やりがい搾取は善か悪か?
INST石野です。
今日は最近TVなどでも耳にするようになった「やりがい搾取」について書いてみようと思います。
※画像は誰かのtwitterから
どうやら、話題になってきたのは、社会現象にもなったドラマ「逃げ恥」でこの話題が出てからっぽいです。ガッキーさすがだなあ。
「やりがい搾取」でGoogle検索1位は日本の人事部のこのページです。半年ほど前のUPのようですが、ページ右脇にあるランキング見てみると本日(2017/3/30)時点で6位ですね。
ちなみに某イケハヤ氏も若者よ、「やりがい搾取」に気をつけろというブログ記事を書いておりますので旬なワードなんでしょう。(だから僕も書こうと思ったんだけど)
やりがい搾取の定義とは
Google検索1位の日本の人事部さんの記事を抜粋しますと
「やりがい搾取」とは、労働者が、金銭による報酬の代わりに“やりがい”という報酬を強く意識させられることで、賃金抑制が常態化したり、無償の長時間労働が奨励されたりする働きすぎの組織風土に取り込まれ、自覚のないまま労働を搾取されている状態をいいます。教育社会学者で東京大学教授の本田由紀氏は、すすんで仕事にのめり込み、充実感や自己実現を得ているように見える若年労働者が、実際は経営者側がしかけた、より少ない対価(雇用の安定性、賃金)で最大の労働効率を引き出すための巧妙なからくりにより、ワーカホリックへと突き動かされていると分析し、こうした搾取構造を「やりがいの搾取」と名づけました
とあります。すごく心当たりがあります。
というかこの記事の定義通りにいくと、ベンチャー企業や、人材業界でやりがい搾取をしていない会社はほぼ0(ゼロ)なのではと思います。さすがの僕もそのあたりを全部敵に回すわけにもいきませんので、少し僕なりに解釈をしてみると
経営者側が賃金以外の価値観での給与補填を押し付ける→やりがい搾取である
労働者側が賃金以外の価値観での給与補填を認識している→やりがい搾取でない
かなと。
「うちの会社の仕事ってやりがいじゃん?若いうちはやっぱり自己成長したいじゃん?だから一緒に頑張ろうよ!(給与安いけど※小声)」とかで面接クロージングするような会社はやりがい搾取の会社で
上記のように言われなくても「この会社に入ったら成長できろう!給与は安いけど頑張ろう!」と自発的に労働者が認識している場合はやりがい搾取ではないと思います。
まあ、後者も他人から見ればやりがい搾取であることに間違いないのですがw経営者やマネージャー、人事の腕の見せ所はやりがい搾取のボーダーラインをいかに曖昧にしていくかといっても過言ではないでしょう。
あれ?俺もしかしてやりがい搾取されてる?って少しでも思ったら、それはやりがい搾取に間違いありません。
新卒一括採用、プロパー至上主義がやりがい搾取の原因?
日本でこのようにやりがい搾取が騒がれているのは、労使関係が平等ではなく、「辞めないことがえらい」という考えが根付いていることが理由の1つであると考えます。
新卒一括採用からの終身雇用ですと、他の会社を見ることはほとんどないわけですから、自分が入社した会社が基準になります。そうすると「あ、これが普通なんだ」と盲目的になるのは当たり前です。
スタートアップでも創業間もなく新卒採用をする会社があります。その会社すべてを否定するわけではありませんが、そういった会社はびっくりするような安い給与で長時間働かされている事が多いように思います。まっさらな状態で何も知らずに入社してくれる人間のほうが洗脳し易いので、中途が定着しなかったりしますね。鍋蓋型の組織といえば聞こえはいいですが。
こういった文化形成を行い、社会人としての常識をその会社色に染め上げるのは1つの経営戦略であり、経営者視点では「それもあり」とは思いますが、労働者視点で考えるとあまり喜ばれるものではないですし、今騒がれている多様な働き方とは逆行した考えではないかなと思います。
「やりがいがあって楽しいです」と言っていても、そのキラキラ輝く目の下にごっついクマができていたらなんにもなりません。超忙しいと金を使う暇もないわけで給料が安くても特に気にならないみたいな。それって奴隷の思想ですよね。
心当たりがあったらやりがい搾取されてるかも
最後に簡単ではありますが、やりがい搾取されてるかも、という人が社内で耳にする言葉やシチュエーションを幾つかあげてみます。
「仕事の報酬は仕事」
いや、仕事の報酬は賃金でしょう。「出来る人のところに仕事は集まるんだよ」と忙しく働いている人もいますが、人の2倍働いてるなら2倍の給与を要求して当然なのでは?
やりたくない仕事に対してビジョンや社会的価値を説かれる
「えー、そんなことやるの?」ということに対して「いいからやれ!」はブラック企業です。やりがい搾取している会社はそれに対してビジョンや社会的価値で反撃してきます。某社で月末の営業成績が足りずにキャバクラへの飛び込みを繰り返す旧帝大卒の高学歴くんが「僕はキャバクラに飛び込んで前歯がない店長に頭下げるためにこの会社入ったんじゃない」と上司にいったときに「でもうちのビジョンはそういうキャバクラで働きたい人にも、うんたらかんたら」ってやってたのを見たのはいい思い出です。
時給換算したらマックのバイトより安い
これは間違いないでしょう。「俺の月の給料◯円でー、大体9:00-22:00で働いてるから12時間労働でー、土日もどっちかは4-5時間出社して資料作ってるしー。。。→マックのバイトより安くね」みたいなね。
飲み会の後に会社に戻って仕事(や会議)をする
楽しいっちゃー楽しいんでしょうが、こういうのもたまにありますね。
某社ではこのことを「Back to the ◯◯」(※◯◯は社名で、まああれになるわけですよ、アレに。)と呼んでいたらしいです。センスあるなあ。
どこで経験したかとか聞いたかは伏せておきますw
以前のブログでも書きましたが、やりがいでは飯は食えないし、服も買えないし、家族も養えません。やりがいも大事だとは思いますが、せいぜい独身のときまでですね。やりがいも報酬も、両方共望まないと手には入りませんよ。
それでは。
Kosuke
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