『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読んでみた

『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読んでみた

inst石野です。

この本を手に取って読んでみました。

このブログの読者の中にも結構読まれた方が多いのではないかなと思います。

僕は直接リクルートで働いたことはないので、江副さんとはもちろん面識はありませんがリクルートの創業者ということで名前は知っていましたし、お亡くなりになった際に献花に行ったり彼を偲ぶSNS投稿をしていた知人が多かったのを記憶しています。

そして全くの偶然なのですが、サラリーマン3社10年の経験でinstを創業したわけですが

・1社目の代表:リクルートコスモス(宇野康秀さん→鎌田和彦さん)
・2社目の代表:リクルート(高城幸司さん)
・3社目の代表:インテリジェンス(元インテ同期)

と元R系の社長の会社でしか働いたことが無いという奇妙な経歴であったということを改めて認識しました。HR業界の経験も長いですし起業家仲間にもR出身の方々が多いです。ので社会人としての自分のルーツを探るような、先祖探しのような気持ちでサクサクと読みすすめることができました。

僕にとっては当たり前のR的カルチャー

学生起業をした江副さんが築き上げたリクルートのカルチャーはその時代の日本には異質であったようですが、遠戚のような関係にある僕にとっては極めて「当たり前」のものでした。

女性や未経験者が活躍する職場だったり、社員を熱狂させモチベーションと当事者意識と責任を持たせて働かせるというのは、まさに僕が新卒で入社したインテリジェンスもそういった企業風土でありました。最初に社会人になったときに植え付けられた価値観というのはとても大事だったんだなあと。

1点違ったのは、細かいところかもしれませんが高卒や在日韓国人などの人材活用は時代が変わったからなのか、ベンチャーブームによってそこまで採用の裾野を広げなくても良くなったからなのか、または中途採用の人材紹介がメインの事業であったからなのか、僕がインテリジェンスに入社した2005年当時はなかったように記憶しています。学歴フィルタバリバリでしたw

そして僕はあまりそういったR的な熱狂する会社カルチャーが肌に合わず(笑)、1年3ヶ月という短い期間でインテリジェンスは辞めてしまうのですが。

みんなリクルートを作りたかったけど作れなかったのは?

リクルート出身の起業家が多いのは、江副さんが作ったリクルートに入って「俺もこんな会社を作りたい」と思う人が多かったのと、「俺にもできそう」と思わせるのが上手だからに他ならないでしょう。

自分より優秀な人を採用する、ということは理論上社内にいる人材の採用レベルはどんどん上がっていくわけで(実はそんなことは無いのですが)すし、みんなリクルートは自分の会社だという認識なわけですから部門やチームのマネジメントをしているのと自分で起業するのとは大差ないと感じるからでしょう。

とはいえ、現時点でリクルート出身起業家がリクルートの時価総額を超える会社を作れていないというのは奇妙なものでして、これはゴールドラッシュの時代に一番儲かったのは金を採掘した人ではなくリーバイスだったというのと似ているというのと、市場自体が急激に成長していたリクルートの創世記と、今の時代の差によって生じるもの、そして価値観の多様化に伴う画一的マネジメントの限界が影響しているものと思います。

テスラが日本で絶対生まれない理由

そして、著者の方もおっしゃっていましたが、やっぱり日本社会の限界はここか。と僕も感じました。

リクルートほどの会社でも、日本社会や経済界から「出る杭」と見られてしまうような日本では、世界を変えるようなゲームチェンジャーは産まれないというのがやはり結論かなと。

日本社会の既得権益を守ろうとする文化が蔓延っている限り、江副さん然りホリエモン然り、本気で世の中を変えようとした人たちには何らかの目に見えない社会的な圧力がかかり犯罪者に仕立て上げられてしまうわけです。

片や池袋で自動車事故を起こし母子を死なせたり、総理大臣任期中に国会の答弁で虚偽の報告をしましたと言っても上級国民は全く裁かれないという。これが日本なわけですね。嘆いても仕方がないことです。

テスラは日本では産まれないわけですよ。絶対に。何があっても。

なので、僕は自分の影響の輪の範囲で従業員と家族が幸せに暮らせて、ちょっと気が利いて安価で使いやすいサービスを提供するという今の会社の経営スタンスに落ち着いたというのもあります。

不動産、政治、愛人

日本社会だけが絶対悪というわけではなく、江副さんにももちろん落ち度があります。彼はリクルートを大きな会社にしたいという思いで不動産開発に手を出し、それにドライブを掛けるために政治の世界に足を突っ込んでいったわけなのですが、もちろん不動産はそれを専業としてやられている事業会社もたくさんあるにせよ、その先にある政治の世界に足を踏み入れるようになってくると起業家はちょっとおかしくなり始めるような気がします。社会を変えられる気になってしまうというか。まあ結局政治家に踊らされてしまっているわけですが。

あとはなんと言っても愛人ですねwある程度お金があるようになってくるととりわけそういう話が浮いて出てくるわけですが。創業して2年目くらいにベンチャー社長の集まる会に参加したときにそういった話が多かったのは僕的にはすごく衝撃でしたね。そんなところ(と言ったら、数多いる社長の愛人の方々に失礼かもしれませんが)に金使うより釣り具や遠征に金使いますけどね、僕は(笑)

まあモテるんでしょうね、エネルギーに満ちあふれている野心家というのは。お金もありますし。愛人のひとりやふたりいないようでは立派な社長とは言えない、とか言われそうな気もしますけど、それが定義なら全然立派な社長じゃなくて結構です。とりあえず千葉でチャリ通して筋トレと釣りばっかりしているとそういう候補の女性にも全く巡り合わないんですけど、どうしたらよいのでしょうか。

最後に

著者はこの本を若者に読んでもらってベンチャー起業を志す人を増やしたいのか、それとも起業をしても結局出る杭になったら打たれて終わるぞと釘を差したいのか、読む人によって受け取り方は様々ではあると思いますが、もし僕のようにリクルートのDNAを一部でも保有する遠戚の人がいるようでしたら読んでみると面白い気付きはある本だなと思いました。

僕はもうリクルートを超えるベンチャー企業は産まれないということと、超えないほうが(自分としては)幸せだなと改めて思った次第です。

あと、帯に書いてある「ジェフ・ベゾスは江副さんの部下だった」って言葉はほぼ詐欺でして、ただ単にリクルートが買収した海外の会社でジェフ・ベゾスが一瞬働いていただけです(ネタバレ)

それでは。

〜あとがき〜

ブログというのは書かなくなると本当に億劫になりますし、文章にキレもなくなるなと。久々読んでくださっている読者の方は「石野キレがねえな」と思われてしまうかも知れませんが、今重い筆をとって無理矢理文章を書き、バリバリ刀身を研いでいるところになりますので、どうぞご了承下さい。

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