INSTの第2期がスタートしたので第1期振り返りと今期の抱負
INST石野です。
本日は3月1日。今日からINSTの第2期がスタートいたしました。
よく「1年以内に過半数の会社が倒産して、3年で20%、10年で10%くらいしか残らない」と言われますが、そんなことないと思いますね。登記して意図的に潰すとか、会社の統廃合もあったりすると思いますし。僕が経営者の上位40%に入る優秀な経営者だとも思いませんし。
とはいえ、1年間(正確に言うと3月5日創業なのでもう少し)会社を継続できたのは本当にお客様、メンバーを中心とした周りの皆様のおかげだと感謝しております。本当にありがとうございます。結構節目節目で感謝エントリ書いてるのですが、今日はこの1年を振り返ってみたいと思います。少し長くなりそうですw
◆事業計画練りまくった2月
前職の最終出社日が2015年の1月末日。2月は前職の社長からありがたいことに1ヶ月有給をいただくことができまして、起業準備を色々進めました。会社を辞める2ヶ月くらいまでは「独立」なんて考えたこともなかったので、起業に関する知識もほぼ0。とりあえずはノマドワーカーかなと、今はなきカフェbeezの銀座店の月額プランを申し込みました。家だと仕事しなそうだし。平日9:00~18:30まで居られて月1万円。ネット・電源使い放題、コーヒー飲み放題は本当にありがたかった。
とりあえずまだ前職の在籍中だったので、営業活動はできないなと辞める前からある程度立てていた事業計画を練りまくり。抜け漏れはないか、リスクは他にないか、競合優位性はなんなのかとずっと考える毎日。2005年にインテリジェンスに入社してからずっと営業畑だったので、誰かに会わない、営業をしない1ヶ月というのは本当に貴重でした。不安でもあったけど。
営業資料も今思うとあの時作っていたものがほとんど土台になってます。その時は「こうだと思うんですけど(仮説)こういう提案どうですかね」的な感じだったのが、徐々に導入企業も増えてきて「こうだったんですけど(実績)、こういう提案どうですかね」に変わったくらいかな。
その次にオフィスだけは決めないとと思って、今入居しているベンチャーKANDAに問合せたところ、2月申込だと入居できるのは6月からとのこと!しかも6月入居の申込締め切りは問合せをした3日後とかだったと。事業計画書とかが必要と言われたのですが、書類はすぐ準備できて、その後無事に入居できてよかったです。
◆出来てないものを売らないといけなかった3月
3月5日に登記を済ませ、いよいよ営業ができるようになりました。が、まだ売るものが出来てない。ので、最初に受注したのは開発コストをある程度稼ぐために受託で受けた案件。最初で最後にしたいなと思ってます。そのときは今エースエンジニアとして活躍してくれているS君はまだ業務委託で、僕が開発マネジメントするということでその受託案件を取って、受託金額をすべてS君に渡してました(銀行だけ法人を経由したみたいな)。いわゆる僕の開発マネジメントフィーでINST SMSを開発してもらうみたいなイメージです。
実はエンジニアのS君はしばらく外部パートナーとしてやっていくはずだったんですが「コミットしたいんで社員になりますわ」的な話で4月から社員になってくれました。会社設立1ヶ月で初の社員誕生。今でもガンガン開発やってもらってます。ありがとう。
でも、INST SMSのリリースが出来るのは早くても4月初旬。3月一杯は「こういうシステムが4月に出来るんですけど、買ってくれませんか、初期費用前払いで」という今自分で考えても無茶な営業をしていました。触ったこともないシステムに前金で金払うってwww絶対嫌だwwwと自分でも思うのですが、なんと3月5日の営業開始から5日目の3月9日に1社、お申し込みをいただくことが出来ました。「あ、わかった。やるから申込書送っといて。キャッシュ苦しいだろ?前払いなんとかしとくからさ」みたいな。インテ時代の先輩の会社でした。本当にありがとうございました。
◆6,000通のSMSを送って4,000通のエラーを出した4月
SMSのサービスのツラいところは「大量送信のテストが出来ない」ということです。一応理論的には、ということでテストにテストを重ねますが、友達全員の携帯にテストでSMSを送るわけにもいかず、1社目のお客様にありえないお願いをしに行きます。
「御社の登録者へのSMS送信でテストをさせていただけませんでしょうか?」
