ビズリーチは超大型37.3億円(ミナミ?)調達でどことガチンコするのか?
INST石野です。
昨日発表になったビズリーチさんの超大型調達は人材ビジネス界隈をざわつかせましたね。僕の周囲でも「スゲーよな」「何に使うんだ?」という声も上がってきておりまして、人材コミュニティ管理人の平田さんにも「ブログで解説よろ」とネタ振りされましたので、書いてみたいと思います。
金額にびっくりの37.3億円!果たして、3(ミ)7(ナ)3(ミ)とかけているのか?
37.3億円の調達とはすごい規模です。近年で同等の額を一度で調達したスタートアップは
・メタップス:43億円
・ラクスル:40億円
・freee:35億円
あたりの超有名スタートアップと同じくらいの規模です。メルカリの84億円調達もありましたが、メルカリだけは今の日本のスタートアップでは別格ですので、未上場スタートアップで国内最大級の調達と言っても過言ではないでしょうね。
ちなみに金額の37.3億円は代表の南さんに掛けたのではないかと知人のハイウェル市村さんが考察していたのは鋭いと思いました。その発想はなかったw本当なのか真意を確かめたいところです。
ビスリーチ事業は単体黒字ってまじ?TVCMもやってたのにスゴすぎワラタ
僕が今回の調達ニュースでびっくりしたことのひとつがビズリーチ事業の単月黒字化を既に達成しているということでした。先日の「ビスリーチ!」というTVCMも記憶に新しいです。TVCMの予算投下も含めての単月黒字化ということであれば、これはかなりすごいことだと思います。
また、既にビズリーチ事業は経営陣の手から離れており、既存メンバー中心に運営されているとも聞きます。事業・組織は仕組み化出来て「経営者がいなくなっても継続できるようにするまで」が本当の事業化だと思いますが、それが完璧になされている可能性が高いと。うーん。すごい。
スタンバイに投資→Indeed=リクルートとガチで戦うつもり?
サービススタートから10ヶ月のスタンバイは、誰が見てもIndeedを習って作ったサービスであるとわかります。
こちらスタンバイ。
こっちがIndeed。
ビズリーチさんは世の中で流行っているサービスや収益化がし易いモデルを人材ビジネスにうまく応用していることが特徴のひとつです。
ビズリーチは、業界で(多分)初めてユーザーから課金を行うという、いわゆる出会い系サイト×求人モデルで登録者の質を担保しました。COOの永田さんもMatch.comという、日本で言うと出会い系サイトの出身ですしね。また、若手向けのキャリアトレックなどは、気に入ったら右にフリック、そうでなかったら左、というUIをTinderというマッチングサービスから完全にパクっています。
ちなみに日本で「出会い系サイト」というとかなりグレーやピンクのイメージが有る業界ですが、海外では「デーティングサービス」と呼ばれてIPOしている企業もある、きちんとしたビジネスなんですよ。念のため。
さて、そのビズリーチは今度はリクルートが買収したIndeedとガチンコ勝負を本当にする気なのでしょうか?僕的には「Indeedはこういうところが使いづらい」などの要望を日本企業向けにカスタマイズして二番煎じを狙って行くのではないかなと考察しています。求人検索のジャンルで1番になれなかったとしても、Indeedもスタンバイも無料のモデルですので、ビズリーチさんが推奨する「ダイレクトリクルーティング=肉食系人事がたくさんの世の中」になれば、Indeedにもスタンバイにも無料だし登録するのが当たり前、という感じになりそうですしね。
現在もビズリーチの検索連動広告で収益を得ているということですので、スタンバイは単体で収益化しなくても問題ないのではないかな?と。求人検索数でどこまでIndeedに肉薄できるかが勝負、というところでしょう。求人検索のキモは求人の量と質になると思いますので、投資するとしてもたかが知れているような。。。
HRMOSで面取り勝負にでるか?対抗馬はネオキャリアのjinjerと予測
となると、僕的には収益を上げるために投資をするのはクラウド採用管理システムHRMOSになるのではないかと思います。CTOの竹内さんがこの辺にかなり注力するというインタビューもありました。
採用管理システムは今でも結構な数の会社が提供をしていますが、「これ!」と際立つものがないという印象です。
提供元は大きく分けて独立系と人材サービス系企業に二分されておりますね。
<独立系>
・リクログ:HRソリューションズ
・SONAR:イグナイトアイ
・Cycle:シーベース(enさんの子会社なので人材サービス系かな?)
<人材サービス系>
・HITO-Manager:インテリジェンス
・ACCESS ON LINE:マイナビ(HPないっぽい)
こんな感じのところがメジャーでしょうか?
いずれも導入先はアルバイトやパート採用、新卒採用などが大量に発生するような大手企業がメインで、おおよそ200-1000社くらいの導入実績というような感じです。
ビズリーチさんが後発で参入すると、強力な営業力をもってしても大手のリプレイスはなかなか厳しいと思うので、トレンド的にはクラウド型にして中小事業者を対象に取っていくという感じなのではないかなと。そうなると、競合になりそうなのはネオキャリアのjinjerではないかと。
こういった中小向けの面取り合戦は美容室向けにリクルートさんが提供している「サロンボード」のバラ巻きを彷彿とさせます。協力な商品力を持つホットペッパーをフック商材に、大量の営業マンでローラー営業作戦を仕掛け、ある程度の面がとれ、美容室の予約業務がWeb化できたかなーというところで無償提供していたサロンボードを「ホットペッパー掲載しないとサロンボード有料にするから」とやった、アレですね。
中小事業者の採用管理業務をWeb化していくことは、ビズリーチさんの推奨するダイレクトリクルーティングはもとより、人事が積極的に攻めの姿勢にならなくては実現しないことなので、ハードルは高そうですが、うまく行けばすごい革命になりそうです。業務プロセスに組み込まれて、「もうコレなしではどうにもならない」という状態になってからの値上げはシステム屋の常套手段ですからね。。。まあ批判はもちろんあると思いますけど。
面を取れた瞬間に手のひらをくるっと返すのかどうかはわかりませんが、僕の予想としては採用管理システムの方の営業部隊の強化、製品開発に今回の調達分は充当するのではないかなーと思います。もちろん、ビズリーチの経営陣の方々は、僕よりももっともっともっと優秀ですので、今回の予測以上の戦略プランを練っている可能性も高いですけどね。
面取り合戦をビズリーチのHRMOS、ネオキャリアのjinjer、どちらが制するのかはとても楽しみです。
それでは。
Kosuke