ミュゼのような「集客コスト高が招く経営不振」は人材ビジネスでも起こりうるのか?

inst石野です。

先日、脱毛サロン大手のミュゼプラチナムが全店舗で営業停止、というニュースを目にしました。

別に僕は脱毛サロン通ってるわけじゃないのですが、どこでも目にするような超大手企業ですよね。人材ビジネスで言ったらそれこそリクルートやパーソルみたいな業界のリーディングカンパニー。

長年、美容業界の広告塔のような存在だっただけに、驚きと同時に「やっぱりか」という声もチラホラSNSで目にします。

一部報道によれば、会社の内部で経営陣の入れ替えがあったり、新たなスポンサーを探している段階とのことですが、
集客にかかるコストが高すぎてビジネスが成立しなくなった」という点にも原因があるように思います。

今回、考察するのは、タイトルにも書きましたが、

「集客コスト高が招く経営不振」は人材ビジネスでも起こりうるのか?という話です。


結論から言えば「起きづらいとは思うけど、油断は禁物」です。

 


顧客獲得合戦の末、構造的な赤字モデルに

ミュゼは「100円で脇脱毛通い放題」みたいな激安キャンペーンで知られ、一時は年間200億円以上もの広告費を使っていたと言われています。

Web広告はもちろん、テレビ・交通広告・雑誌と、あらゆるメディアで目にしましたよね。

人材会社の広告も電車とかではよく目にしますが、それこそめっちゃ金かけてるなというのが誰にもわかるような状況だったわけですから、「集客の鬼」といっても過言ではないでしょう。

ただ、その代償として、1人あたりの集客単価は数万円に跳ね上がるわけですが、本来はミュゼが契約させたい永久脱毛プランを契約する人などはそんなに多くなかったらしく、得られる平均顧客単価(LTV)は高くても数万円(一桁万円)になってしまっていたようです。

数万円で集客して数万円しか稼げなかったら、ビジネスが立ち行かなくなるのは当たり前なわけですが、店舗展開や設備投資も必要ですし、施術する人員を配置しないわけにもいかないわけで、結局首が回らなくなったということですな。

余談ですが、設備投資できないからって、一本一本毛抜きで施術します、みたいな脱毛サロンがあったら一部コアなユーザーが獲得できそうな気もしますが、、、まあ俺はいかないけどwww


人材ビジネスにも集客コストの高騰は起きている

では本題に入りまして、人材業界ではどうでしょうか?

人材業界も、ここ数年でリスティング広告単価の上昇傾向は顕著だと思います。

特にITエンジニアや、どこの会社も着手しだした医療福祉系。

「昔は看護師さんひとり数千円でとれてたのに、もう獲得単価3万円超えてますよ・・・」という話も耳にします。

ホワイトカラーの集客は、概ねスカウト媒体からという紹介会社が多く、ビズリーチをはじめとしたスカウト媒体各社がある程度の制限や規制を設けているので、そんなに獲得単価が爆上がりするという事は起きていないようですが、自社集客をメインにしている会社ですと

・紹介事業免許を取得する会社は増えてきている

・AI活用で広告運用は効果的にできるようになってきた

・そもそもGoogle検索使う人減ってきてる?→SNSやショート動画アプリに流れてる?

みたいなこともあって、集客コストは上がっている、というのは皆さん納得感があるところかなと。


でも、やっぱり人材業界では“潰れにくい”構造がある

ただ、僕は人材ビジネスがミュゼ型の“集客コストによる経営不振”になるか?と問われたら、「ちょっと違うかな」と思うわけです。

理由は主に以下の4つ。

1. スカウト媒体のコスト構造が「後払い」型だから

ビズリーチやdodaのようなスカウト媒体は、基本利用料が比較的安価で、候補者が採用に至ったときにマージンを支払う“成果報酬型”が主流。

つまり、ミュゼのように「お金だけ先に溶けていく」モデルではないということが一番大きいわけです。

紹介先のクライアントからもらう手数料より高い手数料をビズリーチに払う、ということは起きないわけで。

2. 設備コストがほぼゼロ、赤字でも縮小しやすい

また、人材紹介は、エステのように全国に店舗を構える必要はありませんし、オフィスとPCと電話とネットさえあれば事業は行えますので、人件費以外の固定費が極端に小さい。(ので新規参入も多いわけですが)

