これからの人材紹介について思うことを書いてみる

INST石野です。

先日、もぐらエージェントこと鹿野さんのこのTweetが話題になりました。

 

まあ確かに人材紹介というビジネスは非常に利益率が高く1shotの売上も大きいですし、いわゆる世は採用難の時代でニーズが激高まっておりますので人材紹介事業を立ち上げる会社は非常に多く、事業者のモラルが問われる時期でもあるのかなとも思います。

当社も人材紹介会社をお客様として多く抱えさせていただいておりますし、僕自身も4-5年の人材紹介ビジネス従事の経験がありますので、タイトルの通り、これからの人材紹介について思うことを書き連ねていこうと思います。

 

年収の35%は高いのか、という議論について

人材紹介手数料が年収の35%というのは高い、という意見があります。実際に僕もこの価格は高いと思います。現在の経営状況ではINSTは年収の35%をポーンと何人分も支払う、ということはできませんwまあ採用自体そんなにしないんですけど。

ですが、サービスの価格というのが高いか安いかという判断をするのは、料金を支払う本人が決めればいいことなので、高いと思うのであれば利用をしなければいいですし、値引いてくれるのであれば値引き交渉をすればいいのではないかと思います(まあ値引きしてくれる紹介会社なんてそんなにないと思いますが)。

確実性が高い採用方法として成功報酬しか発生しない人材紹介は、採用する企業側にとって非常に有効な採用手段の一つであるということは紛れもない事実ですね。

とは言え、もし人材紹介より安くて確実性が高いサービスが出てきたら人材紹介の牙城を崩せるのか、というので採用成功報酬型の求人サイトがジョブセンス以降、greenさんなど立ち上がってそれなりの存在感を示されてはいますが、それだけでは多くの企業の採用ニーズを満たすことは難しいのか、年収の35%未満の手数料ではマーケ費用が足りないのか、人材紹介に頼る(もしくは一つの手法として使う)会社が多いのはそういうことなのでしょう。

 

リクルートに踊らされて採用をサボってた

結論を言ってしまうと、僕は多くの企業の採用人事がリクルートの言いなりになって思考停止でサボっていたのが悪い、と思っています。

もちろん人事の方もサボっていたつもりもないでしょうし、リクルートの営業マンも人事をサボらせようとリクナビを売ったり、人材紹介で候補者を提案していたわけではないと思います。

おそらくはリクルート上層部が「企業の経営課題は採用だ」「良い人材を採用するにはお金がかかる」という刷り込みを採用マーケットに対して行い、強烈な媒体力と営業力を使って「リクルートの言うことを聞いていれば採用ができる」という状態を作り上げ、それが出来上がってしまったので、年収の35%という諸外国に比べても高い採用成功報酬やリクナビの高額な掲載枠に疑問を感じる人事が少なかったのではと思います。

こういった採用マーケットの歪みをなんとかしようと様々な会社がITのtechnologyを駆使して新しいサービスを立ち上げ、いびつな構造に疑問を感じていた人事の方がやっと徐々に増え始めてきた、というのが現状ではないかなと思います。なので少しずつは良くなっていっているのかなと。

 

 

 

同じ求職者DBを使っているのに紹介会社のほうが決められるっておかしくない?

まあここまで人事をdisっている感じになりますが、結局は本気で採用しようとしてない会社が多いのではないかと思います。

リクナビもDODAもスカウトを打つことは企業人事も出来ると思いますし、ほぼ同じ求職者DBを人材紹介会社も企業人事も使っているわけでしょう。

その会社のことを知らない求職者の人に自社のことをPRしたり惹き付けるために採用広報をする会社がやっと少しずつ増えてきた感がありますが、自社の人事より紹介会社が求職者をモチベートして面接に連れて来ることができるってどういうことなんでしょう。サボってる以外になんか理由あるのでしょうか。

紹介会社に行けば複数の会社の求人を紹介してくれるけど、採用してる会社に行ったらその会社の採用プロセスしか進捗しないとかそういうしょぼい理由なのでしょうか。

紹介会社は35%の手数料を本気で取りに来ているのに対して、その35%を節約しようというしょぼい考えが働くと、途端に「35%払ってもしかたないかー」となるのでしょう。別にダイレクトで採用したところで人事が150万稼げるわけではないですし、ボーナスもらえるわけでもありませんからね。こう考えると採用人事の評価が低いのも一つの原因なのかなとも思ってしまいます。だからサボるのか。

