人材ビジネスのブランディング活動が無意味だと思う3つの理由

中国帰りのINST石野です。

中国出張レポートはまた別途書かせていただくことにしまして、僕が訪中している隙に古巣インテリジェンスが所属するテンプスタッフホールディングスがコーポレートブランドを「PERSOL(person+solution)」に変更しました。

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賛否両論ありそうですが、無彩色のグレーのロゴはどうなんでしょう。テンプのピンクとインテの紺で意見が割れて、混ぜたらとんでもない汚い色になりそうなので、じゃあもうグレーでいいんじゃないかという感じで決まったのではないかと危惧しております。

僕はインテリジェンスの紺が非常に好きでして、INSTのコーポレートカラーも紺にしておりますし、財布とか小物とか、夏場のポロシャツとかもなるべく紺のものを買っているので、なんとなく残念です。

また、「グレー」というのは「ブラック」と「ホワイト」を混ぜた色です。ブラック企業とホワイト企業の狭間の会社、それがパーソルです。というアピールなのでしょうか。パーソルのグレーは白に比較的近そうです。まあ派遣会社の中で派遣法をパーフェクトに遵守している会社なんて殆ど無いので、派遣業=グレーというイメージにマッチしている、と言えばしている気もします。

ここからの「パーソル」のブランディング活動は多難を極めるものと予想しています。

まず、グループブランド名を変えただけで別にテンプスタッフやインテリジェンスの名前がなくなるわけではないのです。

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※テンプホールディングスの発表資料より

一億総活躍社会を目指して!と崇高な大義名分を掲げてのブランド名変更らしいですが、ホールディングスや主要会社名を「パーソルほにゃほにゃ」にするのにあと2年弱も様子見をするようです。この時点であまりこのブランド名変更に関して本気度が感じられません。本気でやるならスパっと全部変えるくらいでいけよと。

また、僕はタイトルにも書いたとおり、個人的に人材ビジネス企業のブランディングはあまり意味が無いと思っています。こういったトータルソリューションとしてのホールディングスでのブランディングは特に、です。

その理由3つを書いていきます。

1.「人材会社」を選ぶのではなく「人材会社が保有している情報」が選ばれている

各会社、様々なお金をかけて「転職するなら◯◯(会社名/サービス名)」というブランド広告を出稿していますが、間違いなく売上に対する投資対効果が良いのは、ブランド広告ではなく「◯◯(求人企業名)+転職」や「△△(職種名)+転職」といったキーワードでしょう。ということは

「転職したいからリクルートにとりあえず登録に行くわー」という人より

「◯◯(求人企業名)に転職したいと思って探してたら結果的にリクルートに登録に行くことになった」という人のほうが多いですし、決まりやすいということです。要は人材会社ではなく、人材会社が保有している求人情報に価値を見出して登録に行く人が多い、ということですね。

また、採用をする企業も極めて親しいシチュエーションになると思います。イケてる会社やイケてる営業マンは「◯◯(人材会社やその営業個人名)がいないと絶対ウチの採用活動は成り立たない」というところまで顧客満足度を引き上げることはできていると思いますが、多くの採用シーンにおいて、企業が重視するのは「その会社」ではなく「その会社が連れて来た人」です。

「インテリジェンスさんからの紹介だから、普通は採用しないけど採用しておくわ」というのはありませんね。まあ書類選考パスして面接する、くらいならあるかもですが。その会社の評価も大体が「その会社経由で入社した人がちゃんと活躍するか」が大きな比率を占めます。

別にその人材会社に登録に行きたいわけではない求職者と、別にその人材会社からの推薦だからと贔屓をしているわけではない求人企業がマッチングされているということなのです。

2.サービスクオリティが平準化されておらず、サービスがナマモノである

次はこれです。人材ビジネスは「生もの(ナマモノ)」と言われます。タイミングが大事だったりもするわけですが、個人に提供するサービスは「求人情報」、企業に提供するサービスは「求職者」といずれも刻一刻と状態が変化するナマモノであります。

