【イベントレポート】SMSマフィアに学ぶ!企業成長のためのマネジメントとは??? 〜後編〜
INST石野です。
先週の前編に続いて今日は後編をお送りいたします!
※まだ読んでない人は前編から読んでね!
変化のトリガーおよびドライブ要因となった事業は?
〜会社の変化のトリガーはなんでしたか?また、ドライブ要因は?〜
山本:エス・エム・エス社内でも伝説の業務執行のスペシャリスト、信長さんに半年間お手伝いをしていただいたことです。
信長さんも僕も初期からのエス・エム・エスメンバーだったんですけど、僕が辞めてから1回も連絡取ってないんじゃないかな?というくらい少し疎遠ではあったんですけど、「信長さんがエス・エム・エス辞めるんだって」という話を聞いたとき、ちょうど事業をもっとドライブしたいというタイミングだったこともあり、速攻でFacebookでメッセージを送りました(笑)信長さんには「めちゃくちゃ現金だねw」と言われたんですが、背に腹は変えられないので手伝ってください。とお願いして手伝っていただくことになりました。
僕の性格上、会社規模に対して事業を多角化しすぎていたかな、というところもありまして、それをきっちり管理できるようにしたり、会議体や権限、組織体の整理をして運営の生産性が翌年以降向上するインフラを構築できました。さすが信長さんだなと。
それで半年間お手伝いいただいて、「ここからは僕が自分でやります」と自分でお手伝いをお願いしといて自分からサヨナラを切り出すという。本当に現金です(笑)
そして、ドライブ要因になったのは実は人材紹介事業なんです。2017年の4月から開始しました。
フード人材バンク、鮮魚加工や寿司職人などの「食」のスペシャリストに特化した人材サービス
エス・エム・エスって、まずはニーズがありキャッシュがしっかり稼げる事業でニッチトップを獲得して、そこで得た資金をその領域の周辺事業に投資して社会インフラを作っていくという順序で事業を展開して成長していったいたんですが、僕はその逆をやってしまっていたんですよね。
長期で勝負をするべき事業にいきなり最初から投資をしていったというか。それがなかなか大変なんですよ。
一方で人材紹介事業をスタートしたら2ヶ月くらいで黒字化してキャッシュを生み出せるようになりまして。ニーズがあって売上と利益が出る事業を、後からだったんですがスタートしたことがドライブ要因になったと思います。
阿久根:当社の事業が変わったのはちょうど僕が入社したタイミングと同じくらいですかね。
オフィス仲介をメインでやっていたんですが、入社したタイミングで既存事業のマネジメントなどをほぼ全て任せていただき、エス・エム・エスの創成期で培った組織マネジメントと売上拡大のノウハウを少しは発揮できたのかなと。
不動産系の経験はまったくなかったのですが、日々勉強しながらプロセスの最適化や組織改善をしていったんです。どちらかと言うと代表は0→1の得意な方で、僕が1→10タイプなので、まず既存事業がしっかり回るようになってきたタイミングから、代表は新規事業の立ち上げに集中していただくことが出来ました。
そして代表が立ち上げた新規事業をだいたい1年で僕や既存社員にパスしてもらって代表はまた新しい事業の立ち上げに集中するといった感じで成長ができてきたのかなと思います。
井下:僕らは世の中に新しい価値を提供する、イノベーションを起こすぞ、「新しい日常を創る」ぞ、と息巻いて会社を立ち上げました。そして初年度以降売上は数千万から1億超えへと大体倍々で成長をはしてきていたんです。順調だに成長しているな、という空気も社内に流れていたんですが、実は世の中を見渡すと、コンビニの1店舗の売上って年間1.5~2億くらいあるんですよ。
「新しい日常を創る」って言ってるのにコンビニ1店舗と同じ売上でいいんだっけ?それで「インターネットで宅配クリーニング使ってくれる人が増えた!」って喜んでて大丈夫なんだっけ?世の中に提供できている価値のインパクトが少ないよね、と。事業も倍々成長をしているしリピートしてくださるお客様も増え、黒字化もした。けれど新しい日常をつくれているんだろうか、と。
そのタイミングまでは自己資本でやっていたんですが、僕らがやりたかったことってなんだっけ?と役員陣で議論しまして、成長を加速させるために初めて外部からの資金調達をしました。それが変化のトリガーでした。
そして次の変化のトリガー、成長のドライブ要因になったのは経営企画部長の入社でした。組織づくりが未熟な状態で急成長していきますと、どうしても組織にひずみが生まれてきてしまって1度崩壊しかけたんです。そのタイミングで経営管理部門をお任せできる方に入社いただいて、一緒に「組織づくり」が出来たのは会社にとっての大きなドライブ要因だったなと思います。
