場・進化によって非エンジニアリング人材も今までよりはより簡単にスピード感をもってシステムやアプリケーションの開発を行うことができるようになりました。

先週末週末にはClaude Designたるものもリリースされ、「こりゃデザイナーも要らなくなるな」という声も数多く聞こえてきています。

SaaS is Deadについての見解

生成AIの台頭によって、「SaaS is Dead」とも言われておりますが、一応instもSMS送信SaaSを10年販売してサバイブしてきておりますので、見解を述べておきますと

死ぬSaaSもあるがそうでないSaaSもある。

という一言に尽きるかと思います。まあめっちゃ抽象論ですけどw

SaaSとはざっくり言うと、多くの会社で発生する課題や業務を楽にしたり簡単にするために導入するパッケージソフトウェアのことです。

僕も実際にPipedriveというCRMをNotion(ほぼフリープラン)をベースにClaudeを使ってCRMを構築しました。

Notionで自前化することで、コストが下げられるだけでなく、Notion MCPも使えたり拡張性も高くなりました。こういう「自前リプレイス」は今後も進みそうだなと考えてます。

データを整理整頓して管理をするCRMなどのツールは入力の手間がネックになることも多く、Notionやスプレッドシートが最大のライバルです。なのでSalesforceの手動入力が必要なくなるようなソフトウエアを売り出したりする会社もあるように見受けられますが、それですら自前化することも今までよりかなり簡単にできるようになってます。

※例

・商談の情報をmeetやzoomで文字起こしする

・商談から抽出すべきエッセンスを予め決めておき議事録をAIに作らせる

(予算、発注時期、次のアクション、宿題、懸念点、確度など)

・内容をAIとのチャットで確認して修正して「OK」で自動でNotionやスプシに登録

・商談ステータスに応じて様々なアプリケーションと連携させて商談進捗を自動化

など

特に日本人は「ソフトウェアに業務をアジャストする」よりも「業務にソフトウェアをアジャストさせる」のを好む傾向にあるので、受託開発が生き残る文化が強いので、完全自前開発ではなくともSaaSベンダーにとってはしんどい世の中になってきそうです。

ではinst is Deadなのか?

では、instのSMS配信SaaSも自前化により崩壊していってしまうのか?というと、これについては多分起きないのではと思っております。

と言うのも、ご存知の方もそうでない方もいると思うのですが、SMS配信サービスには

・SMSは【携帯キャリア】が送る仕組みになっている

・【国内4キャリア全て】と契約して連携開発が必要

・電話番号がどのキャリアに属するかの【所属データベース】へのアクセス権が必要

という制約の上に成り立っているシステムです。

これを個別に「SMSを送りたい」という会社が個別に行うとなるとかなりの労力が掛かることになります。送信アプリケーションを作って、上記の送信条件を満たすSMS配信ベンダーのAPIと接続するのが打倒な落とし所になると思いますが、それでコストが下がるか?というとSMS配信ベンダーのほとんどでSMSは管理画面から送信してもAPIで送信しても値段は変わらない設計にしてあると思うので送信アプリケーションをわざわざ開発する必要もあまりなさそうに思います。

ので、instのSMS配信SaaSはSaaSの中でも比較的「死にづらい」のでは、と思います。というかinstにとっての脅威はAIよりも利益度外視でダンピングしてくる競合ですw

死にづらいSaaS・ソフトウェアの要素とは

では生成AI時代に生き残っていくためのソフトウェアに必要な要素を考えてみます。

1.顧客が容易にアクセス出来ない情報や仕組みと接続されている

SMSにおける携帯キャリアとの接続もそうですが、他も考えてみると

・会計ソフトにおける銀行APIとの接続(freee会計など)セキュアな情報になるので利用ユーザー全てに公開するのは難しく、銀行がベンダーを選んで接続許可を出す仕組み。

・証券・金融APIとの接続(株価・為替・信用情報):株取引システムや与信管理ツールは、証券取引所や信用情報機関(CIC、JICCなど)との接続契約が必要で、審査も厳しい。「自社で与信チェックしたい」と思っても、個社が信用情報機関と直接契約するのは現実的にハードルが高く、間に入るSaaSの存在意義が消えない。

行政・官公庁データとの接続:法人番号データベース、不動産登記情報、国税庁の適格請求書発行事業者データなど、公的機関のデータと接続・整形して提供するSaaS。データ自体は公開されていても、取得・更新・整形のインフラを自前で持つのはコストが見合わない。GビズINFOやe-Govとの連携を売りにする行政手続き系SaaSはここに該当する。

2.法規制・コンプライアンス対応が複雑で継続的に変化する

法改正や規制対応を自前で追い続けるコストが高く、専門ベンダーに任せたほうが合理的なケースです。

  • 給与計算・人事系ソフト(freee人事労務、SmartHR等):社会保険料率の改定、年末調整ルール変更、育休法改正など毎年アップデートが必要で、自前では対応し続けるのが困難。
  • 電子帳簿保存法・インボイス対応の請求書SaaS:法改正のたびに対応が求められ、税理士監修も必要になる。
  • 医療・介護向けシステム:診療報酬改定(2年ごと)、介護報酬改定への対応が必須で、業界外の会社が自前で追うのは現実的でない。

3.ハードウェア・物理インフラとの統合が不可欠

クラウドだけで完結せず、物理的な機器やインフラと密接に連携している。ここはAIが最も代替しにくい領域かなと思います。

  • POSシステム(Airレジ、Square等):実際の決済端末・レシートプリンター・バーコードスキャナーとの統合が必要で、ソフトだけ自前化しても意味がない。
  • 工場・製造ラインの生産管理システム(MES):設備のセンサーやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)との接続が前提で、現場ごとにすり合わせが必要。
  • 物流・倉庫管理システム(WMS):ロボットや仕分け機、ハンディターミナルとの連携があって初めて機能する。ソフト単体では価値が出ない。

まとめて整理してみますと共通点は 「ソフトウェアの外側にある何か(キャリア、データの集積、法律、物理)と結びついていること」 と言えそうです。逆に言えば、「純粋に情報を整理するだけ」のソフトは、NotionやスプレッドシートとAIの組み合わせに侵食されていく可能性が高いのかなと思います。

いずれにせよ、世の中が変革の時代真っ只中だということに変わりはなさそうですねw

上記がソフトウェアとしての要素だとすると、それ以外の要素(営業面、ナレッジ・ノウハウなど)についても今後考察する必要がありそうです。

それはまた次の機会に。

Kosuke

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