利益率という名の魔物について

利益率という名の魔物について

INST石野です。

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人材業界は相変わらずの採用難による好景気で、どこの企業も業績好調なようです。

連日新規のお問い合わせもたくさん頂いており、お陰様を持ちましてINSTの取引企業数も300社を超えました。ありがとうございます。

こういった景気ですので、自分で独立をして起業をする人材ビジネス、特に人材紹介経験者の方が昨今非常に多いように思います。SNSによる求職者集客や、Sardineのようなサービスで求人獲得も容易になっていますし、自分が望むように自由に人材ビジネスをやりたい、という人にはとてもいい時期なのではないでしょうか。

以前、人材紹介会社の立ち上げシミュレーションについてもブログを書き、未だに「人材紹介 立ち上げ」でGoogle検索1位になっておりますが、人材紹介は利益率が高く、ある程度のキャッシュが初期で準備できれば、非常に立ち上げやすいビジネスといって過言はないでしょう。

人材紹介会社出身者の会社立ち上げには数パターンあります

1.自分の理想とする人材紹介をやりたい、と人材紹介会社を立ち上げるケース

2.人材紹介ではない別の事業をやるために会社を立ち上げ、お金を稼ぐために人材紹介をやるケース

3.人材紹介ではない別の事業をやるために会社を立ち上げ、人材紹介もやらないケース

別にどれがいい、どれが悪いということはありません。会社なんて経営者のエゴが具現化したようなものですから、オーナー社長であればどのような会社を作ってどんな事業をやるのかなんて自由ですし誰にも文句を言われる筋合いはないわけです。

1.の場合は、きめ細やかなサービスを提供したいのであえて数名の小さい会社をキープしたり、今までとは違う領域の人材ビジネスで業界TOPを目指し規模感を目指すために社員数を増やす会社など様々です。独立時にビジョンも明確に定めているでしょうし(それが辞めた理由なわけですから)、比較的迷うことなく前に進むことが出来ます。

問題は2.と3.です。

2.の場合、人材紹介ではない別の事業をやるためのお金を稼ぐために「まずは」人材紹介を始める、という会社が多いですが、昔取った杵柄でお金が稼げてしまいますと、なかなか別の事業に投資する、という判断がし辛いのです。人材紹介はご存知の通り利益率が高く、1ショットの売上も高く、基礎行動量(面談数や求人獲得数など)をKPIに設定して管理をすれば、この景況感もありますし、売上が比較的安定します。

そうなりますと、立ち上がっていないけど本当はそっちをやりたかった、という別事業への投資への社内からの反発や様々な軋轢が産まれ、結局人材紹介がメイン事業になる、ということが起きやすいように思います。実際に何社もそういう会社を見ています。これを「利益率の魔物」と僕は呼んでいます。その魔物に魅せられてしまうと、なかなか離れられなくなってしまうのです。

また、3の場合はかなり苦しい戦いを強いられる経営者が多いように思います。と言いますのも求職者をリクナビネクストやDODAなどの大手求人企業のDBから獲得し、人材紹介会社をよく利用する企業の求人にマッチングして収益を得ている会社があまりに多いので、実際別事業で使えるスキルが自分が思ったほど身についていないケースが多いからです。
※もちろん人材紹介以外の事業をちゃんと立ち上げている人もいますけどね。

僕は、インテリジェンスを辞めた後の2社目で、上記のケース2.を経験しました。当時流行っていたMovable TypeというCMSを使って更新が容易で安価な採用ページをたくさん企業に作って更新してもらい、その情報を集約してポータル化する、という事業をやるために転職をしたのですが、見事に2ヶ月ほどで収益の見込みが全然ないということに気付き、人材紹介に事業をピポットしました。インテリジェンス時代は人材紹介をやっていなかったのでまだ良かったのですが、もしやっていたら「なんのためにインテリジェンス辞めたんだ」と思っていたことでしょう。

そして、「出身」という意味で、今のINSTで3.を経験をしています。僕は2.の経験の後に、やっぱりITの仕事がしたいと思い、人材のキャリアを捨ててITの世界に未経験で飛び込みました。受託開発やC向けのサービス企画、そしてSMSビジネスを経験して今の会社を立ち上げました。多分、2.の直後に独立して起業していたら、今のような事業はやっていないと思いますし、今みたいに(そこそこ)順風満帆っぽい会社経営は出来ていなかったと思います。

また、僕は今の会社を立ち上げるときに、人材紹介でお金を稼ぐのは本当の最終手段にしよう、と決めていました。親に借金をしても、融資を受けても、毎月毎月銀行残高が減り続けるという苦しい時期もありましたが、歯を食いしばって今の事業で会社を軌道に乗せる事に集中し、10ヶ月で黒字化することができました。

あの苦しいタイミングで僕が人材紹介に手を出していたら、僕も「利益率の魔物」に魅せられて、初心を忘れ、今INSTは人材紹介会社になっていたかもしれません。

別に僕は人材紹介会社出身者が独立して人材紹介会社をやるのが悪い、とは言っていませんし、別事業がうまく行かなかったら人材紹介でお金を稼ぐことに関しては全く否定しません。会社を継続させて社員を養い続けることはとても大事ですからね。

ただ、別の事業をやる、という部分に惹かれて入ってきた社員がいたとすると、少し可哀想ではありますが。。。

志だけでは飯は食えませんしね。

それでは。

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