人手不足の時代に人材関連サービス業の倒産が急増というニュースについて考察

inst石野です。

 

ちょっと古いのですが

人手不足の時代に人材関連サービス業の倒産が急増  ~中小の人材紹介会社は長い冬の到来か~

というニュースを目にして「ブログネタ」のメモ帳に入れてあったので人材関連サービスの倒産について元人材ビジネスアナリストのinst石野が持論を展開してみようと思います。

 

ニュースの骨子としては

・人材紹介/人材派遣業の倒産がコロナ明けてから増加傾向
・コロナ禍で雇用調整助成金に守られた会社の体力が尽きたか?
・採用サービスの多様化などにより求職者獲得に苦しむ会社が増えたか?

ということのようで、まああながち間違いではなさそうな気がします。

 

もうちょっと各論で考えてみると、大きな理由は

1.儲かりそうだから人材紹介やってみるべ!という会社が頓挫した
2.ダイレクトリクルーティングが普及し、企業人事とバッティングして勝てなくなった

の2つかなと僕的には思ってます。

 

まず

1.儲かりそうだから人材紹介やってみるべ!という会社が頓挫した

これが一番多そうな気がします。

人材紹介は一見参入障壁が非常に低く見えます。

・資本金500万円以上あればOK
・紹介免許取得も3ヶ月くらいあれば誰でも可能(書類提出と講座受講)
・求人獲得支援サービスも、求職者獲得サービスもたくさんある

これに加えて

・採用難の時代で求人募集はたくさんある
・紹介手数料の単価が高い(年収の35%が標準、それ以上も可能)
・特定の顧客リソースや求職者(になりそうな)DBを保有している会社もある

ということで、儲かりそうだからやってみるべ〜という会社はこの数年特に多かったように思います。

皮算用でだいたい

・年収4-500万円くらいの人をターゲットにして
・年収の35%で決定報酬150万くらいいただいて
・月に2名くらい決めれれば売上300万!
・ビズ◯ーチに30%払って人件費引いても一人当たり100万くらいは利益確保できそう
・設備投資もいらないし、今ならオンライン面談するから面談ブースもなくて良い

みたいな感じでそろばんを弾くのではないかと思いますが、ところがどっこい、人材紹介そんなに甘くないです。

まず多くの会社で見誤るのが以下の項目だと思います。

・求職者獲得後の自社経由での決定率
・コンサルタント一人あたりの生産性

求職者獲得後の自社経由での決定率ですが、一般のオフィスワーク職では大体10%くらい、看護師や薬剤師などで2-30%くらいが標準だと思われます。

仮にオフィスワーク職で10%自社決定だとすると、月2名決定のためには20名面談をする必要があります。で、プラスして面談の呼び込み率は5-60%位になると思うので、スカウト媒体だけで獲得するとなると35-40名は求職者をGETしなくてはなりません。

スカウト返信率は近年爆下がりしてますので、慣れているエージェントで3-4%だとすると、新規参入した紹介会社では2%出れば御の字でしょうが、仮に2%でも40名獲得のためには2000通スカウトを送らないといけません。。。毎営業日100通。RPAでスカウト送れば簡単でしょうが、それですと返信率は1%以下に下がるでしょう。

逆に広告運用で獲得となると獲得単価2万円だとしても80万円。エンジニアとかだと2万円じゃ多分獲得はできないですよね。

あれあれ、だいぶ雲行きが怪しくなってきました。。。

そしてコンサルタント一人あたりの生産性ですが、ジェイエイシーさんのIRを見ると、2023年度でコンサルタントひとりあたり220万円/月という数字が出ています。業界大手でたくさんの求人を保有しているジェイエイシーさんで220万ですよ。ポっと出の新規参入エージェントが月2名決定を出すのがどれほど難しいかはおわかりいただけるのではと思います。

 

次に2.ダイレクトリクルーティングが普及し、企業人事とバッティングして勝てなくなった

これも結構有力かなと。

僕も人材紹介経験が2006-2011年の5年間ほどありまして、そこそこ稼がせて頂いたわけですが(最高は年間フィー5000万円ほど)その当時のエージェントは「人材エージェントしか活用できないスカウトDBから求職者集客できる」というのが一種の強みでもありました。

当時多くの人事が直接利用できる求人媒体は「求人掲載をして応募をする」モデルが主力でしたので、企業人事がスカウトを送るという概念自体あまりなかったように思います。

・待ちの採用をする企業人事に
・攻めの採用支援をする人材エージェント

というのでバランスが取れていたなと。

かたや今はビ◯リーチさんを筆頭に「ダイレクトリクルーティング」という概念が全世界に浸透し、企業人事もほとんど人材エージェントと同じ求職者DBにアプローチができるようになったわけです。

そうしますと、高い紹介手数料を支払うよりも人事の人員を増やしたり、ダイレクトリクルーティング支援の会社に依頼をすることで転職希望者を直接獲得ができるようになり、人材エージェントの存在価値が若干薄れてきてしまってきたというのは事実だと思います。

一部RPO(採用代行、採用アウトソーシング)に舵を切って売上を確保しているエージェント会社もありますが、じゃあポっと出のエージェントがいきなりRPOに舵を切れるか、というとそれこそスカウトや面接オペレーションのノウハウがないとしんどいということになります。

 

ということで、まあ結局淘汰されるのは淘汰されるべくして淘汰されるエージェントなのかなというので、業界の健全化が進んで良い方向に向かえば良いと思うのですが、人材紹介事業はあんまり甘くない、ということが今日は言いたいわけです。

 

 

instでは顧客の80%くらいが人材紹介/人材派遣の企業様ですが、珍しいことに当社クライアントでの「廃業」というのはあまり耳にしないように思います。

instのSMSや自動架電のサービスは「集客や営業がうまくいったあとに使う、歩留まり改善のサービス」だからだろうなと思ってます。そもそも集約うまくいってないと歩留まり改善しようぜ、とはならないわけですしね。

先日、instの創業時に当時3名だったとある業界特化型の紹介会社の社長と久しぶりに打合せをしたのですが、今では30名規模になっており、トータルでの売上は年商30億を突破されておりました。(紹介事業以外もありますが、大半は人材紹介)

今でもコンスタントにINST Messengerをご活用いただいており、とても嬉しく思いましたし、こうして伸びる会社さんと初期からお付き合いができているのは非常に幸せなことだと思いました。

 

INSTにはSMS以外にも述べ400社超の人材会社の歩留まり改善を支援してきたノウハウがありますので、もし人材紹介をもうひと伸び、させたい会社の方はお気軽にXLinkedInにDMいただければ幸いです!

今日はこのへんで。

それでは

Kosuke

 

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