息子「パパ、未来を創ってよ」→親父「おし、ドローンの会社つくってみっか」→俺「スゲー」
INST石野です。
先日、SBヒューマンキャピタルの武田さんにご招待いただき、あのFREEの著者のクリス・アンダーソンの講演を聞いてまいりました。武田さん、ありがとうございました!
この本の著者です。読んだことがある人も多いと思います。僕も読みました。
クリスさんですが、今は3DRoboticsというアメリカで1番大きな(と言っていた)ドローンの会社を経営されています。もともとWIREDの編集長を12年務められて、その後「ロングテール」という概念を発表し一躍有名になられましたね。
講演は英語だったのですが、楽天USAの本間さんという方が日本語通訳をしてくださり、非常にわかりやすく理解することが出来ましたw書くのとしゃべるのはなんとかできるんですが、アメリカ人の英語を聞き取るのがちょっと苦手なんで本当に助かりました。
その後のFacebook投稿などで聞いたのですが、新経済サミットのために来日されていたみたいですね。多分そこで話したのと同じ内容だったのだと思います。備忘録的にまとめてみたいと思います。
メディアのプレスの人もたくさんきていたので、調べてみたら記事も上がってたのでそのへんも見てみて下さい。
息子「パパ、未来を創ってよ」→親父「おし、ドローンの会社つくってみっか」
つーか、なんでドローンなんですか?という質問に対するクリスさんの回答が超カッコよくてしびれました。息子に「パパ、未来を創ってよ」と言われて、メキシコ人の10代の若者と一緒にドローンの会社を創業。まじかよ。親父もかっこいいけど「未来を創ってよ」って言える息子がスゲーよ。
「私はドローンを作りたくて会社を創ったのではない、未来を変えたくて会社を創った。そしてその会社でドローンを作っている」
ロボットが世界を変えそうだ、ということは誰もが気づいていそうなことではあります。がこの辺がちゃんと言い切れるのがすごいと思いました。いわゆる会社のビジョンがしっかりしてるということですね。
未来をいいものにする、とか人のためになるというビジョンを掲げている会社はすごく多いですが、そのひとつ下のところまでブレイクダウンできている会社はすごく少ない気がします。特に日本にはね。
クリスさんはドローンが普及することで世の中がどう変わるのか、というところに
・衛星写真ではコストがかかりすぎていたデータ収集が安価で出来るようになる
・人が検査すると危ない場所の検査とかがドローンで安全に出来るようになる
・農場とかでいちいちパイプ張り巡らさなくてもドローンで肥料とか撒けるようになり効率的になる
などと言っていました。確かに良くなってるわ。こういう風に「自分の会社が存在することで社会に提供できる価値」をしっかりと伝えて行けるようにするところまでが経営者のビジョンの建て方に必要なことなのかな。
ドローンビジネスの展開はBtoD→BtoC→BtoBの順番
ドローン、と聞くと「公園で飛ばしちゃいけない、アレでしょ」と少し悪いイメージが先行しがちですが、2兆円くらいの市場規模があるすごい産業になっているそうです。IoTはやっぱり盛り上がってるんですね。ものづくりスタートアップは徐々に日本でも立ち上がってきていますが、IT/Web系のスタートアップとの立ち上げ方というか、立ち上がり方が結構違うようです。
1.まずは市場を作るためにBtoD
クリスさんはDIY(Do it yourself)と言っていました、第一フェーズ。まず作ったのはドローンを製作するための基盤だったそうです。そこにドローン開発のシステムのオープンソースコミュニティで開発したシステムを乗っけて誰でも簡単にドローンが自作できるようにオンライン販売をしたとのこと。なるほどなるほど。BtoDeveloperというわけですね。
この時点では参入障壁が極めて低く、量産は難しくレバレッジもあんまり効かないそうで利益率も殆どでないそう。
2.みんなが使えるものとしてBtoC販売
次はConsumerというフェーズになります。ある程度売上が立ってきた時点(ドローンのニーズがコンシューマーにも出だした?)で、生産拠点を中国に移して量産体制に入り、いわゆる「完全版」製品として売りだす。3DRは今はこのフェーズだそうです。ここはBtoCになるわけか。
こうなるとすごい儲かりそうなものではありますが、世界的に見ても「ドローンやばいよね!」という流れはあり、中国では4-500社が参入しており、価格競争に入り、利益率は70%くらい落ちてしまったとのこと。ふむふむ
3.産業用ロボットとしてBtoB販売
ここでBtoBに移行させて、産業用ロボットとして売り出す。ここを今年からやっていくそうです。例えば、工事する現場の地形をヘリコプターを飛ばすよりも安いコストで測量したり、危ない場所の設備点検を人の替わりにドローンでやるとか。そうなると専門の営業チームやクラウドベースのシステムも必要になるため、参入障壁は上がり、また利益率が上がっていくとのこと。そうすると80%くらい利益取れるって言ってたけどほんとなのかな。スゲー。
流れとしてはBtoD、BtoC、BtoBの順番なんだそうです。この順番とか参入障壁の話はすごく参考になりました。
参入障壁が低くても、価格競争になった時に頭ひとつ抜けられるかが鍵
ここからは僕の意見です。
以前Tech in Asiaのピッチ大会でプレゼンした時に、ガイアックスの社長さんに「石野さんのビジネスって参入障壁高くないですよね?」と言われました。確かに仰るとおり。
ですが、僕の考えでは参入障壁が高いビジネスってそんなに多くないと思います。あと、「こういうのあったら便利そう!(儲かりそう)」と思いつくことの殆どは誰かがやっている。見つからなかったとするとそれは誰かが考え、検討した後に没になっている可能性が高いのかなと。
この情報がオープン化された時代に「誰にも真似されないこと」を始めることは極めて困難です。「おい、あの会社儲かってるらしいぞ」と噂になれば、間違いなく競合は出てくるでしょう。そのためにやるべきことというのはシンプルに2つだけで
・誰かに真似される前にぶっちぎりの一位になっておく(面を抑えておく)
・真似されたあとでも頭一つ抜けられるようにネタを仕込んでおく
前者の場合は、資金調達とかをして他の追随を許さずにぶっちぎっていくのがセオリーでしょう。また、どこかの業界のフォーカスするという手もあるでしょう。特定領域では追いつかれない、みたいな。後者はある意味どれだけ未来を予測してサービスを設計できるか。まあ難しいですけどね。クリスさんの3DRはオープンソースコミュニティを早期に立ち上げて、技術が集結するようにし、ライバル企業もそこに参加させているそうです。差別化、とは全然逆の考え方ですな。共有化できるところは共有して、あとはお互いの強いフィールドで強みを出し合おうよ、と。
ビジョンについては人材コミュニティの平田さんにもネタ振りされましたので、来週当たりに書いてみたいと思います!
それでは。
Kosuke