同じ候補者を同じ企業の同じポジションに紹介した時に

・その候補者の心身状態(例えば奥さんと激しく喧嘩した日だと落ちるとか)
・その企業の面接官の心身状態(自分の担当している業務で激しいトラブルで上の空とか)
・推薦してきた紹介会社の評価(激的クレームで担当変更した直後だとか)

などの不確定要素が多すぎるのも難しい課題です。

また、求人企業側のサービスクオリティは担当のコンサルタントに依存するために平準化されておらず、「担当の◯◯さんは良かった」という人も「全然私の希望を聞いてくれないクソコンサルタントが!」という人も絶対に混在します。企業側もそうです。面接では「相性」というバイアスがどうしてもかかってしまいますし、就業後も同じくです。

TOYOTA社が好き!ベンツが好き!という視点で車を探す人は多いでしょう。もちろん「低燃費のミニバンが欲しい」と探していて結果としてTOYOTAのVOXYを購入した、という人も多いと思います。TOYOTAのVOXYは新車であれば大体どこで買っても同じクオリティでしょう。乗り方や個人の好みにもよりますが購入者の殆どが同じような評価をします。

ですが、人材ビジネスはナマモノであるため、サービスを受けた個人/企業ごとに評価が異なりすぎるので、「この人材会社はこういう会社」というブランディングが難しいのです。

3.グループでサービスを提供している、ということを誇示することが不毛

これはそもそも論です。

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各事業が1つのグループとして認識される必要があるのでしょうか???

まず求職者視点。派遣で働いていたけど正社員で働きたいな〜と思ってテンプスタッフのグループ会社のインテリジェンスに登録する人はまずいないかと。また、奥さんがテンプスタッフ経由で派遣社員で働いてて、旦那さんが転職するときに「私がお世話になってるテンプスタッフのグループのインテリジェンスで転職相談受けてくれるからいってきなよ!」というのも・・・ないないw

また、採用企業視点で、と考えた場合は「グループのサービスを全て一人で提案できるアカウントマネージャーがいない限りはグループシナジーはほぼない」です。これは断言できます。

インテリジェンスにいた時に、僕の担当は今はなきアルバイト求人媒体の「OPPO」でした。郵政公社やグッドウィル、ローソンなどのメジャーアカウントを保有していたので、グループ総合営業部という横串を通してアカウントマネジメントをするおじさん達と一緒に営業に行くことも多かったですが、紹介ニーズを拾おう!とか派遣に繋げるかも、みたいなのはほとんどありませんでした。まあ10年前なのでどうなっているかわかりませんが。

採用企業側の担当も大手になればなるほど、この人は中途、私は新卒、あの人はアルバイトと派遣、と細分化されるはずなので、トータルで提案できるホールディングスだから、ということが優位になるとは思えません。

不動産のように、家を探すときに「新築にしようか、中古にしようか、賃貸にしようか、分譲にしようか」という幅を持ってチョイスするならありだとは思いますが、「派遣にしようか正社員にしようか」と仕事を選ぶ人があまり多くないので、このグループでトータルで提供できるから、というのは不毛な議論であると思います。

まあ、僕はご存じの方もいると思いますが「費用対効果が全て」的に考える、かなりの合理主義者ですので、こういった意見になりました。

今後、パーソルOBになる身としては頑張ってもらいたいですね。

とりあえずはGoogle先生に認識してもらわないとブランディングもクソもないと思いますよ。

※下記は「パーソル ロゴ」で画像検索した結果。ミスタイプと思われて「パーソナル ロゴ」の検索結果が表示

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ちがうよ「パーソル ロゴ」だよ、やるとメガネブランド「Persol」が大量に。訴えられないのかしら。

しかももしかして「パーソナル ロゴ」?と言われている

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「Persol」で検索するとサングラスばっかりw

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それでは。

Kosuke

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