普通だったらダメですねwしかも費用はその企業負担。テストなので少しだけ値引かせていただきましたが、SMSは送信原価がかかってしまうので、0円というわけには行きません。でもその会社の担当者様は快諾。
そして運命のテスト日が訪れます。社内でテストにテストを重ね「INST SMS、できました」とメールをお送りしてから30分後、鳴る石野のPHS(仕事用の携帯はPHSなんですw)。
お客様:「あー、石野さん?今6000通くらい送ったんだけど、なんかいっぱいエラー返って来てるっぽいから、見といて」
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
エンジニアと確認すると約6,000通のSMSを送っていただいて、4,000通以上がエラーに。同時処理能力の問題でして、2時間でエンジニアS君が修正してくれました。「いやー、石野さん。送ってみないとわからないことありますね。」とエンジニアS君にもお客様にも言っていただけたのが嬉しかった。内心はヒヤヒヤでしたけど。ちなみに、その時根城にしていたbeez銀座店はそのお客様のオフィスから徒歩2分くらいにありましたので、不具合が起きたらスライディング土下座しに行くくらいの気持ちはあったのですが「謝りに来るより早くSMSちゃんと送れるようにして」と言われ、その日に謝罪はしに行きませんでした。というか行かせてもらえませんでしたw
◆順風満帆かと思っていたらそうでもなかった5月〜9月
毎月5~7社、導入企業を伸ばし、リリース後の半年で、INST SMSは40社の企業にご導入をいただきました。立ち上げたばかりの会社の初動としてはすごく順調だったかなと思います。社数は。でも実は最も苦しかったのがこの時期でした。INSTの売上は低空飛行を続けます。
・想定よりも1社あたりのSMS送信通数が伸びなかった
当初は掘り起こしでSMSを、という想定で販売をしていたのですが、ある会社様で「面談設定率向上にすごい効果が出た」というフィードバックをいただき、その後そのトークでガンガン受注を取っていきます。ですが、面談設定率UPへの利用ですと多くても毎月1000通くらいがアッパーになってきており、事業計画で見込んでいた1社あたりの送信数3000通/月と大きな乖離がありました。売れども売れども座布団が積み上がっていかず、初期費用での自転車操業になっていたのです。
・6月にマーケを採用→9月末で退職
そんな最中、6月にマーケ担当者を採用しました。エンジニアに続いてINSTの第2号社員です。ブログを更新していた女性、といえば覚えていらっしゃるかもしれません。すごく頑張っていただいたのですが、ご家庭の事情と僕との方針の違いで9月には退職されてしまいました。この1年間で1番後悔してるのはこのメンバーの退職です。会社に起きることの問題はすべて経営者の責任。今なんと言われても反省しかないです。
・7月から新サービスINST Voiceの開発に着手
起業してすぐにご挨拶に行ったお客様にSMSに次ぐサービスINST Voiceの話をしたところ、「こういう使い方したらウチで使えると思うんですよ」と言われまして、すぐに開発に着手。最初は業務委託のエンジニア(この人もS君)に開発してもらっていたのですが、このエンジニアも徐々に稼働比率を増やし、2016年1月には正社員としてINSTにジョインしていただいています。本当は第2期に販売予定だったINST Voiceのリリースは7ヶ月ほど前倒しになりました。開発費も嵩みます。
・社員3名、業務委託1名なのに売上は月4~50万円
この時期はフルタイムの社員が僕を入れて3名、業務委託で1名の所帯でした。INST SMSの受注はコンスタントにあるものの、苦しい時期でした。金融機関に融資いただいたり、実家の両親に頭を下げてお金を借りたりしてなんとか凌ぐことが出来ましたが、毎月の月末が怖くて仕方なかった。だって出て行くお金のほうが入ってくるお金より多かったですからね。毎月給与支払いに怯えてました。もしかするとマーケの担当者だった彼女は、そういった雰囲気を感じ取って「退職します」、と言ってくれたのかもしれないと。いや、言わせてしまったのかもしれないなとすごく反省してます。
◆立ち止まって考えた10月、出たアイディアは「ブログ」
9月末で1名退職者が出たINST。10月から社員2名、業務委託のエンジニア1名になったINST。人件費が一人分減って少し楽にはなったのですが、「さてここからどうしていこう」という感じでした。あえて10月はまた少し立ち止まって考え、11月からの売上をどう作っていくか、この後のINSTのサービスをどうしていくかを熟考しました。
