なぜ人材ビジネスの生産性が上がらないのか?
21就寝、2時起床がルーティンになってきたINST石野です。
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人材ビジネスの収益性はこの10年大きく変わってはいません。現場で働く大体の人材紹介会社の営業やコンサルタントは年間手数料2000-4000万くらいを稼ぎ、年収300-500万くらいでしょう。
※手数料のカウントは両面でやった場合と想定。
収益性が変わらないのは生産性が上がっていないからなのですが、右を見てもHRtech、左を向いてもHRtechと騒がれているのになぜ人材ビジネスの生産性が上がらないのか?を考察してみます。
業務管理システムを導入しただけで満足している紹介会社が9割
ご存知の通りINSTのクライアントには人材紹介を始めとした人材ビジネスの会社が多く、日々そういった方々と打合せをしたりすることが多いのですが、ほとんどの紹介会社・派遣会社は業務管理システムのASPやSaaS(僕個人としては人材ビジネス向けのSaaSはカスタム納品が多すぎてSaaSではないという持論ですが)を導入して、IT投資はそれで終了、という会社が9割という肌感覚です。
※インフラとして当たり前のメール、スケジューラーなどは導入していて当たり前、という前提。今どき入れてないの経団連くらいでしょ。
集客のためのツールはIT投資というよりも広告費なので、これには含みませんが、本当にそれ以外の業務に関しては極端に「人力」に頼っているように思います。ちょっと頑張って人力でやっちゃえばなんとかなるよね!という意識が強いのかなと。
職人技の寿命はもうすぐそこに迫っている
IT化が進まない原因の1つに職人技を自負する老害コンサルタントの存在があります。
システムを導入したら、もちろんそれを使いこなさないと下手したら導入前より業務効率が悪くなってしまうので、どうしてもそういった老害コンサルタントが1つの導入障壁になってきます。
エグゼクティブ層をバシバシ決めるならまだしも、年収5-600万円代を月1-2名しか決められないような老害コンサルタントがITに疎いようであれば即刻リストラ対象として検討するべきでしょう。
僕の経験則からするとそういった老害コンサルタントは特定の法人クライアントに入り込んで「ワシが推薦すれば面接に進める」とか「内定がしやすい」とかが彼らのバリューだったりするわけですが、殆どが勘違いです。万が一そうなのであればその客は別のコンサルタントに引き継いで他の客とリレーション作れや、と。それやると途端に売れなくなるのが老害コンサルタントです。
外部APIと自由に連携ができない業務管理システムも問題
紹介会社、派遣会社が利用しているシステムは提供会社が国内で数社に絞られ選択肢があまり多くありません。
また、人材紹介・人材派遣は業務が比較的複雑かつ会社によってそれぞれなので納品時にカスタム開発や独自の設定を行わなくては使い物にならないというケースばかりです。そのカスタム開発や独自設定をシステム提供会社しか行えないようになっていたりAPI連携が自由にできないのもIT投資が進まない原因の1つと思っています。
Salesforceやkintoneを使う会社が一部存在するのは自分たちやサードパーティの開発会社でカスタムができたりAPI連携ができたりMA(Marketing Automation)との連携ができたり、つまりはIT投資へのバッファがあるからです。
もし今後、業務効率を上げたいと思っているのであれば、外部システムとの連携や拡張性についてしっかり聞いてから検討することをおすすめします。某紹介会社向けシステムの会社では連携開発してもいないしした実績もないのにあたかも実績があるように「INSTと連携してます」とホラを吹いていました。資料にもウチのロゴ無断で使ってたんで千葉まで社長呼びつけて文句言いましたけど。
生産性が高い会社ほどIT投資をしている
数百社の人材会社に会って話をしてみて思うのは、IT投資をしている会社ほど生産性が高いということです。逆に言えば生産性を上げたいのであれば正しくIT投資をするのが一番の近道と言えます。
多くの紹介会社・派遣会社は集客のためにリクルートやマイナビ、ビズリーチやenを利用しているわけですから、仕入元はほぼほぼ同じなわけですし、採用活動をしている各社は「可能性があるなら」と多くの紹介会社にオーダーしているわけですから、現時点でいいますと集客方法も紹介先も、どの会社もほぼ変わらないわけで。
