「すぐ転職しない」人の増加について
inst石野です。
御存知の通り、instのお客様には人材ビジネス、特に人材紹介業のクライアントが多く、やり取りさせていただく担当の方も求職者サイドの方が多いわけですが、最近よく
「すぐ転職しない」という人が増えた
という話を耳にします。
今日はこれについて考察してみたいと思います。
求人ニーズは高まる一方。コロナ前の水準まで回復。
大きな流れとして求人マーケットの回復というのが影響しているのは間違いないのではと思います。
コロナ禍ではだいぶ縮小した求人マーケットもほぼコロナ前までに回復し、各社とも積極的に求人を行っているようですし、有効求人倍率はまだコロナ前の水準までは達していませんが、回復基調ではあります。このあたりは僕が詳しく解説するよりも下記の記事などをご覧になっていただくとよりよいかと思います(手抜き)
人材業界の転職市場規模・業界地図とコロナ以後の動向
雇用関連統計24年3月-有効求人倍率は1年4ヵ月ぶりに改善したが、求人数は減少が続く
増え続ける人材紹介事業への新規参入
これも皆さんご存知と思いますが、厚生労働省のデータによると令和5年度時点で
有料職業紹介事業所は3万事業所を突破しています。
※伸びがすごかったのですがスクショなので画像粗くてごめんなさい
3万事業所ってすごいな。。。と思ったので、コンビニと比較でもしようと検索してみると、
ということがわかりました。ということは、有料職業紹介事業所はセブンイレブンの1.5倍も存在していることになります。
まあ、有料職業紹介事業免許を持っている事業所すべてが人材紹介業を向上的に行っている訳ではないにせよ、相当な数のプレイヤーが人材紹介ビジネスに参入していることは間違いないでしょう。
そりゃあどこの会社も求職者獲得が難しくなるわけです。
潜在層アプローチが必要不可欠になった結果。。。
結論、これが一番の理由だと思います。
企業の採用ニーズは高まる+労働人口は減る+柔軟な働き方が増える(正社員が減る)+紹介事業者が増える
→すぐに転職してくれる顕在層だけにアプローチしていては求人ニーズが満たせない
→すぐに転職してくれない潜在層も集める必要性が高まった
これに関しては一昔前、僕が人材紹介ビジネスに従事していた頃から潜在層アプローチが必要とは言われていたのですが
当時は
転職を考えてなかった人に「転職っていう方法もあるよ」
というアプローチが多かったのに対して、
最近は
転職を考えたことはあるけど、今じゃないかな・・・という人に「今じゃなくてもいいから相談して!」
みたいなアプローチが増えたように僕は感じています。
買い手市場だった昔は、求人広告ドカーンと掲載して、大量に来る応募者をさばいて面接しまくるみたいなのが採用活動だったのが、マーケットの変化によって売り手市場になりダイレクトリクルーティングからのカジュアル面談みたいなのがスタンダードになりつつあるので、こういった「すぐに転職しない人」が増えてきたのは自然な流れなのかなと思います。
人材紹介会社は「すぐに転職してくれる求職者」が好き
これは当たり前といえば当たり前なのですが、人材紹介の収益の発生は「転職決定」になるので(リテーナーの場合を除く)、今すぐ転職してくれる人はすぐお金になりますが、そうでない人はお金になるのが遅くなるばかりか、お金になるかどうかもわかりません。
紹介会社の集客方法としてスカウト媒体が人気なのもこの「スピード重視思考」が影響していると思います。
すぐに転職してくれる転職顕在層を集客するにはコストが掛かり、個々の紹介会社の集客では太刀打ちが出来ないくらいのレベルに達してしまっているのでビズリーチやリクルート、DODAなどの大手人材企業が莫大な予算を投下して求職者を変わりに集客して紹介会社に送客するというのが今の人材紹介の事業モデルですよね。
スカウトメール送付に費用がかかる場合もありますが、紹介会社がスカウト媒体に支払うのは転職希望者が入社したタイミングで採用成功報酬の◯%というのがメインなので、懐も痛みづらいですし、転職意向の高い求職者が集客できるので率先してスカウト媒体に予算を投下する傾向が強いです。
2016年にこんな記事を書きました。
オウンドメディアの重要性はみんなわかってるけど、すぐ金にならないから「失敗した」と思いがちだよね、という内容の記事です。8年前の記事ですが、今日言いたいことと同じような内容ですので参考にご覧になっていただければと。
スカウト媒体にが強過ぎた弊害がここに来て痛過ぎる件
