人材領域における「正しい意味での」ブルーオーシャン戦略
おはようございます、人材ビジネスアナリストのINST石野です。
9月末くらいから、分析系ブログや、ビジネスに関する所感を書いているのですが、「ブログ見てますよ!」と言われることが多くなってきました。すごく嬉しいことです。先日参加させていただいた人材ビジネス交流会でもそうでしたし、営業に行った時も個別に言われたります。本当に有難うございます。そんなみなさんにすごく大事なことを言います。
これはfacebookページ管理者あるあるでもあるのですが、「見てるのであれば、是非ページや投稿に『いいね』をして、できれば『シェア』をしてください!」と声を大にして言いたいですw
皆様がいいね!をしてくださることで、みなさんのfacebook友達にもINST Blogの内容が広がるようになり、PVが増え、石野のモチベーションが上がるという仕組みです。ぜひよろしくお願いします!
さて、今日は先週辺りから話題になっていたブルーオーシャン症候群という渡辺千賀さんのブログ投稿に関連する僕なりの考察です。
ブルーオーシャンという言葉を聞いたことがない、という方はあんまりいないかもしれませんが、渡辺さんのブログを読んでない方はいらっしゃるかもしれませんので、質問してみます。
みなさん、ブルーオーシャン戦略と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
多くの人が
・誰も気づいていなくて
・自分だけが知っていて
・圧倒的なパフォーマンスが出せる
そんなビジネス領域/ビジネスモデルのことだと思っていませんでしょうか。
断言します。そんなうまい話、あるわけがありません。
なので、そのうまい話を見つけに来ようとブログをクリックした方はここで離脱されたほうが良いと思いますw
渡辺さんのブログにも書いてありますように、ブルーオーシャン戦略はそんなことを書いた本ではありません。僕も読んだことありますが。「楽して稼げるビジネス領域を見つけましょう」ではなく、「新規ビジネスをやるなら「今まで存在しない市場」「需要創出」「高利益率の成長」の3つを意識して、継続的な成長をしていけるように頑張ろうね」という内容のものです。
(出展:photo AC)※ブルーオーシャンだと思ったらスゲー漁船がいた、みたいなイメージ。
だって、人材領域って、大手が超寡占してる市場ですよね。
特に人材紹介でいったら、リクルート、インテリジェンス(テンプグループ)、JACジャパン、そしてエス・エム・エスでどのくらい占めているのか知ってますか?
各種決算資料を調べてみると
・リクルート→事業別売上なし
・インテリジェンス→335億円/年
・JAC→93億円/年
・エス・エム・エス→82億円/年
です。リクルートは、単純な紹介だけでインテの倍くらい?かなというイメージなので、600億くらいだとすると
600+335+93+82→1110億円/年
市場予測規模が1300億円程度の市場なので・・・85%が大手4社で独占されている市場だと言えます。85%は言いすぎかもしれないですが、80%はこの4社で占めていると言って過言ではないでしょう。
パレートの法則(いわゆるニッパチの法則といわれるやつ)よりもひどい状態です。そんな業界の中に楽して稼げるなんて職域/領域があるわけがありません。
さて、では本題に戻りまして、渡辺さんのブログを参照しながらブログのタイトルにもあるように、人材領域における「正しい意味での」ブルーオーシャン戦略を考えてみたいと思います。
まず「ブルーオーシャンの発見」は以下の6つに分類される、とある。本に載っている事例もあわせて紹介します。
→これがブルーオーシャンの見つけ方ということですね。
- 代替業界を狙う
- 事例:音声通話とインターネットという代替業界を統合したNTTドコモのiモード、飛行機の代替としての自動車移動客をターゲットとし安価で短距離のフライトにフォーカスしたサウスウェスト航空など
→うーん。
代替業界ある?雇用とか採用に代替が効くとしたら、それこそフリーランス/顧問派遣だったり、クラウドワークスがこの辺の領域を担いそうです。
しかしそれもブルーオーシャンと言い切れるか、と言ったらそうではない気が。
- 同じ業界内の異なる戦略グループを狙う
- 「ホームエクササイズビデオ」を買うけどなかなか実行できない忙しい女性に向け、無駄なものを全て省き郊外立地で小規模な「ジム」を提供することで「ビデオ」市場にいる人に向けた「ジム」を商品化したCurvesなど。
- 既存製品のバリューチェーンの中で違う顧客を狙う
- インシュリンのターゲットとして、医者ではなくエンドユーザを狙ったノボノルディスクなど。
→マッチングビジネスだとこの2つはマージされそうですね
紹介手数料が30%も払えないよ、という企業向けの安価な人材紹介(定額制とか?)、とか。特定インダストリに特化した人材ビジネス。課金ポイントを変えて「推薦課金」「面接課金」などが考えられるかもしれません。この辺は採用成功報酬型の媒体などもありますね。。。
- 補完製品やサービスを狙う
- バス運営は、バスの購入コストよりメンテナンス・修理の方が高コストなことを発見、メンテ・修理が容易なグラスファイバー製のバスを発売したNABIなど。
→補完。。。
採用がリスクだから派遣。派遣で働いてよかったから紹介予定派遣で入社。。。ダイレクトリクルーティングとか?