そんな中で超洗練されたオペレーションで差別化をして圧倒的な生産性を上げたのがエス・エム・エスだったりするわけで、多くの紹介会社も日々オペレーションの改善にフォーカスをしていますが、追いつけないのはエス・エム・エスに比べるとIT投資をしていないから、ということではないかなと。Salesforceをゴリゴリカスタマイズして業務効率UPに余念がない会社と、HRBCやCP2を導入して以上、という会社には差が生まれます。
エス・エム・エス以外で「あー、この会社すげーな」と思った当社のクライアントの紹介会社ですと、コンサルタント(両面)の4人に1人くらいが年間の紹介手数料で1億円を超えているとおっしゃっていましたが、IT投資のレベルが圧倒的に他と違いました。
面談予約のフォームとスケジューラーの連携、ステータスが滞留している求職者や面談前への自動リマインド、などなど、他の会社であれば「そんなの人間がやれば良くない?」という作業をシステム化することでどんどん生産性を上げておられました。
ちなみにそのクライアントは当社のINST Messengerは業務システムとAPI連携をして利用されております。人間が管理画面にログインして送るのではなく、システムがINST MessengerのAPIをコールすることでSMS送信をしているわけです。細かなところですが積み重ねが大きな差を生むわけですね。
業務の可視化、効率化、その次は自動化
では具体的に何をすればいいのかという問いに対して、「INST Messengerを導入すればいい」、と言うのでは芸がないので書きますと、業務の可視化をまずは行っていくべきです。
公私共に仲良くさせていただいている経営者仲間の畠山さんが経営しているBizerで提供しているBizer teamなどが業務の可視化を行えるツールです。
業務をマニュアル化している会社は多いと思いますが、すべての業務に関してプロセスと進捗を可視化できるというのがBizer teamの強いところで、他の会社のサービスではちょっと見当たりません。
可視化の次は効率化です。
INST Messengerは人材紹介の売上達成のためのKPIである「面談設定率」の向上に寄与するツールですが、今回はそういったことではなく、日常の仕事の効率を上げるということを考えますと、簡単にできるのは社内コミュニケーションのチャット化がおすすめです。Slackやチャットワークなど。お客様とのやり取りは流石にメールでやらざるを得ないでしょうから、まずは社内メールを廃止しましょう。
人材会社にありがちな細かな会議を行わなくても良くなりますので会議室不足に悩まされることも少なくなること間違いなし。
面談をオンラインにする、というのもおすすめです。もし僕が今紹介会社を経営していたら面談は全部オンラインでしょうね。様々なツールがありますし、逆にそれを売りにするのもありかなと。「当社は面談はすべてオンライン、あなたの時間を取らせません」とかね。
また、Excelで業務管理をしている、というのは論外です。頭の中で管理している、というのも絶対ダメ。業務システムをしっかり導入しましょう。
最後に自動化。可視化した業務の中で「人間がやらなくても大丈夫じゃない?」というものを見つけてそれをRPAを利用して自動化する、というのが最終ステップです。
INST API Kickerもメール起点でSMS送信や架電を自動化できるツールですが、来季に向けてWebアプリケーションのブラウザ操作を自動化してより業務効率改善に貢献ができるように鋭意バージョンアップ開発中です。
業務の自動化の際に「人間じゃなくて自動化できる業務を探す」というのは結構難しいらしいのですが、もし僕に相談いただければどのような業務が自動化できるのかはアドバイスいたしますし、INSTが開発するRPAにご興味がお有りの方はまだ非公開なのですがご紹介できますので、お気軽にHPのContactからご相談ください。
という感じでしょうか。経営者の方からしますと、今までタスク管理ツールや業務効率を上げるためのツールに投資、という意識がなかった方もいらっしゃるかもしれませんが、人件費を使うくらいでしたらそういったIT投資をしていくほうが今後の経営としては絶対に健全です。
人材業界や人事特有の長時間労働が少しでもなくなるように、INSTは頑張ってまいります!w
それでは。
Kosuke