人材紹介ビジネスは利益率が高く、1ショットの金額も大きく、ある程度の習熟度があれば売上を出せるコンサルタントになれるということもあり、多くの企業が参入しました。
紹介事業に参入する会社の増加は、人材紹介会社の事業をサポートするサービスを数多く生み出しました。
今では、求人開拓も人材獲得も(ある程度であれば)お金を払えばやってくれるサービスがある状態で、それらに対価を支払っても事業が成り立ってしまう状態なのかなと思います。
結局のところ、本来であれば人材紹介会社が自分で身につけておく必要があった
・求人獲得スキル
・人材獲得スキル
を本当の意味で身に付けられていない紹介会社が多く増え過ぎてしまったのかなと思います。
特に人材獲得においては、ビズリーチをはじめとしたスカウト媒体が強過ぎた結果、自社で頭を捻って中長期的な視点で求職者を獲得できる紹介会社は業界内でも
・予算がたくさん使える超大手
・オウンドメディアを地道にやっていたブティック型
・リファラルだけで成り立たせられる満足度の高いエージェント
などになり、業界内のマジョリティを占める中小〜準大手の総合型紹介会社の中にスカウト媒体がなくても生き残れるよ!という紹介会社がどのくらいあるのか、という話です。
そして業界全体としてスカウト媒体に頼りすぎた弊害により「ナーチャリング」という発想や実施スキルを持った紹介会社は少ないので、今回のような「すぐに転職しない」という候補者が増えてくると収益性が悪化してくる可能性が非常に高くなってしまいます。
今後行っていくべき打ち手とは?
原則的には登録者や転職相談希望者が、成約に至るまでのリードタイムが以前に比べて長くなっているということを念頭においた上で、いくつか行っていくべき打ち手を考えてみますと
・ナーチャリングの発想を持ってコンテンツマーケや定期的なコミュニケーションを設計し直す
・意向の高い求職者を取りこぼさずクイックに成約まで持っていく
という事が重要になってくると思われます。
ナーチャリングについては、MAツールの活用、システム見直し、コンテンツマーケ+定期的なコンタクトがあげられます。
医療福祉系や保育系の紹介会社はスカウト媒体が限られていたり、ビズリーチのようにずば抜けた集客力があるスカウト媒体が少なく、自前集客の必要性が高かったので、比較的こういった取り組みが業界内でも進んでいる傾向が強いと思います。総合型エージェントも見習っていくべきでしょう。
多くの会社で利用している紹介会社向けの業務管理システムは、求職者・求人情報の整理やマッチング、進捗管理には向いているのですが、MAツール連携やナーチャリングの観点では機能が弱いです。Salesforceを導入する会社が増えているのはこのような流れも影響していると思って間違いないかと。
コンテンツマーケについては今まで記事作成の工数や速効性がないという観点で敬遠していた会社も多いことと思いますが、生成AIの活用で記事作成はかなりイージーになりました。AI活用できる自信がない。。。というかたは僕の友人のTalentalの武田さんが人材業界経験も長く、AI活用にも造詣が深いのでご相談されてみてはいかがでしょうか。
MAツールを使うほどではないかな。。。という会社はLINEやメルマガ、SMSを活用して定期的なコンタクトをするというのが手軽でよいかと思いますが、
・LINE→ノイズに思われてブロックされる事が多い
・メルマガ→そもそも読まれない
というので、SMSは結構使えると手前味噌ながら思っています。
実際に当社のINST Messengerの利用クライアントも、実稼働から3ヶ月、6ヶ月、1年などのタイミングで転職状況のアンケートを一斉配信するというような利用方法で成果を出し、継続利用いただくことが多いです。INST Messengerは従量課金制で月額基本利用料もないで送信頻度が低く、2-3ヶ月に1回数百〜数千通くらい送りたい、というニーズにはマッチしていたのかなと。
また、意向の高い求職者はどこでも欲しい&スカウト媒体上で取り合いになることも多いので、クイックで効率的な面談呼び込みからの面談実施の重要性が上がってくるでしょう。
宣伝にはなりますが、当社で販売し始めたINST 3BDのクライアントでは、導入前後で
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ということで、今日はこんな感じで「すぐに転職しない求職者の増加」について考えてみました。
それでは。
Kosuke
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