Amazonお坊さん便について考えてみました

こんにちは、INST石野です。

今日はちょっと人材系関係ないネタ。

Amazonがはじめた(とは言っても、Amazonマーケットプレイスに出店したのはみんれびという会社)お坊さんの手配を3万5000円、しかもクレジットカード決済で出来るという「お坊さん便」がいろいろと話題になっています。

アマゾンが始めた「お坊さん便」 そのシステムと利用者の感想

ざっくりまとめると

・みんれびという会社がAmazonに出店し、お坊さんの手配サービスをはじめた
・自宅に来て読経を行うのみなら3万5000円、移動が挟まると(自宅→墓地など)4万5000円
・プラス2万円で戒名をつけたりしてくれるオプションサービスもある
・もちろんクレジットカード決済可能

というものです。ちなみに今Amazonで「お坊さん」で検索してみると出てきますが

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クリスマスシーズン前のため「クリスマス後のお届け予定です」となっているのがなんともシュールです。3~5週間待ちってことは結構人気なんすね。お葬式に来てください、というのは難しそうですね、いまだと。

ゆりかごから墓場まで、とはうまいことを言ったもので、いよいよこのライフイベントまでインターネットにより情報がオープン化されるのかととても期待感が高まります。

ライフイベントを1番うまくビジネスにしているのはなんといってもリクルートですね。結婚、出産、就職、転職、保険選びなど。今までブラックボックス化されていた人生における一大意志決定を情報でサポートすることで、莫大な収益と、我々消費者にたくさんの選択肢を提供してくれる。

この人間の「死」という人生最後のライフイベントには間違いなくビジネスチャンスがあると思います。多分リクルートの中とかでもアイディアが出たり、「リクルートもこのジャンルだけやってないぜ!俺達がやろう」とか、思っていた方も多いのではないでしょうか。

サービスのメリットとしては

[ユーザーサイド]
・今まで相場もなかなかわからなかった「お布施」がシンプルにプライシングされている
・クレジットカード決済
・ネットで簡単に注文できる

という点でしょう。昔から付き合いのある近所のお寺みたいなのがない人達や、葬儀社から手配されるお坊さんにお願いするということに違和感を持っていた人、インターネットネイティブの人たちには非常にメリットも大きそうです。

[お坊さんサイド]
・顧客開拓が容易にできる

これは間違いなく大きいでしょう。寺を持たない「マンション坊主」という方々も結構いらっしゃるらしいです。修行はしたけどお寺を持たず、マンションに住んでいて、葬儀社から紹介されて葬儀の時に読経して3~5万円の収入を得る、ということらしいです。

と、メリットばっかりな気もしますが、この記事の中には批判的な意見も書かれています。

・「宗教をビジネス化している」
・“お布施を明確に金額に表わしてはいけない”。法要や葬儀で僧侶がお経を読む行為は営利目的ではない。これでは結婚式の司会者を手配するのと変わらない。
・僧侶は『物』ではありません。利用者は手配される僧侶の質のチェックも十分にできないだろうし、法要が形骸化しないか危惧しています
・「クレジットカード決済では僧侶に対する謝意が薄れる」

なるほど。既得権益というよりもそもそもの思想の問題があるようです。でも、ビジネスではない、とは言っても職業なわけですから、稼いだほうがいいと思うんですけどね。そもそもこの考え方が間違っているのでしょうか。

ここについて議論をすることは避けたほうが良さそうですので、あまりしませんが、こうやってインターネットが情報をオープンにしていくことで、消費者の生活は確実に良くなっていくと思われます。ですが、一部の既得権益を得ていた人たちの中には、それを良しとしない人がいるのも事実です。

また、このように価格がオープン化することで、おそらく「ウチは3万円でやります」「いやいや弊社は2万円で」という会社も続々出てくるでしょう。価格が下落していくことも懸念されます。ひとしきりそれが落ち着いた時に、サービスの差別化が図られることで、業界全体(業界と言えるのかはわかりませんが)の精査が行われ、淘汰されるプレイヤーと生存するプレイヤーに別れる。そうすることで市場はもう1段階上のレベルで成熟していくと思います。

法的なものや、宗教的なもの。踏み込んで行くのはかなり勇気がいると思います。僕はみんれびさんの勇気に拍手を送りたいと思います。本来であれば利用してみたい、というのもあるのですが、残念ながら石野家は神道ですので、当面その機会はなさそうです。

それでは。

Kosuke