キッズラインにみる社会的意義の高いビジネスが抱える問題

キッズラインにみる社会的意義の高いビジネスが抱える問題

inst石野です。

キッズラインの男性シッターによるわいせつ事件が2件目&男性シッター一律排除の対応がニュースになり、SNSを賑わせているのは皆さんご存知のことと思います。

【速報・詳報】キッズラインのシッター2人目、わいせつ容疑で逮捕 内閣府補助対象、コロナで休園中に被害一部報道につきまして(6月12日追記)※キッズラインによる

※最初に見たときはキッズラインの発表の日本語がおかしかった気がしたんですが、修正されたんですね

社会的意義が高いビジネスが抱える問題とは

キッズラインというのは、連続起業家でもある経沢香保子氏が立ち上げたベビーシッターのCtoCマッチングサービスです。

日本では保育所・保育士の不足により、働きたくても働けない子育てママさんが多数いることから、非常に社会的意義が高いサービスとして注目を集め、多くのユーザーを獲得しているようですのでニーズも間違いなくあったと思われます。

極めて社会的意義が高いビジネスなわけですが、俯瞰して見ると気をつけなくてはいけない点がいくつかあるように思います。

・安全担保と事業拡大のバランス

・従業員に対してやりがい搾取が横行

・急成長という麻薬

などが考えられます。
※こちらに関してはキッズライン社を批判する目的ではなく、社会的意義が高いビジネスを行う企業ってこれ系の問題を抱えがちだよね、というあくまで問題提起です。

安全担保と事業拡大のバランスの見極めは極めて難しい

キッズラインに関しては、今回登録シッターがわいせつ事件を起こしたというのが問題なわけですが、これを見分けなかったのが問題かどうかと言われると疑問が残ります。

例えばアメリカなどでは性犯罪者のデータベースが公開されていたりしますが、そういったものが日本にはありませんし、もし前科がなかったらリファレンスチェックもなかなか難しいでしょう。

キッズラインのシッター登録ページのスクショです(問題があれば削除しますのでご連絡ください)

この登録フローを見るとSTEP2でキッズライン側のチェック、STEP3でキッズラインが認定したトレーナーのチェックが入るような仕組みになっているようですが、STEP2が「サービス概要説明30分で終了となる場合もある」ということですので、ここでのチェック機能はあまり期待できないような気がします。

ネットを活用したマッチングプラットフォームでは、規模が大きくなるにつれてこういった「監視の目が行き届かないトラブル」が発生する確率が上がります。

例えばUberも運転手が交通事故を起こすだけではなくレイプ事件も多発していますし、メルカリやヤフオクで実際にトラブルを経験した人もいるでしょう。

事業を拡大するにはネットを活用して広く利用者を募るだけではなく、登録率向上のために安全性と利便性を天秤にかけた事前登録フローで頭を悩ませなくてはいけないわけです。

ここでのポイントはプラットフォーム側が補償し切れないものほど社会的意義が高いビジネスであるということです。

メルカリやヤフオクのトラブルはモノの売買が基本なので最終的にプラットフォーム側がお金で補償すれば大抵は解決するわけですが、Uberで起きた死亡事故やレイプ、今回のキッズラインで起きたわいせつ事件は被害者を傷つけてしまい、それは100%癒えることがないわけで、より慎重に事業を進めていく必要があると僕は思うわけです。

ベビーシッターによる暴行やわいせつ事件は予期が出来なかったわけではないと思いますし、トラブルが起きやすいCtoC事業と組み合わせたときにどうなるか、というのは想定はできるわけです。

今回は結局のところ、安全を担保するための仕組みをビジネスとして成立させるためのコスト見合いで天秤に掛けたときの企業側の判断が甘かったと結論付けられてしまうわけです。もちろんこれは結果論でして、問題が起きないと規制も出来ないし運営側も気づかないという悲しい事実なわけで非常に難しいところでもあるのですが。このあたりは生食のユッケ食中毒で死亡事故が起きて生肉が規制されて食べられなくなった事件に似ているような気がします。

崇高なビジョンのもと、従業員に対してやりがい搾取が横行しがち

社会的課題を解決するという崇高なビジョンがあると、過重労働や低賃金といったシチュエーションが多発します。

・俺たちのミッションは社会的な課題を解決して世の中をより良くすること

・会社の成長・事業の成長が社会を良くすることに繋がる

→なので給与とか残業代とかに文句を言わずに「自己成長」と「事業成功」にコミットする人をWanted!

もうこの思考回路まじでどうなのかと思いますが、人材系でも極めて頻発しています。「雇用の創出」という崇高なミッションを盾にされてしまうと、やれ残業代だの昇給だのを会社に対して主張するのがアホらしく感じられるようになってしまうわけです。

これに気付いたブラック企業の経営者の方々が、自社の事業に後付で崇高なミッション・ビジョンを掲げたり、行動指針を作ったりしたわけですね。ここはテストに出ますのでよく覚えておきましょう。

急成長という麻薬が判断基準を鈍らせる

急成長という麻薬というブログを以前書いたわけですが、社会的意義がある事業をビジネスにすると高確率で急成長を実現できます。困ってる人は多いのでニーズはあるし、ミッションが崇高なので人集めも容易ですし、ニーズがあって人が採用できるので資金も集めやすいからです。

ただ、前述した通り、社会的意義が高い事業であるほどトラブルが起きたときの補償範囲が大きかったり、成長が進むにつれてサービスを利用する人の民度が下がる(正確にはユーザーの裾野を広げないといけなくなってくるので)という点に目を向けずにまっすぐ前だけ、すなわちミッションだけを見て猪突猛進してしまい、会社としての判断基準を鈍らせてしまうわけです。

たとえばキッズラインを例に取るとトラブル発生時に「私達あくまでプラットフォームなので」という姿勢が見えてしまうのと、男性シッターの排除という対応をしてしまったので、炎上してしまったりするわけですが、トラブルを起こしたのが男性シッターだからという理由で男性シッターを排除するのは、正月に餅を喉につまらせて死ぬ高齢者が多いので餅を販売禁止にします、というのと変わらないわけで、企業としての正確な判断であったとは言えないのではないかなと。

ここで対応としては

・被害に合ってしまった方々への補償やケアをキッズライン全額負担で行うこと

・同様のトラブルが起きていないかユーザーヒアリングを実施すること

・小児愛者かどうかのチェックを登録時に厳格化すること
※どうやるかわからんけど

などを施策として打ち出していれば少しは味方が増えたのではないかと思うわけです。

あと、これ最後にこれが一番大事かなと思うんですが、キッズラインって経沢さんを看板にして成長してきたと思うわけですよ、美人ですしメディア露出も多いですし、ファンもたくさんいます。多分社員の方々も経沢さんに惚れて入社したって人多いはずです。なので、こういうトラブルが起きたときも一番の矢面に立って記者会見したり自身が持っている各メディアで謝罪とかをするべきだなと、僕は個人的には思うわけです。

何れにせよ、こういったリスクやトラブルを考えるとtoC向けの事業をやっている会社や経営者の方は尊敬するわけで、僕はtoBで「ビジネスです」と割り切れるSaaS事業を選択したのが合っていたんだな、と思いました。

それでは。

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〜あとがき〜
先日6月13日に11回目の結婚記念日を迎えました!

2009年6月13日に結婚式、入籍をして11年なわけですが、そんな僕らの結婚記念日は大好きだったプロレスラー三沢光晴さんの命日でもあります。

改めてご冥福をお祈りいたします。

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