「ベンチャーだから」は万能免罪符じゃないよ、という話

INST石野です。

先週くらいに、スローガンという人材紹介会社の社長のブログがベンチャー界隈で話題になりました。

ベンチャー転職で失敗しないために知っておきたい10か条

まあ随分とベンチャー経営者やベンチャーで働く人には共感されていたようですが、私には残念ながら全く響きませんでした。ベンチャー経営者失格なのでしょうか。

要は、年収下げたくないとかポジション用意しろとか一攫千金諦めろ(ストックもらえると思うな)とか、書いてあります。

INST Blogの救世主、働き方ファーム石倉さんもこんなアンサーブログ書いてます。

ベンチャーだから転職で給与下がるの当たり前、に感じる違和感

僕的にはほぼ石倉さんと同意見ではあるのですが、僕なりの言葉でも書いてみたいと思います。

 

ポジショントークとしては超秀逸

務めていた会社の倒産や、有無を言わさず前職の知り合いに引っ張られたなどでない限り、殆どの人は何か望みを持って転職をすると思います。

例えば給与に不満があって年収をUPしたいとか、家から近くなる職場がいいとか、自分で会社やりたいから副業OKの会社がいいとか。それはその人の事情や価値観の問題であって、人材紹介会社や転職先の人事に否定されるようなことはあってはならないかと。

「自分がチャレンジしたいことなので、給与が下がってもいい」と個人が考えていたのであればまだしも

「うちはベンチャーだから給与も出せないし、実績がない人にポジションも用意できないよ」って企業や紹介会社が言うのってどうなのよと。

このスローガンの社長のブログは

・ベンチャー向けの人材紹介をしている
・紹介会社の経営者が
・自身の「法人」顧客向けに

発信をした内容としては極めて秀逸です。ポジショントークってやつね。多くのベンチャー企業経営者や人事に「よくぞ言ってくれた!」と賞賛されたことでしょう。だからいっぱいシェアされたりはてブついたりしたんだね。

 

求職者スクリーニングとしてやっていたらほんとすごい

ベンチャー行くのにワガママ言ったり高望みしたりしてんじゃねーよ。

というのがこのブログの骨子であるわけですが、恐らく紹介会社やエージェントとしてのレベルはそんなに高くないのではないかと思います。

なぜかといいますと、良い紹介会社というのは法人と個人の希望の両方をなるべく多く叶えてあげる紹介会社だと僕は思うからです。

人材紹介は仲介ビジネスです。お金をくれるのは法人ですので、法人の方を向くのはすごく大切なことだと思いますが、この会社に面談に行ったら「あー、まだそういうこと言ってるんですね。このブログ読んで置いて下さい。」って撃沈されるんでしょう。別にベンチャーに夢や希望、一攫千金やポジションを求めて行って何が悪い。

面倒くさいこと言うやつはウチに登録に来ないでよ、と言っているわけなので、当然ながら、この会社はスカウトメールで年収UPやIPO予定で一攫千金とか、事業部長候補を募集してますとか書かないんでしょうね。書いてたらマジでだれか晒してほしいわw

 

年収の35%ももらう人材紹介会社の価値とはなんぞや

僕も人材ビジネス経験者ですので、確かに扱いづらい求職者はいます。

「海外に語学留学行ってきたんで〜外資系の企業で〜年収600万円(前職は300万の契約社員)で残業なしの一般事務の正社員求人頂戴♡」

みたいなもう開花前線も真っ青になるようなお花畑脳の人とかをけちょんけちょんにするのはいいと思います。だってそんな会社ないから。

だけど、本当に優秀な人が欲しくて、高い年収やポジション、ストックオプションを用意してる超優良ベンチャーを探してあげることはできなくないはず。そこに人をマッチングさせてこそのベンチャー向けの人材紹介なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうお客様。

僕ももし今の会社で紹介会社使うとしても、自分が登録に行くとしても、この会社は使わないかなー。

 

金が無いなら採用しようとしないほうがいい

石倉さんが言っているように「ベンチャーだから」は免罪符ではありません。

キャッシュフロー回ってなくて、「ここでもっと仲間がいてくれたら!」と採用をしている会社もあることでしょう。

ですが、「ベンチャーだから」を押し付けて、その人の給与を下げて採用して、その人の家族を不幸にする資格はないわけです。

子どもがいたらよくわかります。やりがいで飯は食えないし、子どもを学校に行かせてあげたり習い事させてあげたりはできないんです。自分が年取って子どもがいるからなのかもわかりませんが、働く上でやりがいも大事ではありますが、給与も大事です。

親の年収が子どもの偏差値に影響するとか言う話は聞いたことがある人もいるでしょう。高い給与を望むことは悪いことではないと思いますよ、僕は。

まあ、どうしても欲しい人を年収下げさせて転職するんだったら、その会社の社長は、オファーの前に自分の役員報酬減額してその人の給与に充当できないかくらいの検討はするべきですし、最悪自分の持株比率と役員報酬、PL/BSを開示して「今こういう状態だからちょっとコレしか出せないんです。」と説明するくらいの誠意は欲しいですよね。

年収1000-2000万もらってる社長が贅沢な暮らししてて、転職してくる人の給与減額とかマジでザラにこのスタートアップ界隈でありますからね、怖い怖い。

やりがい搾取はもう辞めましょうよ、と。つーか、そもそも「ベンチャー」ってなんなんですかね。

それでは。