[新規上場HR企業分析]美容業界ひとすじ30年、セイファートについて調べてみた

inst石野です。

ブログネタ不足ということで、久しぶりに頭を捻りました。

まずはそもそもブログ、読み物の価値として気づきや共感等があるということ。

そして書く側の都合ですが、ある程度テーマを決めておくことで、漠然と「なに書こう。。。」となりづらくなるかも、ということで新規上場・有名HR企業の決算書や上場承認書を自分なりに分析してみようと。

 

東証の新規上場承認企業の一覧を見ておりましたら、ありました。人材会社。

セイファートさんです。

では一の部を中心にいろいろ新規上場企業を分析していきましょう!

 

創業30年での上場はなにが評価されたか?

昨今、HR景気やVC・事業会社の投資熱の高まりにより、スピード上場が一般的になってきています。こちらの記事によりますと、2020年に上場を果たした企業の設立〜上場までの平均は17年。2000年に比べると6年も短くなっているらしいです。

セイファートさんは1991年設立ですので、なんと30年目での上場となります。

現在のIPOの主流はVCや事業会社からの投資を受けて、急成長をさせることで会社の成長性を市場に評価してもらうようなものが主流ですが、ちょっとそうではなさそうな気がします。ではなにが評価されたのでしょうか。色々と見てみましょう。

 

業績は右肩上がり、というよりはコロナ影響ありつつも堅調

同社の売上をグラフにしてみました。※初めてCANVA使ってみましたw

見ての通り、急成長をしている会社ではなく、年商25億前後で安定推移をしていたようです。が、2020年はやはり店舗ビジネスの美容サロンが顧客になるわけですので、多少の落ち込みをしています。が、経常利益率は5-10%程度を維持しており、売上ががたっと落ちた2020年12月期でも6%後半を維持しており、さすが30年経営されているだけあって堅実で安定感がある印象を受けます。

 

美容マーケットの回復と規模感に高まる期待?

分析系のブログを書こうと検索していると必ずでてくる矢野経済研究所のこのデータによりますと、2020年の美容マーケットは前年比92.7%ということで7-8%ほど市場全体が落ち込んでいるようですので、セイファートは15%程度売上が落ち込んでしまっているわけですが、採用系のサービスということは落ち込みはコロナ禍によるものと断定して問題ないと思います。

また上のグラフ(さっきのページから拝借)を見てみますと、2021年度は2019年と同様の水準に回復すると見込まれています。採用系のサービスは不景気の後リバウンド景気が見込めますので、同社の2021年度決算も2022年2月くらいには出ると思うのですが、良い決算になっているのではないでしょうか。成長前提でないと株式の上場承認は降りづらいわけですが、今後の回復に期待という感じでしょうね。

一方こちらそちらによると、美容室の件数は25万軒以上もあり、コンビニの5.5万軒、歯科医院の6.9万軒に比べてもマーケット規模はかなり大きいようです。

 

やはり求人媒体が強そう。美容師の40%が月1で見に来る求人サイト保有。

事業セグメント別売上は表がなかったのですが、直近2期分はテキストから数字を拾うとこんな感じになっております。

広告が売上の約7割を占めており、主力求人メディアの「re-quest/QJ navi」は月間20万UUを誇るとのこと。美容師資格者が約52万人ですので、美容師の40%が月に1度は訪問する計算になります。競合や美容師以外の人からのアクセスも考えられますが、美容師のなかではかなりのシェア・認知度を持つメディアということでしょう。まあ30年の歴史は伊達じゃないですね。

その他の美容系求人サービスというと、リジョブ美容師求人.comなどがありますが、アルゴリズムと成果報酬でレバレッジを効かせていく戦略のじげん傘下のリジョブ、人材紹介スキームの美容師求人.comとは棲み分けがされているように思えます。リジョブは会員数35万人ということですが、美容・ヘルスケアが混在しますので、美容師限定の会員数が20万人超えているということは無いのではと思います、知らんけど。

ホットペッパービューティーにも求人機能ありますけど、どうなんでしょうね。セイフォートさんとどんぱちやっているのか、それとも棲み分けがされている(ホットペッパーは予約や集客みたいな)のでしょうか。

また、美容師求人.comのページで見つけたのですが、美容師の採用成功報酬は一般的な人材紹介に比べてとてもお安いです。

年収の10-12.5%。しかも返金規定も結構ガッツリ手厚いものになっていますので、かなりシステマチックにKPIマネジメントをしていかないと売上規模は上がらないのではと思います。業界TOPシェア(だろう)と思われるセイファートの紹介・派遣セグメントの売上が1桁億程度なのは美容師特有の離職率の高さによる低単価な紹介手数料が原因ではないかと思われます。

あと、この見慣れない週5日15万円とかの紹介手数料は短期のヘルプ的なやつでしょうね。日々紹介というやつです。株主に日々紹介のパイオニア、フルキャストさんも入っているのも頷けます。

また、創業以来美容専門学校などに配布している、新卒向けの求人紙媒体や就職フェアといった入り口を抑えているのもかなり強そうです。リクルートがホットペッパーはじめる10年以上前から配ってますし。

 

外部株主ほぼなし、オーナー色が強い株主構成

第一位は創業オーナーの資産管理会社でしょう。次いで創業オーナーとその奥さんが続き、約6割を保有しています。幹部とみられる取締役、みずほキャピタルが一部保有しており、フルキャスト、フルキャスト創業者の平野さんと続きます。

デイバイデイはinstと同じ千葉市中央区に本社を構える美容室を30店舗ほど経営する会社です。初期のお客さんだったとかそういう美談があるとグッと来ますね。上位株主の中には数名、役員や従業員ではない人もいるようです。横須賀市の島さん??は公務員っぽい情報がでてきましたが、真偽の程はわかりません。

画像には見切れてしまっていますが、古株と見られる従業員にも適度に分配しているように見受けられます。従業員の平均勤続年数9.6年も人材系にしては結構長めですね。取締役も叩き上げが2名いますし、面倒見の良いオーナーさんなのではないでしょうか。

 

まとめてみますと

・美容師求人ではTOPシェアのプレイヤー
・地道な営業30年で培った地盤は強い
・美容マーケットは大きく成長も見込まれる

ということで初値は公開後の株式にも注目したいですね!

 

それでは。

Kosuke

 

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