- 機能性で訴求するか、感情に訴求するかで、今までと違う方を狙う
- 機能第一だった安価な時計市場にファッション性という感情訴求を持ち込んだSwatchなど。(スタバは機能→感情、QBハウスは感情→機能)
→人材ビジネスは「人」を提供する事業領域なだけに、機能と感情を切り離すのが難しそうです。。。
- 今起こっている破壊的技術・ライフスタイルの変化が続いた結果、自らの市場の将来がどうなるかを論理的に考え出し、その市場に訴求する製品を考える
- 違法なファイルシェアリングでの音楽普及という「破壊的技術」を見て、「有料デジタル音楽販売」の市場を生み出したAppleのiTunesなど。
→破壊的技術?ある?Indeed?でもAppleのitunesほどのインパクトではなさそうな。。。
とまあ、ここまで読んでいただくと、「おい石野、ブルーオーシャンの見つけ方って書いておいて結局見つけられてねーじゃねーか。」とお怒りの方もいらっしゃるかと思います。
渡辺さんの言葉を引用しますと
うーん、これって、「すでに成功した戦略」を整理して後づけで説明するための分類であって、この6つでゼロから戦略を作るのは相当難しくないか。
→とのことなんです。これは、本当にそう思います。なんかコロンブスの卵を後で誰かが立て方別に分類したみたいな。
例えば、人材領域には最近有名になったエス・エム・エスさんとリブセンスさんがあります。この2社の事業は正しい意味でのブルーオーシャン戦略に則っていたのではないかと思います。
エス・エム・エスさんは看護師領域での人材紹介に「電話のみでの面談」というモデルで参入し、高い利益を産み出す企業になりました。リブセンスさんは、あのリクルートですらやり得なかった「成果報酬型の求人サイト」というモデルを実行に移しました。そしてこの2社はいずれも東証一部上場するまで成長しています。
また、看護師紹介の事業領域も今や立派なマーケットになっていますし、成果報酬求人サイトもたくさんあります。大手媒体で成果報酬プランを持っている企業も増えてきました。ですが、今考えてみるとその2社のビジネスモデルに斬新さは見受けられませんし、誰も気付かないような事業領域/スタイルではなかったと思います。
おそらくですが、エス・エム・エスさんが電話面談と電話営業のみで看護師の人材紹介をはじめたのは、看護師の離職率の高さと回転の速さ、と病院側の求人ニーズの高さを最も効率的に行うには、電話面談と電話営業がいいと合理的に判断されたからなのでしょう。でも、おそらくリクルートやインテリジェンスが看護師紹介を新規事業領域ということで始めていたら、電話面談・電話営業でやろうというような結論には至らず、マーケットリーダーになることはできなかったでしょう。固定観念が邪魔をしたはずです。営業は足を使って訪問するもの、面談は来社してもらってブースでやるもの。彼らにとっての人材紹介を破壊はできなかったでしょう。エス・エム・エスさんはゴールドクレストとキーエンスの方が創業した会社です。人材ビジネス経験者がいなかったのが功を奏したというケースです。
リブセンスさんでも同様です。成果報酬型なんて人材紹介ビジネスがずっと存在していたのですから、媒体でも成果報酬にしてくれたらいいのにという募集企業側のニーズはきっとあったのでしょう。でも、どの会社も成果報酬では売上の予測が立てられないと実現までは至りませんでした。ジョブセンスが出てきた時に「あのモデル、ウチの媒体でも考えてたのに・・・」と悔しい思いをした方もいると思いますが、そこなんですよ、そこ。実現をしなかったのが行けなかったんです。リブセンスさんも人材ビジネス経験がない、早稲田大学の学生だった村上さんが立ち上げましたね。SEO技術という人材業界の人が弱いスキルで差別化を図り、ネット集客を効率化することで採用成功報酬/営業マンがいない(今はいるらしいです)で上場まで突っ走りました。
こういうのがブルーオーシャン戦略なのですね。
渡辺さんのブログには「ブルーオーシャンに向けて進む方法」は、発見より困難を極める。既存の視点でしか市場を見られない社員の認識を変えていくのか、まだ儲けがないから少ししか与えられないリソース(時間・人員・金)で、どうやって社内関係各所の人員の動機付けをし、社内政治に打ち勝っていくのか。
とあります。
・既存の視点でしか市場を見られない社員の認識を変えていく
・儲けがない状態で社内をモチベートして行く
をビジネスモデルが確立されている高収益体質な人材ビジネスの中で実現していくのは非常に困難だと推測できます。
皆様、おわかりいただけましたでしょうか。今までにない新しい価値が提供できるビジネスモデルを見つけ、信じてやりぬくこと、についての方法論を記した本が、「ブルーオーシャン戦略」なんですね。決して楽して稼ぐ方法ではないと。そんなビジネスをやりたい人は、ブルーオーシャン戦略よりも与沢翼の本を読んだほうがいいと思いますよw
さて、今週も1週間、頑張っていきましょう!
Kosuke
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