僕が「なるべく採用をしない」と決めたわけ

INST石野です。

このブログは「なんだ、お前しょぼいな。会社大きくする気ないのかよ。」という批判的な物議を醸す可能性が十二分にあることを理解した上で、かつ結構悩んだ結果書き留めておきたいと思い書くことにしました。

 

2015年3月に創業して1年半のINSTは、今僕を含めて4名の従業員しかおりません。代表兼営業兼何でも屋の僕と、エンジニアが2名、カスタマーサポートが1名の4名です。この人数で120社をちょっと超えるくらいの法人企業様にサービス提供させていただいております。

最近求人媒体や人材ビジネスの会社の方から営業の連絡もちらほらいただくようになったのですが、大変恐縮なことに今弊社は「採用をしない」と決めております。別に零細企業を目指すわけでもなく、ケチるわけでもないのですが、なぜ今、この「全世界採用意欲ガン上がり期」になるべく採用しない、というジャッジをするに至ったのかを書いてみたいと思います。

 

1.一人あたりの生産性を極限まで上げたい

アルバイト採用コンサルタントの小山さんのブログにもありましたが、日本の労働者人口は減っていく一方です。

マクロな視点で「今後の日本を・・・」と考えていくと、成長曲線を描くためにはシンプルに

・夫婦が3名以上の子供を設ける(2名では均して現状維持)

・一人ひとりの生産性を上げる

この2つをしない限り、国家は衰退の一途を辿ります。上のほうは家庭マター(企業や自治体、国でサポートできることもあると思いますが)ですが、下の方は明らかに企業マターです。

ですので、INSTはこの人数でどのくらいまで生産性をあげられるのか極限を突き詰めています

すぐにまとまったキャッシュが入りやすい受託開発や、自分に経験がありまとまった金額が見込める人材紹介を会社の事業にしなかったのは、生産性という観点でレバレッジが効きづらいからです。自社サービスであればレバレッジが効きます。120社のユーザー企業が利用するシステムに追加機能をオプションとして追加すれば、「1」だけ手を動かして「120」利益に繋がる可能性があります。これが受託だとそうはいきません。

また、120社のユーザー企業様が利用するシステムの運用が2名で大丈夫なのか?という意見に対してもカウンターパンチがあります。INSTでは(ある程度キャッシュに余裕が出始めてから)エンジニアの工数を減らすためのツール開発や購入に予算を結構注ぎ込んでいます。仮に10人月が必要だとするならば、エンジニアを10名揃えるより、様々なツールで武装して5人力になったスーパーエンジニアを2名のほうが良いと思っています。

受託開発を行った場合、一人あたりの作業量に対して報酬を得られるので、その業務に従事する人の単価UPを行うか、見積もった作業量以上の仕事を行わせるしか生産性を上げる方法はありません。人材紹介を両面(法人営業も個人側の面談も両方こなす)で行った場合も、特殊技能を取得してヘッドハンティングに近い仕事をしない限りは3-5000万円くらいが限界だと思います。

社員を雇用した場合、給与は会社の成長に併せて徐々に上げていく必要があると思います。受託開発や人材紹介ではそこの限界がある程度見えてしまうと考え、「社員を豊かにする限界がある」ので、最初は辛かったのですが、自社サービスの販売に舵を切ったわけです。

 

2.「採用責任を果たす」ことが企業の責任だと思っている

社員が増えていくことは素晴らしいことです。ですが、社員が増えていくことだけで単純に会社が成長していると勘違いしたくはないのです。採用する人間を「使い捨てのコマ」だと考えてる経営者が少なからずいるのはとても残念なことです。

以前働いていた会社でビジネスが非常に上手くいっている時期に新卒や既卒、中途を積極的に採用しました。ですが、パフォーマンスが思うように出なかったり、担当してもらおうとしていた新規事業がポシャったときに「ってか、あの人なんで採用したんだっけ」みたいな状態に陥るのを何度も目撃しました。「試用期間で契約終了です」というのを伝えなくてはいけないこともありました。すごく辛い経験でした。

パフォーマンスが出なかった人に退職してもらうのはそんなに難しいことではありません。追い込み部屋みたいなのがあったとかネットでも噂になってましたしね。

ですが企業には「採用責任」というものがあります。

パフォーマンスが出なかったら、その個人の責任ではなくて、パフォーマンスを出させてあげることができなかった会社の責任。そう考えたほうが僕にはしっくり来ました。なんでもそうだと思うんですけど、「それは自分の責任じゃないよ」と放棄した瞬間に進歩とか改善とかはなくなると思っているので。

採用したからにはその人の人生に責任を持つ。なので今のINSTではまだそんなにたくさんの方の人生に責任を持つことが難しいと考えて採用を極力控えている理由です。以前のブログにも書きましたが2015年の6月に入社して4ヶ月間という短い期間で退職をしてしまったメンバーがいました。あのときに彼女を退職させてしまったのは企業に体力がなかったから、余裕がなかったからだと本当に反省しています。