集客数が落ちても、最悪の場合は人員整理をしてスリム化すれば、すぐに立て直しを行うことが可能です。

撤退コストが低い=リスクが軽いというのは、地味に大きな強みです。

3. 紹介手数料が比較的高額で、利益を出しやすい

紹介手数料の相場は年収の30〜35%。仮に若年層の転職支援をしたとして、400万円の年収なら120〜140万円が売上。
このワンショットがでかいのはでかいです。

ここからスカウト媒体への支払いが数十万円あったとしても、十分に利益が残る設計になっているので潰れにくいわけですね。

また、もし仮にリスティング集客をして求職者を集めていたとしても、面談数や登録数からその後何名くらい決定が生まれるかというのもビジネスモデルがシンプルなだけに算出しやすく、「これ以上集客単価かかったらやばい」というのをある程度早いタイミングで知れる、ということも大きいですね。

4. 価格破壊プレイヤーが成立しにくい

仮に「紹介手数料10%でやります!」というプレイヤーが出てきたとしても、どこのコスト削るの?どうやって集客するの?となって、わかりやすく削れるのは人件費ぐらいしかないので、結局まともに人材が採用できないということがすぐわかります。

ので、 人の採用ができなければ事業は拡大できず、事業が拡大しない以上はマーケットチェンジャーにもなれない。

要するに、「価格破壊が難しい構造」=市場が安定しやすいんです。

※ただしここはAIの登場によって起きる可能性はあると分析しています。その証拠に今まで一般的な人材紹介会社が手を付けてこなかった低年収層の採用マーケットをターゲットにする会社もどんどん成長しています。彼らはAIとIT、そして業務オペレーションで利益を上げる仕組みを新しく作っているわけです。


油断してると死角になる、“集客依存”と“即レス力”

そっかー、人材紹介は潰れないかー、inst石野が言ってたから安心だわ〜

と安心している人は少ないと思いますが、リスクがないわけではありません。


たとえば、

  • バーチカル型の人材紹介(特定職種に特化して集客している)

  • ネット広告メインで集客している紹介会社

こういったプレイヤーは、競合出現による集客単価の高騰の影響をもろに受けやすい。
SEOが落ちたり、広告の単価が跳ね上がったりしたら、一気に集客が死にます。リブセンスさんがGoogleのアルゴリズムで売上ガタ落ちになったのを記憶している人もいるのではと思います。

そういった意味でいうとスカウト媒体依存の会社も要注意です。

スカウト媒体に頼りすぎていると、媒体側のルール変更や値上げがあった瞬間に「詰み」ます。なんとなく動きとしてはエージェント排除&ダイレクト推奨になっていく方向なきもしますよね。

ということは、自社で集客やリードナーチャリングができないと、その先に待っているのはリストラ、そしてその先には廃業が口を開けて待っているというわけです。


集客のバランス、そして“歩留まり”の改善が命

なので、僕が10年間言い続けている「歩留まりの改善」というのはめちゃくちゃ大事だと思うわけです。

せっかくお金を掛けて集客している求職者の人と連絡が取れなくて面談に呼び込めなかった、というのは本当にもったいないわけです。

創業から2024年までは

電話とメールだけで連絡してたらそりゃ連絡繋がらないですよ。SMS使ったらどうですか?

とSMS配信ツールを提供して10年サバイブすることが出来ました。これはやはりここにニーズがあったと思うとともに、あんまりみなさんが気にしてなかった(電話とメールでだめならだめと思っていた)からかなと思います。気にしていた人が少なかった、というのが適切かもですが。

そして去年からは

応募後、即電話しましょうよ。

というのと

営業時間外の応募者にもなにかできることがあるんじゃないですか?例えば翌営業日以降で電話する時間のアポだけ取っておくとか(人力を使わず自動で)

と提唱し始めております。多分これも皆さんが今まであんまり気にしてなかったところかなと。

10年前と同じ流れなのは「感度の高いお客さんから問い合わせがくる」ということです。

お陰様でINST 3BDも順調に導入社数を伸ばしてきてます。

できるできない、今やるかやらないかというのは別にしても、いろんな人材紹介会社を見てきている僕に一度相談してみてください。

広告費をかけて集めた求職者も、放置すれば他社に取られて終わりです。


まとめ:コストは「爆発」ではなく「じわじわ溶ける」

人材ビジネスが美容業界のように派手に爆発することは少ないかもしれません。
でも、「利益がじわじわ削れて、気づいたら赤字体質になっていた」という静かな破綻は、どこにでも起こり得ます。

広告で人を集めるだけじゃなく、
集めた後に“どれだけ決定につなげられるか”という設計のほうが大事です。

これを読んで「うちは大丈夫」と思った方ほど、今一度、自社の集客構造と歩留まり設計を見直してみてください。そしてお問合せをお待ちしております。

今日は宣伝ブログ、ということで。

それでは。

Kosuke

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