メスライオンに学ぶ「愛」のあるダイレクトリクルーティング
INST石野です。
昨日は、俺たちの釣り、じゃなかった、これからの人材紹介の平田さんが主催する、まさに今が旬の”メスライオン”こと宇田川さんが登壇する勉強会に参加させていただきました。カノープスの青山さんも参加されていてブログ書かれてましたね。
宇田川さんは業界の有名人ですが、ご存じない方はこちら。ダイレクトリクルーティングで4ヶ月で20名の採用を成功させたという強者肉食系人事です。LIGさんのブログで取り上げられて話題になりましたね。すごいなLIGブログ。INSTブログも1/10の規模や影響力くらいにはしたいものです。
「アダ名はメスライオン」4ヶ月で20名を採用するスカウト文の原点とは
宇田川さんは非常に愛と情熱にあふれており、1時間のプレゼンテーションの節々に「ネットマーケティング愛」「採用活動への愛」、そして「まだ見ぬブラインド状態のレジュメの候補者への愛」を感じることができました。1時間が短く感じましたね。
コチラ宇田川さん近影。メスライオンという名前つけた人を褒め称えたい。
返信率をKPIにしたテンプレスカウト活動の是非を問う
メスライオンだからといって、手当たり次第転職希望者に襲いかかっているわけではありません。様々な求人メディアの求職者DBを目の皿のようにして見て、「これぞ!」という人にテンプレではない、まさにフルオーダーのラブレターのようなスカウトメールを送っているとのこと。そのスカウトメールの文章は時に1500字を声、制作するのに土曜日半日使ったりするそうです。まじか。
テンプレスカウトをじゃんじゃん送って、返信率1%とかの人材紹介会社の方々には耳の痛いお話でしょう。
確かに業務の平準化(誰にでも安定的なパフォーマンスがあがるように)を考えれば幾つかのテンプレを作成して、返信率をKPIにして通数を送るスカウト活動を選択する気もわかります。ですが、そのような活動によってじゃんじゃん届くスカウトメールは果たして転職希望者の心を動かすものになっているのか?
人材紹介ビジネスは登録決定率10%が一つの目安です。仮に面談呼込み率60%、ドタキャン率10%、スカウト返信率が1%だとすると、
1名決定→10名面談→11名面談セット→18名のエントリー→1800通のスカウトという数式が成り立ちます。これですと非常に効率が悪いので、1名面談につき3~5の応募承諾を取ることにより、360~600通のスカウトにつき1名決定というような形になるのでしょうな。
求職者DBへの接し方は狩猟型ではなく以外に農耕型
無駄なテンプレスカウトメールはエントリー率が下がってしまうだけではなく、その媒体に未来への希望をもって登録した転職希望者に「あ、またテンプレか・・・」という絶望感を与えてしまい、結果として愛があるスカウトメールの開封率も下がってしまうと。この辺りどうしていくのが正解かはなかなか断言しづらいです。
メスライオンは「DBを荒らさないようにしよう、耕し育てる概念をもとう」と言っていました。狩猟型から一転農耕型にシフトです。
心をこめてスカウトメールを送る→求職者が愛を感じる→スカウトメールをまた見るようになる→エントリー率が上がる。すごく良いサイクルですね。毎日数百件〜数千件のスカウトを送ることもなくなりそうです。多くの紹介会社はいわゆる二次媒体に集客を頼っているわけですから、良いスカウトが届く集客媒体、というブランディングをしていく義務はありそうな気がします。
スカウトの返信率が低い、とRANやDODA、enやイーキャリアFAさんなどに文句を言う前に自分の送っているスカウトメールは本当に魅力的で愛にあふれているか確認するべきなんでしょうな〜
紹介会社が第3者として介在することの本当の価値を考える
宇田川さんの話を聞いていて思ったのは、「あー、こういう人事が増えると世の中はもっと良くなるだろうし、紹介会社は仕事しづらくなるだろうなー」ということでした。だって、現場からのオーダーきたら3日以内に面接設定がメスライオンのKPIだそうですよ。オーダー貰って3日で面接組める紹介会社さんってそんなに多くないんじゃないかなと。
また、費用面に関しても直接スカウトで媒体にお金を支払うほうが、多分年収の35%よりもリーズナブルに採用ができるでしょう。なおかつ利用する求職者DBが同じで、人事は愛にあふれた半日掛けて文章をつくったスカウト、紹介会社はテンプレのスカウトメール。。。そうすると人材紹介会社の存在価値は何になるのでしょう?