僕は採用するときにいつも、その人の家族や人生を預かると覚悟して採用しています。どんなことがあってもこの人の人生を守る。大型の案件失注して給与が払えないから辞めてくれ、というのは絶対に言いたくないので今は採用を控えているというわけです。

 

3.採用しようと思っても簡単に出来るようなマーケット状況ではない

昨今の採用状況の盛り上がり具合は本当に半端ではないです。

どこの会社に行っても「人が足りない」とみなさんが口を揃えておっしゃいます。スタートアップであればエンジニアを始めとしてほぼ全ての職種で。またお客様に多い人材紹介会社様では営業担当・コンサルタント候補。

人数が揃いさえすれば売上が上がるのに・・・・って状態の会社も多いはず。

人員の採用および雇用のために資金調達をする会社もあります。が、本当にお金をかければ採用はできるようになるのでしょうか。採用が難しいこの時代に採用さえできれば、というのはないものねだりのような気がしています。特に駆け出しのスタートアップの会社に転職するという意思決定をするのは生半可な覚悟では出来ないと思います。旦那さんが大手の有名企業に在籍していて、安定した給与と将来が約束されていたのに、名も知れぬベンチャー企業に転職する、と言い出したら殆どの良識ある奥様は反対するでしょう。そういうのが積み重なって「採用できなかったから事業計画どおりに行かなかった」というのは事業計画の時点で「採用ができる」とポジティブに捉えてしまっているのが理由なのではないかと。

なので、天邪鬼な性格の僕はここで敢えて「採用をしない」と決めたらどうなるのか?いうことを自分の会社で実践してみます。

経営者の方であればご存知と思いますが、固定費で毎月出ていく人件費って本当に重たいです。前述の退職してしまったメンバーがやめたタイミングでホッとした気持ちがありました。すごく申し訳ないんですけど。なので、もっともっと会社の売上を大きくしていって「この人は俺が採ると決めた。半年1年掛けてでも絶対にパフォーマンスがあげられるようにできる!」と確信ができるまで、当面採用はしない予定です。

 

4.社員数が多い会社は素晴らしい会社だと思ってはいる

今までの僕の採用哲学をご覧になっていただくと、「大きい会社をバカにしている」と思われるかもしれませんが、決してそう意見ではないことをここで弁明させてください。

従業員数の多い会社は、それだけ多くの雇用を生み出しています。雇用を生み出すということはそれだけですごいバリューだと思います。僕もチンケではありますが、最初に従業員に給与を支払ったときは嬉しくてネット銀行の振込画面をキャプチャしてその彼(今のCTO)に送りました。笑い話になっているエピソードが1つありまして、そのときに撮ったキャプチャに会社の口座の銀行残高が表示されていたのですが、彼に振り込んだ額より会社の残高のほうが少なかったのですwそれを見てCTOが奮起してINST MessengerのプロトタイプであったINST SMSの開発が早まったという説があります。

話がそれましたが、たくさんの従業員に給与を支払えるというのは、それだけ組織としての仕組みが整っており、ある程度どんな人を採用してもパフォーマンスを出させてあげることができる環境が作れているという証拠です。

少し毒を吐くと、多少ボンクラでも、ローパフォーマーがいても許容が出来る、ということだと理解しています。

ある2-300名規模の会社の経営者の方とお酒を一緒に飲ませていただいたときに、

「うちは新卒採用をずっとしているけど東大京大はおろか早慶上智MARCHクラスの人はほとんど入ってこない。世間で行ったら『優秀ではない』と判断されてしまうような人が中心なんだよ。でも、その人達をしっかり育ててマネジメントして、一般的に『優秀だ』と言われる人達と同じくらいのパフォーマンスを出させて、豊かにしてきちんと給与を払う。そういう会社をどんどん大きくしていくのが僕の夢なんだよ。」

と言われてすごく腹落ちしました。と同時にまだINSTもそうですし、僕個人も経営者としてそこまでのレベルに達していないな、と思ったので、まだ採用しない、と改めて決めたわけです。

 

番外編:採用しないことのリスク

当然のことながら採用しないことのリスクも多々あることは認識しております。

例えば、誰か1人退職になったり病気にかかったりしたら、それはそれは大打撃です。ですが、その際にそのメンバーを責めるのではなく、会社の責任・経営者の責任と腹をくくれる覚悟は出来ています。メンバーがたくさんいることで退職のインパクトを分散することは出来ますが、今はそれよりも採用することのリスクのほうが怖い、というしょぼい経営者の独り言でした。

本当に人材をバンバン採用をされている企業の経営者の方は尊敬します。僕も出来るようになったら採用したいです。

それでは。

Kosuke

 

 

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