マツキヨ、クロネコヤマトなどでLINEビジネスコネクトが生活に浸透しはじめた件
INST石野です。
以前、amazonがLINEビジネスコネクトを利用し始めたという記事を書きましたが、マツキヨ、クロネコヤマトなどの大手企業でも実用が開始され始めました。
マツキヨグループ会員登録してLINEとID連携でスタンププレゼント(キャンペーンページ)
今までは公式アカウントからのクーポンの一斉配信のみで使われていたLINE公式アカウントが1to1のメッセージツールとして企業のマーケティングやCRMで徐々に生活に浸透し始めています。
再配達受付とかLINEでできたらクロネコヤマト側のメリットも大きい
クロネコヤマトはリリースの中で
近年のスマートフォンの急激な普及で、インターネットの利用もウェブからアプリへ急速に移行しています。それに伴い、コミュニケーション手段もEメールから、「LINE」やソーシャルメディアへと変化してきています。
とLINEがコミュニケーションの中心になってきたことを前置きにして
「ヤマト運輸」LINE公式アカウントを開設します。クロネコメンバーズのクロネコIDと「LINE」が連携し、公式アカウントのトーク画面で「お届け予定メッセージ」と「ご不在連絡メッセージ」を配信します。また、荷物問い合わせ、集荷・再配達の依頼や料金・お届け日検索などの便利な機能が、日常的に利用する「LINE」から利用できるので、ユーザーの利便性が大きく向上します。
としています。今でもクロネコメンバーズになるとお届予定メッセージや不在連絡をメールで受け取ることはでき、再配達受付もWebで行うことが出来ますが、それをLINE経由でも出来るようにしたということです。
ユーザーにとっても便利なことは間違いないですが、クロネコヤマト側の狙いはそれだけでもなく、スムーズなユーザーとの連絡による配達効率のUPであると考えられます。
2015年のニュースによれば、再配達の割合は約2割で、3回以上の再配達も1%くらいあるそう。これはドライバーにとって大きな負担であることには間違いありません。「何回行っても不在」ってことは配達完了するっていうミッションが達成できないわけですから。
クロネコヤマトはメールでのお届予定メッセージやWebでの再配達受付を業界に先駆けて導入したわけですが、もっと減らしたいという願望があったのでしょう。それを補うために「ユーザーがいち早く気づいてくれて、レスも早く貰えそうなツール=日常的に1番よく使うLINEで再配達受付を」ということになったのでしょうな。
販促の施策としてターゲティング配信を活用していくであろうマツモトキヨシ
マツモトキヨシは、LINE公式アカウントができたての頃からLINEでのクーポン配信を行っていました。前職時代に担当させていただいていたこともあり、アドテックで講演された奥平さん(Web集客の担当の方)とも面識がありましたが、LINEの爆発力は本当にすごいものらしいです。
今までのマツモトキヨシ公式アカウントは
・スタンプ配布や店頭告知で公式アカウントの友達増やす
・友達に対して一斉にクーポン配信で来店促進
という施策でした。一斉配信のみということですね。
それを今度LINEビジネスコネクト(1to1でLINEメッセージの配信ができるAPI)と自社会員のデータベースを連携したわけですから、ターゲッティング配信を行ってくるのはまず間違いないでしょう。
会員データベースには、その方の居住地や年齢などの個人情報だけでなく、おそらく(というか間違いなく)個人個人の購入履歴なども紐付いており、男性には男性用化粧品、主婦(と思われる人)には生活必需品などのクーポンをターゲティング配信することで、より来店を促進する(LINEのクーポン配信の効果をUPさせる)のが狙いと見て間違いないでしょう。
日本では超大手だけが利用しているが海外ではチャット活用のビジネス利用は当たり前
日本ではまだ両手で数えられるくらい、それも超大手しか利用していないチャットアプリのビジネス利用ですが、海外では当たり前のように浸透してきています。
WSJの記事によればタクシー配車のUberがFacebookメッセンジャーを使って配車依頼が出来るようになったり、中国ではWeChat(中国で1番使われているLINEみたいなチャットツール)で友人への送金やECでの購入、病院の予約などを当たり前のように数億人のユーザーが行っています。
なぜ日本ではチャットアプリのビジネス利用普及が遅れているのか、というと日本のチャットアプリがLINEの寡占状態であることと法人がLINEを利用する際の高額な費用が原因であると僕は考えます。
公式アカウントの費用はめちゃ高いですし、1to1でメッセージ送るためのLINEビジネスコネクトもベース利用料として数十万必要になります。LINE@も活用可能ですが、送信メッセージの件数に制限があったりします。導入検討された方も多いとは思いますが、この辺りがハードルになっていることは間違いないですね。
ちなみにインテリジェンスがLINEと作った合弁会社で運営しているLINEバイトでは、応募後の連絡(応募者と採用企業)をLINEで行うことで採用プロセスが改善したという事例もあるそうです。面接率40~50%の会社が80%までUPってキモいレベル。
今後チャットアプリの生活浸透によってもっと便利な環境を実現するには
◆LINEが法人への利用料を大幅に削減する
これは極めて考えづらいですが、必要条件のひとつであるでしょう。グロスの金額の「高い」というのはそもそもあまり問題はないです。10万円と言っても「10万円の焼き鳥」なら高いと思うでしょうが「10万円のベンツ」といえば安すぎて疑うレベルです。今現状でLINEの利用料が高いから法人利用が進まないのだとすれば、「コミュニケーションの円滑化のコストとしては高い」という判断をしている会社が多いからでしょう。
クロネコヤマトは「再配達の割合を減らせるのであれば安い」、マツキヨは「ターゲッティングクーポンを配信出来るのであれば安い」と判断したわけですね。
ですが、LINEは日本国内のユーザーはほぼ獲得しきっているわけで、「このサービスが便利になるからLINE使おう」という人はもういないので、ガクッと値下げしてLINE法人アカウント利用する法人のファンを獲得するために、という意味で値下げすることはほぼないでしょう。上から順に、お金を払える企業から少しずつ浸透させていくのでしょうな。
◆他のチャットアプリを法人がもっと利用するようにする
この方が考えやすいです。ハードルは高そうですが。たとえばFacebookメッセンジャーやskype。これを法人が個人との連絡に使いだしたら、結構便利だと思います。APIの利用料は現状必要なかったと思いますし。「じゃあどう使うの」というハードルをクリアすれば便利ですし使われるようになると思います。
また、LINEでないチャットアプリというのも実は重要です。LINEは非常にパーソナル(個人的)な利用が多く、法人との連絡の際に自分のアカウントを晒すのに抵抗感があるユーザーが多そうだからです。
・友達とはLINE
・利用しているこのサービスではSkype,Facebookメッセンジャー
こんな世の中になるんじゃないかなと。就活用にメールアドレス1個作るみたいな感じのイメージですね。
ということで、チャットアプリのビジネス活用について書いてみました。INSTで3月に出す新製品は他のチャットアプリを法人がもっと利用するようにするサービスです。ちょっと宣伝も込めて書いてみた次第です。ご興味ある方はお問合せいただけましたら、サービスの概要資料、お送りいたしますね。
それでは。
Kosuke