メスライオンが言っていたのは「第3者が介在することでしか応募してこないゾーンの人に会える」ということでした。いわゆるエグゼクティブ層とか、ド競合から人を引っ張ってくるとか。ふむふむ。
余談ですが、僕が以前働いていたセレブレインの経営陣は日本オラクルの元人事で、DECやIBMからじゃんじゃんエグゼクティブを直接引っ張って採用していたと聞きました。そうか、俺もう一人メスライオン知ってたわw(わかるひとはわかりますねw)エンタープライズ業界はセミナーとかで登壇する人も多いですが、ネット系とかその他だと難しいかもしれないです。名前でてること少ないからね。
採用企業側にとっての紹介会社の価値は
・エグゼクティブ・ド競合の人を呼んでこれること(メスライオン談)
・採用に関するコンサルテーションができる(平田氏談)
※その採用要件って、これじゃいけないんですかね?とか、こういういい人いてマッチすると思うんですけどどうですかね?とか、採用マーケットについての俯瞰した意見を伝えるとか
というのがセミナーで出ましたね。コチラに関しては僕もAgreeです。求人票貰って「はいわかりましたー、頑張ります」って二つ返事してスカウト送って「エントリーありました」だけの紹介会社は今後淘汰されていくということなのでしょうな。
人事採用と紹介会社のハイブリッドリクルーターが流行りそう
メスライオンも人材系企業出身で、自分でスカウト送ってたことがあり「これ人事でやってもできんじゃね」ということから肉食系人事になったそう。
採用難が叫ばれて久しいですが、人材ビジネス出身者をその経験を活かしてリクルーターとして採用する企業はこれから増えそうな気がします。スカウトのノウハウ(はもしかしたら崩れてしまうかもだけど)や、求人マーケットのデータを知っていることを活かして、メスライオンの如く狩猟型採用を行うことにより、企業を成長させたいという経営者は増えてきそうです。
その際に大事になるのは、採用担当として「会社の中」だけでなく、きちんと「外」のことも知っていて常に情報がUpdateされているということでしょう。そのために紹介会社とうまく付き合う事が大事と思います。なんとなく感覚なんですが、人材紹介会社から人事の採用担当に転職すると、日頃人事の人にいじめられていた鬱憤を晴らすべく、いきなり業者扱いしてくる人が居たりします。先輩にいじめられてたから自分が先輩になったら後輩いじめるみたいな。
そういうのはカッコ悪いし、良い関係を築くにはやってはいけないことですね。人事と紹介会社、メスライオンの言葉を引用すると「会社名は違えど、同じチームとしてやっていきたい」という、これに尽きますな。
また、今回メスライオンという異名で人事採用の方がこのようにフォーカスされたのも、成功要因であると思います。宇田川さんの場合は「メスライオン」というキャッチーな肉食系キーワードに、これまた肉食系の外見(失礼)が合わさり、一気に有名人になりましたしね。この辺りは採用戦略としてはすごくうまかった。狭い業界の中でも有名人になれば「メスライオンに会ってみたい」とうスカウト返信のフックがひとつ増えるわけですからね。人事の人をどう外で目立たせるかも、ダイレクトリクルーティングの大事な要素なのかもしれません。
平田さん、宇田川さん、昨日は本当にありがとうございました!
それでは
Kosuke