自分から「競合はいません」と言ってはいけない

INST石野@初のジャカルタです。

 

採用面接のシーンだったり、営業のシーンだったりで、必ず登場するのが「競合」。

市場の原理から、殆どの会社に競合が存在するわけですが、たまに「ウチは◯◯なので『競合』というのは存在しないんだよね」などとおっしゃられる頭の中がフェーン現象のような方がおります。今日はそれについて書こうかなと。

 

なぜ「競合はいない」発言が飛び出てくるのか

以前から申し上げておりますが、もう劇的に新しくて誰も思いついたことがない新しいビジネスモデル考えついちゃったホーイ!というのは勘違い甚だしいわけです。多分ですけど、今東京都内に本当にそういうこと思いつく人って1-2人だと思います。選ばれし人間かも?って、神様は凡人のあなたを選ばないです。残念でした。

言いたいことは、あなたが思いつくことは大体誰でも思いついているわけで、同じようなビジネスを既にやっていたりやろうとしていたりする人がたくさんいらっしゃるわけですよ。そういう人たちを「競合」というわけじゃないですか。

「競合がいない」と言う会社はあります。なんでそんなことを言うのか?

1.競合分析ができないくらい本当に馬鹿である
これだと危ないですね。自分が世界一だと思っているパターン。頂点にいる=ライバルがいない。お前は山かと。霊峰エベレストかと。

2.相手に自分をよく見せようとしている
採用したいと思っている人や提案中のお客様に安心させようとしている。ウチは独自ですよ。オンリーワンですよみたいな。

3.上司や経営陣に言われてそう信じてる
2.を続けてきた経営者や採用担当、上司がいて思い込んでしまっている人。これも哀れです。

いずれにせよ、性格が悪い私は「競合いないんですよ」という発言を聞いたら「あーこの人ちょっと◯◯な人だな」と思いますので、お気をつけてくださいませ。

 

顧客の比較検討ポイントは自社が打ち出す「差別化要素」ではない

「競合はいません」には枕詞があります。それは「この点で考えると」です。

例えば、超大手企業も提供する類似のソリューションを特定の業界に絞って提供していて「この業界向けの◯◯という点では競合はいないんです」と言う人。

いやいやいやいやいやいやw競合いるからwその業界の人で競合他社のサービス使ってる人いるでしょwww

いくらその業界向けに特化したからと言っても他社のサービスを選ぶ人はいるわけで。自分が考える差別化なんて、本当はそんなに意味が無いものなんですよね。

実際に、例えばINST MessengerはSMS配信ツールとして人材ビジネスのお客様でたくさん使っていただいていますが、人材ビジネスのお客様に提案しに行って、競合比較されて別の会社のサービスを選ばれることもたくさんあります。

僕がいくら「この機能は競合にはない機能でうちの独自機能だ!」と言っても、別にそれがお客様の重要評価ポイントでなければ、その提案は刺さらずにサックリ別の会社選ばれるわけですよ。

ちなみに僕は商談の時に競合の名前も全然出しますし、悪く言うこともしません。僕が伝えるのは「SMSを送りたいというだけであれば別にどの会社のサービスを使っても大差はないと思います。INSTよりも安いところや値引いてくれる会社もあると思います。」と。その後に「◯◯という点で評価いただけるのであれば、ウチのサービスを選んで頂いて損はないと思いますけど」とやんわり付け加えますね。だって◯◯という点で評価してくれ!というのって、こちら側のエゴですよね。

 

「差別化」がとても難しい世の中になった

ITによって情報はどんどんオープン化されてきました。「他の会社がこんなことをやってるらしいぞ」とかは別に誰に話を聞きに行かなくても情報として簡単に得ることが出来るように。

僕は「差別化」は本当に難しい世の中になったと思います。というか、ほぼ無理じゃないかと。

ウチには技術力を持ったエンジニアが〜
→その人がライバル会社に引き抜かれたらどうなるの?

独自のUI/UXで〜
→いや、簡単にパクられるよね

◯◯の分野では〜
→あなたが勝手に差別化して見せようとしてるだけだよね

ほら。

 

競合はほど良くチラ見して、前とお客様を向こう

かといって競合を全く見ないのは問題です。価格帯や最低限必要な機能、どういうところを得意にしているのかくらいは把握しておくべきです。チラ見くらいで十分です。

競合の方ばっかり見て、ネガティブキャンペーンする人とかいますが、自分の品位を落とすだけだと思います。

競合はお金くれませんからねwちゃんと価値提供をするべき人の方を向いて、あとは自分達の信念にしたがって前を向いて行くというのを周りの競合ができていなければ、差別化になると。

自分で「競合はいない」だの「差別化」だの言うのはあんまりかっこよくないですね。そう思ってくださるのはお客様であるわけですから。

それでは。

Kosuke