三谷:トリガーは上場準備とCFOの入社です。
上場準備し始めると「社長が部長の仕事をしちゃいかん」って証券会社さんとかに言われたりするようになるんです。それまでは営業部門のTOPをやったりしていたんですが、徐々に本部長クラスを採用したり、マネージャークラスから昇格させたりとしていきました。
うまくワークしないこともあり本部長クラスの退任があって僕がまた兼務したり、ということもあってすごく辛いこともありました。。。凄い白髪が増えました。
そのときに今のCFOにジョインしていただいて。良き相談役、良き右腕が出来たといいますか。おかげで権限委譲やマネジメントもしっかり回るようになりまして、それが今から2ヶ月前くらいなんですが、一気に増えた白髪がまた減りました(笑)
エス・エム・エスマフィアの会社のドライブ要因とは
→幹部採用、資金調達、キャッシュを生み出す新事業など様々!
マネジメント上の大失敗とそのリカバリーはどうしたか?
実はここで採用の失敗談などを赤裸々に話していただいたのですがこれはイベント参加者のみのオフレコということで
※次回またイベント開催あるようですので、是非生で聞いてみて下さい
印象的だったのは皆さん採用の失敗を「自分がここをもっとこうしていたら」という自責の失敗談として語られていたことですね。同じような失敗を繰り返さないためのノウハウが満載でとても勉強になりました!
〜失敗もあった採用ですが、採用面接のときは何を重視してますか?〜
三谷:僕は面接をやらないこともあるんです。本部長には採用権限を持たせていますので、自分がジャッジして採用したからにはその採用に責任を持ってもらいたいんです。僕が最終面接をやると「だって社長がOKって言ったじゃん」という言い訳がしやすくなってしまいますし。
一部最終面接を行っている部門(営業部門)では、2つ重視するポイントが有りまして
・競争意識があるか
・会社に評価されようとしてくれているか
です。
競争意識についてですが、「お客様のために」というのもとても大事なことなのですが、「このコミュニティの中で一番になりたい、あいつに負けたくない」という意識ってとても大事だと思っているからです。
また、会社に評価されようとしてくれているか、についてですが「俺はこういう生き方だから」という人でもパフォーマンスを出していただけることもあるのですが、組織もある程度の規模感になってきているので、組織の中で評価されて昇進して行くためにはどうするべきか、と思ってもらえるというのはとても大事だなと思います。競争意識とかぶるところもありますが。
井下:採用面接での重視していることでいうと、、当社では経営陣全員の合意がでないと採用をしない、ということにしています。誰一人「ん?」と思っても駄目と。
重要視するポイントは、DeNAの南場さんがおっしゃっている事に近いのですが「人に向かうよりコトに向かう」ということです。自分のキャリアを最も大事にする人よりも、組織が目指す「コト」に一緒に向かい、成果を出した結果、自分のキャリアも積んでいけると考えられる人を採用しています。
実際、過去を振り返ってみても、自身のキャリアの事ばかり考えてしてしまう人は、成果を出すことに集中できていなくて、成果を出せずに終わってしまい、当社ではワークしないことが多かったです。
あとは、誠実かということですね。嘘をつかないというか。過度に良く見せようとし過ぎてないかとか。
経営者の経験がある人とかはすごく判断が難しいです、実力もあるだろうけど、自分の見せ方を知っているので実際の実力以上に見せるのが上手な人もいるハイキャリアの方ほど難しいなと実感しています。
阿久根:僕も井下さんと同じで誠実か、ということですね。
僕の面接って結構特殊かもしれないんですが、8割方僕が一方的に話すんです。相手に喋らせない。絶対に僕が主導権を握ります(笑)
〜笑いが起きる会場〜
で、喋ってる中で、突然質問を入れるんです。数少ない質問なのに、業界特有の課題とか答えにくい質問を(笑)
そこでの回答で「わかりません」って率直に言ってくれると信頼度が上がりますね。新しい知識や経験をインプットしていこうとする意識があるかどうかがわかりますし。
山本:スキルは当然チェックさせていただくとして、会社のバリューに合致する方か、というところですね。
ベタかもしれないのですが、幼少期から現在に至るまでのその方の価値観を形成してきたライフイベントやその時の意思決定の根拠などを徹底的にヒアリングします。そういう面接のほうが嘘がつけない、というか取り繕うのが難しいと思うんですよ。価値観の合致は非常に重要だと思っていて徹底的に聞きます。
エス・エム・エスマフィアの会社の採用面接とは
→失敗もあれど、それを昇華させて日々進化。採用はめっちゃ大事!