こういった人事の怠慢さの証明として、キャスターさんの提供しているRPOサービス「Caster Recruiting」などを利用することでバンバン採用が出来るようになる、ということも発生しているようです。これは単にオペレーションがRPOによって磨き込まれただけで採用できるということですから、採用できるつもりになっていて実は全然出来ていなかったということの証明ではないかと。

 

 

人ありき、の経営に警鐘を鳴らしたい

最近の資金調達やIPOを見ても、採用のためのコストに使う、という企業がとても多いように思います。

が、この時点で既にリクルートの掌の上に胡座をかいて座ってしまっていることに気付いて欲しいと、僕は思います。確かにある人が入社したことによって企業が大きく変わることもありますし、あの人がいなかったら事業が成り立たなかった、ということもよくあります。

「良い人がいさえすれば」と、優秀な人材を探す経営者も多いですが、今後この超少子高齢化の日本でその考え方はどんどん通用しなくなっていくのではないでしょうか。だって労働人口が全然少なくなっていくわけですからね。の「企業の経営課題は採用だ」と思い続けていたらリクルートの思うがままでどんどん搾取され続けるしかなくなりますし、人材紹介会社に高い手数料を支払続けなくてはいけないという状況を打破することはできないでしょう。

採用をしなくても課題を解決するためにはどうすればいいか、「優秀な人材」を採用しなくても事業を伸ばすにはどうすればいいのか、をもっと考えていく必要がある、ということです。それを行わないのは思考を放棄していることに他なりません。

優秀な人材は確かに企業にとって大事です。ですが、この後は多少のハンディキャップを持っていたり、突出して優秀ではない人材でも高いパフォーマンスを出せるような仕組みづくりをまずは実行していくべきですし、更には人材を採用しなくても会社が回る仕組みづくりが経営者の仕事になっていくのではないかなと思います。

 

これからの人材紹介は個人エージェントの時代に

現状の人材紹介ビジネスは健全な状態とは言えないと僕は思っています。

世の採用ニーズが高まっているとは言え、リクルートやDODAの求職者DBの解放(まあそれより前からenやマイナビは紹介会社向けの集客サービス提供してましたが)に伴い、同じ求職者リソースを利用する差別化されていないエージェント会社が有象無象に増えすぎました。みなさん、もちろん高い志を持って独立された方々ばかりと思いますが、企業としての営業活動を続けていく上でゴリゴリKPIマネジメントをせざるを得なくなったという方も多くなってしまい、それが結果として悪徳エージェントと評価されてしまっていることもあるかと思います。

もしかするとこういった増えすぎた人材紹介会社の管理に工数が取られてしまい、企業人事がしっかりとした採用活動が出来なくなってしまったのかもしれませんね。

人材紹介会社が増えたことは当社のビジネスに於いては非常にありがたかったことなのですが、採用マーケットの健全化ということにはあまりポジティブな影響は与えていないのではと思います。今の人材紹介は企業側にとってもガチャ要素が強すぎます。結局個人も法人も当たった担当の人がどれだけ親身に考えてその企業の採用、求職者の人の転職に真剣に向かい合ってくれるのかっていうのが一番大きいと思うんです。

いつも求職者目線をキープできているコンサルタントでも「月末事業部の予算があと1名足りないからゴリッとやっとけ!」って言われたら。。。そのコンサルタントに当たって「ゴリッと」やられた求職者は「あ、ハズレコンサルタントに当たったわ」って思っちゃうでしょう。

なので今後の人材紹介は「個の時代」になっていくと、人材紹介マーケットはもっと健全になると思います。同じ求職者リソースを利用する差別化されていないエージェント会社も一部は生き残るでしょうが、SNSで悪評は直ぐに拡散炎上する時代になりましたので、今まで立場が弱かった求職者が声を上げることによって悪徳エージェントはどんどん駆逐・淘汰されていくことでしょう。

逆にSNSを活用して個人として集客ができるエージェントはどんどん独立していくでしょう。今Twitterを見ていても、「この人独立して一人でやったほうが良さそうなのに」と思う人は何人もいます。独自集客リソースと高い志を維持し続けることが出来る個人エージェントはどんどん増えて行くと思います。価値もありますし、個人としての働き方や収入に関しても会社づとめを続けるよりずっと幸せな状態をキープできる人が増えるのではないかと。

こういった仕組みづくりや人材紹介ビジネスのFC化というのは以前からやられている会社もありますが、未だに健全にワークしていない印象です。こういう取り組みが業界全体として出来るとより良いのでは、と思いました。

 

まあ僕はもう人材業界の人ではなくITの人なんですがね。外野から失礼しました。

 

それでは。

Kosuke

 

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