そして自分の中で出した結論が「ブログ書く」と「本気で人材ビジネスにフォーカスする」ということでした。活況な採用マーケットの中で凌ぎを削る人材ビジネスのサポートに徹することが自分の強みを最大限活かせるという結論に達しました。自分の経験である「人材×モバイルIT」が1番活かせる決断でもありました。
それからほぼ毎日というかずっと人材ビジネスについて考えました。どうしたらもっと成約を上げていただくことが出来るのか、人材ビジネスに従事している方々にINSTに興味を持っていただけるのかを。Facebookのコミュニティはお騒がせしておりますが、お陰様をもちましてそこからV字回復とはいかないまでも右肩上がりの兆候が見え始めます。
◆11月から徐々に売上は上がり、1月には創業後初めての単月黒字に。
ブログを書き始めて1ヶ月後の11月から風向きが変わりました。Webからのお問合せが増え、営業後の受注率が飛躍的にUPしました。おそらくはブログを読んで頂いている方々に「INSTの石野はこういうスタンスでサービス提供をしているんだ」と理解を頂いた上でお問合せをいただくことが増えたからなのではと。
また、4月に向けた人材サービス各社の動きが後押しにもなったのかと。11月、12月、1月と過去最高の売上を更新し続け、やっとのことで1月に創業以来初めての単月黒字を達成することが出来ました。10ヶ月掛かりました。そして、1月には業務委託でずっと手伝ってくれていたエンジニアS君(ふたりともS君)が正社員としてジョインしてくれました。
ブログを読んで頂いている方からは「石野さん、調子良さそうですね〜」とよく言われていたのですが、社数は伸びても月額の送信通数があまり伸びずに苦しんでいるところでしたので、「そうでもないですよ〜」という返答は本当のことだったんですw
◆最高の形で1年を締めくくれた2月
そして昨日でINSTの第一期が終わりました。まだ詳細集計はしていないのですが、月間の売上、利益も過去最高になることは間違いないでしょう。つっても1年なんですけどねw人材ビジネス企業様の4月入職に向けての最後の追い込みの本気度を肌で感じることが出来ました。
ユーザー企業様も増え、マニュアルの不備であったり、仕様変更の伝達忘れ、大量送信による送信エラーなども起きました。毎日何かしらトラブル対応をしていた気がします。すべてのトラブルには誠実に、極力早く対応してきたつもりですが、ご迷惑をお掛けした方々、申し訳ありませんでした。
終わり良ければ全て良し、ということではないのですが、受託をほぼやらず、自社サービスだけで突っ張って営業してきた第1期としてはまあまあの出来ではなかったかと思います。もちろんまだまだ駆け出しの会社なんですけどね。
◆コミュニケーション課題にもっと深く切り込む
INST SMS(SMS配信サービス)とINST Voice(クラウド電話API)を1年間販売してきて、強く感じたのは「BtoCのコミュニケーション課題の解決」は面白いということです。今は人材ビジネスにフォーカスしていますが、人材業界だけでもいろんな課題があります。
・メールに返信がない(遅い)
・電話に出てくれない(折り返しもない)
シンプルにこの2つを解決させていただくツールの提供だけでも、効果を感じていただくことが出来ました。今期はもっと深くそのコミュニケーション課題に切り込んで行きたいなと。
◆今期のINSTのテーマは「コミュニケーションハック」
新しいテーマは「コミュニケーションハック」とすることにしました。「ハック」って「ちょっとだけ頭を捻って行動したら良い結果が出る」的なニュアンスありますよね。SMSとかって本当にそうだなと。
みんなが知っているけど「それがこういう風に使えるなんて思ってなかった」「オペレーションを少し返るだけで反応が全然変わる」という体験が出来るを提供できるような会社にしていきます。
SMSやVoiceの機能追加はもちろんのこと、3~4月にはINST Chatをリニューアルして提供する予定です。
「そんなの使えるわけない」「こういう問題点がある」「ユーザーがネガティブに思うに違いない」
そういうお言葉は逆にすごく励みになります。多くの人が馬鹿げていると思うことをやり続けないと世の中は変わらない。そういったご意見は謙虚に受け止めつつ、自分の信念を貫き、第2期も自社サービス・コミュニケーション領域にこだわり邁進してまいりたいと思いますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
それでは。
Kosuke