経営者視点と事業責任者視点はどう違うか?
〜エス・エム・エス時代に事業責任者をやられていた方も多いと思いますが、いわゆる「経営者視点」と「事業責任者視点」がどう違うのかを教えてもらえますか?〜
山本:難しい質問ですね(笑)
確かにエス・エム・エス時代にナースの人材紹介事業の責任者をやらせていただいていたときの事業規模は今の自分の会社の事業規模よりも全然大きいですね。
事業責任者時代は、目標という静止画を見せてもらって、それを達成するためにどうするか、という事を考えて行けばよかったのが、経営者になるとミッションに紐づけて何年後にどうなっていたいかというビジョンを掲げて、というのを常にアップデートしていかなくてはいけないということが全く違うかなと。とても変数が多いと言いますか。自分で掲げたビジョンも変化させたり疑わなくてはいけなかったりしますし。
最近はコーポレート・ガバナンスの重要性については経営者ならではの視点かなと感じています。会社員時代は言葉の意味は知っているレベルだったんですが、経営者になってみるとコーポレート・ガバナンスの設計ミスで意思決定がスタックする根本原因になったりします。これは経営者になってみたいとわからなかったことですね。
阿久根:僕はあんまり変わらないと思います。経営者とか事業責任者とか、事業規模とかによってやることは変わらないかなと。
ただ、伝え方は会社の規模間によって変わってくるなと思っています。今の会社は80人くらいの規模なのですが、そのくらいの規模ですと従業員一人ひとりのパーソナリティも理解できているので、どう伝えればいいかも、究極個別対応もできなくはなかったりするのですが、エス・エム・エスを退職したときは確か400人くらいだったので、その規模になると個別対応は難しくなりますよね。
大きな組織になっていくとメンバーに伝えるのがマネージャーだったりするので、そのマネージャーがメンバーに伝えやすいようにするためにはどうするといいのか、ということに悩んだりするのが事業規模による差ですかね。
井下:経営者ではない人に経営者の考えを持てと言うは難しいのですが、事業責任者に経営「視点」を持て、というのは正しいんじゃないかなと考えています。経営者でなければ見えないこともあるので、見たこともない景色を見ている経営者と同じ考えを持てというのはナンセンスではないでしょうか。一方で、経営視点を持って想像を膨らませてもらうことは考える幅を拡げより最適な判断や決断を下すために、事業責任者にも必要なことだと思います。
また、事業視点と経営視点の話とは違うかもしれませんが、どんなポジションでも大事なのは想像力とリスペクトだと考えています。ある程度の規模感になると経営者が必ずしも現場のことをすべて把握し切れているとは言い難くなりますので、そうなるとお互いが信頼して尊敬し合うことが大事になるなと思っています。社内でもリスペクトが大事だ、と言っているんですが、リスペクトの前には相手のことを想像することが必要で、リスペクトなしで始まった関係は大体うまくいかないという事が多いように思います。何事でも相手を尊敬することが大事だと考えています。
三谷:経営者視点を経営者じゃない人に持たせるのは不可能ですね。なぜなら経営者じゃないから。
経営者って会社が置かれてる環境も目まぐるしく変わりますし、毎秒毎瞬何かしら意思決定をしなくてはならなかったり。それと同じ経験を経営してない人にしろって現実的に無理ですよね。
エス・エム・エスでのマネージャー時代に思ったのは与えられたミッションをしっかり達成すること、メンバーに達成させることがマネージャー・事業責任者のやるべきことで、社長は会社のビジョン・目標に対して事業責任者それぞれがやるべきことを抜けもれなくダブりなく与えて、それを達成させることがやるべきことなんですよね。ですのでやはり視点が違うというのが適切かなと。
なので、僕は「経営者視点を持て!」とか「ビジョンについてしっかり理解してんのか?」とかは会社のメンバーには言わないようにしています。
経営者視点と事業責任者視点の違いは?
