僕が「会社のカルチャー」が嫌いな理由

inst石野です。

 

「会社のカルチャー作りは大事」といえば聞こえはいいが、僕はそういった「カルチャー」の類が好きではない。というかむしろ嫌いだ。そういうカルチャー色が強い会社に居たこともあったが、自分が会社を作ったときに従業員にカルチャーフィットを求めることはやめようと決めていた。

 

日本のベンチャー・スタートアップ界隈は、とりわけ会社のカルチャーや、新規雇用者のカルチャーフィットを重んじるような傾向があるように思う。僕はそれはひとえに労働に対する対価を純然たる報酬や労働環境で従業員に還元するのが難しいからであると思っている。

日本は大手企業からベンチャーに転職すると年収が下がる。年収を下げた分、ストックオプションがもらえてキャピタルゲインが見込めるかというとそうではない。そして年収やストックオプションのことを採用面接で質問する人達を毛嫌いし「面接の段階で年収の話をする人はちょっと。。。ウチはベンチャーなのでみんな前職から年収下げて転職してきてるし。。。」と考えて、「カルチャーフィットしなそうなので」というような理由で面接NGとなるケースが多い。

転職にはリスクが伴うし、年収ダウンでの転職というのは超スーパーハイリスクだ。特に家庭があって世帯の主たる収入源が自分の給与だった場合、そしてなおかつ配偶者が専業主婦であったり、子供が私立幼稚園に通っていたりすれば、よほど堅実な暮らしをしていて貯蓄が潤沢にあったり、実家が極太であったりしない限り年収ダウンを二つ返事で快諾してくれる配偶者は極めて珍しいだろう。

 

僕は過去に海外スタートアップと仕事をしたことがあり、従業員たちに話を聞いたときに大手からベンチャーへの転職では年収UPするケースが多いことに驚いた。しかもしっかりストックオプションを貰っているし、待遇やSOの話は採用面接においてお互いバリバリに詰めていくのだそうだ。

僕はこっちのほうが健全だし、当たり前の従業員と会社の関係性ではないかと思った。

 

会社と従業員の契約は、時に婚姻契約と似ていると言われたりするが、それは大昔の終身雇用の時代であって、今では離婚もポピュラーだし、転職だってもっとポピュラーになっている。

会社と従業員の間で利害関係が一致していれば働き続ければ良いし、そうでなければサラッと雇用契約を解消するべきだと思っている。それを情だの成長機会だのというよくわからない理由で従業員の家族の生活を蔑ろにするのはいかがなものかと。

こういった姿勢はブログやTwitterなどで度々発信しているし、なんなら僕の出世作となった例のW社のブログ記事もやりがい搾取を批判したものであったりして、一定数この意見は支持してくれる人がいるものの、ベンチャー経営者からのシェアやいいね!が少ないのは自分のアカウントをフォローしている従業員たちに「ハッ!」と気づいてもらいたくないのだろうなとちょっと残念な心持ちだったりする。

 

片や会社経営をする側でいくと、カルチャーという形もアウトプットもないよくわからない価値観を植え付けていくことで従業員が安月給で死ぬほど働き、一向に退職をしないという状況は最高だとも認識している。

ただ、それが健全な状況かというと一般的にそうではなく、そういった会社には合う人も合わない人もいるわけで、合わなくて退職した人からの「この会社って普通じゃない」「宗教じみてる」などの批判がネットに横行する。

 

新規上場する会社があった時に、上場のための目論見書、1の部/2の部を見る時に、僕は従業員の持ち株比率を必ず見るようにしている。その会社の経営者の価値観が僕にとっての「普通」に近いかどうかを見るためだ。別に従業員に全然ストックオプションを渡していないで上場する会社の経営者が悪いわけではない。別に株式ではなく給与で還元していれば別にいいと思う。が、両方とも・・・な会社の経営者を見ると少し残念な気持ちになる。

往々にしてそういった会社の経営者は新卒採用が大好きである。社会人としての価値観がまったくない人達の方が「これが当たり前なんだよ」と植え付けやすいからだ。これが幸せなんだ、これがビジネスマンとしてのあるべき姿なんだ、というのは多くの人が新卒で入社した会社から教わる価値観であって、これは社会人としての価値観を形成していく上で極めて重要な材料のひとつとなる。

中途採用ももちろんしていくとは思うが、先程話したようにカルチャーフィットしない人や自分にとって扱うのに手間がかかる都合が悪い人はいくら有能でも採用しない。

ただ、そういった会社の経営者は極めて有能と評価されるケースが多いような気がする。株主からすれば安い給与とゼロに近いストックで従業員を熱狂させて働かせることが出来ているということは、今後も固定費のコストは膨らみづらいだろうし、経営者の求心力が強ければ従業員も辞めないだろうから採用費も嵩まないわけで。

 

「社長の男気に惚れました!一生ついていきます!」みたいなのは経営者冥利に尽きるし、人間力がないと実現なし得ないことだとは思うのだが、自社の製品が「石野さんがいたからINST Messengerを買いました!」みたいに評価されるのと同様であまり気持ちが良いものではないような気がする。一昔前の20台後半とかであればそれで喜んでいたかもしれないけれど、今では顧客には製品の良さを正当に評価してもらいたいし、従業員には会社への貢献がとか云々よりも自分の人生を生きていく中で、その会社からどのくらい見返りを得ることができるのかで選んでもらいたいと思っている。

 

在宅やリモートワーク、副業やSNSが浸透しつつある今後のビジネスでは、カルチャー云々言っている会社はなかなか生き残りづらいと考えている。せっかく洗脳している従業員たちがSNSや副業先で別の価値観に触れ「え?これって普通じゃない?」とか気付きやすかったり、同じ空間で働くことで維持していた会社への帰属意識やロイヤリティを保つことが難しくなったりするだろうから。

 

これは実は結構前からモヤモヤ考えていたことなのだけれども、自分のスタンスとしてはこうだよ、というのをきっちり書いておきたくて、まとまらないかもしれないし、極論を言うと、会社とは経営者のエゴを具現化したもので、利害関係がない赤の他人に経営について云々言われること違いお門違いであることには間違いない。ただ、僕は会社経営者としては会社を守っていくことももちろん大事なわけだけれども、従業員たちがしっかりとした判断が出来、純然たる働くメリットがあるからINSTで働いてくれている、という状態をキープしていきたいと思っているだけだ。

それが健全だと思っている。

 

なんだかまとまらないですが、今日はこの辺で。

それでは。

Kosuke

 

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