→そもそも経営者視点を経営者が持つのは難しい。視点も立場が異なるのでそれをメンバーに求めないこと。
イベントとしては以上でしたが、質疑応答での内容も可能な限り書いていきたいと思います!
Q.面接での評価は定性的になりがちで判断がし辛いと思うのですが、なにか工夫していることはありますか?
A.
三谷:うちの会社では「不適性検査」というのを面接前に候補者全員に受けていただいています。適性検査とは違って「この人はここが会社に合わないかもしれない」というのが数値と文章で事前に上がってくるので、そこに特に注意を払って面接をすることが出来ます。これはすごくいいですね。経営者仲間ほぼ全員に勧めています。
Q.エス・エム・エスマフィア、という言葉があるように、起業家輩出企業としてエス・エム・エスは有名ですが、なぜそのような文化が根付いたのでしょうか?また、登壇者の皆さんがいたときと今のエス・エム・エスではそれがどう違うかわかれば教えていただきたいです(※この質問は大学4年生でエス・エム・エスの内定者の方からいただきました)
A.
石野:何故かエス・エム・エスマフィアの名付け親として僕が答えますが(笑)エス・エム・エス出身起業家の方は、成功の方法を見つける方法をしっかり社内で教育されている印象です。どうしたら成功するか?だけではなく、どうしたら成功するための方法を見つけられるか?を知っているのが強いな、と。
あとは今の仕事を常に磨き続ける「ベストプラクティス」思考ですかね。
井下:僕ははエス・エム・エスには真摯で誠実な人たちが集まっていたな、集まっているな、と思っています。それは仕事に対しても姿勢も言えると思っていまして、
プロセスを考え抜くとか悪いことをしようとしないとかアタリマエのことをしようとか、ビジネスに真摯であるというのが何よりも強いなと。
三谷:エス・エム・エスのクレドの中に「正しいことを正しくやる」というのがありまして、それが凄くいいなと思っています。
起業家が多く排出されているのは、事業の構造化を教えてもらえることができるからですね。KPI、KGIの設定ができて、その事業が成功する可能性のシミュレーションができるようになるのは強いです。
阿久根:エス・エム・エスはポジションの取り方がうまいです。それを学べるかなと。今の世の中に完全な新規事業ってないと思うんですよ、皆さん頭が良い方ばっかりですし。誰も何もやっていない事業領域って存在しないと思うんですよ。
現にエス・エム・エスが看護師の人材紹介を始めたときにも、やっていた会社ありましたからね。そこでどう戦ってどう勝っていくか、というポジション取りの仕方は学べると思います。
山本:ストレッチオペレーション、っていう概念があるんですけど。創業者の諸藤さんがおっしゃっていることなんですが。
例えばあるビジネスで利益を出している会社があったとして、その会社よりも卓越したオペレーションを組むことができれば、絶対にその会社よりも高い収益を出すことができるはずで、ストレッチなオペレーションを組むために、高い目標(ストレッチターゲット)を掲げ、業界内外の様々な成功事例から情報蒐集し、それを自社に適用して施策化し実行する。それをデイリーでモニタリングできる仕組みを構築して日々オペレーションのレベルが上がっていく取り組みのことだと認識しています。。
戦略だけではなくて、オペレーションでも差別化できる、というのがエス・エム・エスの強みなのかなと思います。
ということでここで会場のお時間が来まして、盛況のうちに第一回のエス・エム・エスマフィアイベントは終了となりました。
会場を手配いただき、モデレーターとして僕をお誘いいただいた三谷さんはじめ、山本さん、阿久根さん、井下さん本当にありがとうございました。会場にお越し頂いた皆様にも感謝申し上げます!
これからもエス・エム・エスマフィアに注目ですね!
それでは。
Kosuke