Libさんvs新田さんのバトルを見て思うこと
INST石野です。
人材業界界隈では、一昨日くらいからLibの松本さんとブラック企業アナリスト新田さんのバトルが話題になっていますね。
話題になったのは新田さんのこの投稿。ちなみに新田さんもインテリジェンス出身の方ですが、在籍期間被っておらず、その後の交流会で2度ほどご挨拶させていたただけであまり面識ありません。昔は着物(和装)を着ていてすごく穏やかな印象の方だったんですが、ブラック企業を斬りまくるうちに少しダークサイドに行かれてしまったような気もします。TVコメンテーターとかもやってらっしゃる有名人ですね。
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Posted by 新田 龍 on 2016年2月15日
まあ、簡単に言うと、新田さんはLibさんのことを批判中傷するような投稿をFacebookに行ったわけです。
1.他の紹介会社から企業の選考に進んでいた人を自社の推薦者にした
2.子供を持つ女性の転職支援を断った
3.無理に内定承諾を求めてくる(完全にLibの都合で)
ということがあった、と新田さんは主張しており、松本さんは1.についてはキープレーヤーズ高野さんとの間でそのようなことがあった認めたものの全然円満で、2.3.に関しては否定をしているということのようです。
ちょっとどういうシチュエーションで1.が行われたのかはわからないのですが、2.3.に関してはそんなに騒ぎ立てるようなことなのではないかと僕は思っています。基本的にはLibさん擁護スタンス、ということになりますかね。
どんな紹介会社でも、すべての転職したい人のサポートが出来るわけではない
まず、これをしっかり認識するべきだと思います。特に求職者の人が。
様々な手段で紹介会社は転職希望者を募集し、自社が保有する法人クライアントに推薦し、選考を進めてもらい、転職希望者・法人クライアントがお互いに相思相愛になり、入社した時に紹介手数料を貰うというビジネスをやっています。なので、たとえどんな優秀な方でも、その人の希望やキャリアに合致する求人を保有していない場合は、転職支援を行いたくても行えないのです。紹介できる求人がないと推薦できませんからね。
今回は2.で「子供を持つ女性の転職支援を断った」とありますが、おそらく「子供を持っている、という理由だけで転職支援を断った」と思われている転職希望者の被害妄想ではないかと思われます。
例えばこんな方がいたらどうでしょう。
「32歳女性。短大卒業後、金融系企業の一般職として勤務。27歳の時に結婚を機に退職し専業主婦になる。29歳、31歳の時にお子さんを出産。下の子供が1歳になったし、主婦になってから英語を勉強してTOEICスコアを600まであげた。勉強した英語を活かしたいので外資系の企業で一般事務として働きたい。正社員希望。希望年収500万円(退職時年収300万円)。また、保育園の送り迎えがあるので週に2回は11時出社、17時には必ず退社したい。保育園のイベントに参加することも多いので、月2~3回ほど平日に出社できない日がある。」
ちょっとご希望に添える求人はなさそうです。。。とお断りせざるを得ない紹介会社も多いのではないでしょうか。まあ僕が設定したペルソナなんですが、人材紹介経験者からいうと、ちょっとこの人は「身の程知らず」過ぎますので、何社かエントリーしてみて、お断りされまくらないと気づかない系の方かなと。こういう人もたくさんエントリーしてきますので、そういう人をお断りするのは仕方ないことではないかと思います。
特にLibさんは「女性のキャリア支援」を打ち出しているので、期待感を持ってエントリーしてきた人が転職支援を断られるとショックが大きくなってしまって、こういう評判が立ってしまったのかもしれません。
人材紹介会社がやっていることは慈善事業ではなく、ビジネスである
「無料転職相談」というフレーズがなんとなく転職希望者を勘違いさせてしまうこともあるのかもしれませんが、人材紹介会社は慈善事業で転職支援をやっているのではなく、ビジネスで人材紹介を行うことで収益を得ています。
個人からお金を頂戴するビジネスモデルであったら(例えば転職相談が3万円/時間、みたいな)であれば、すべての転職希望者を満足させるような対応をすることが望ましいと思うのですが、限られた時間の中で、採用に困っている法人クライアントに的確に人材を紹介・推薦して、成約まで持っていくということだけが収益を生み出すので、転職意向が高くない(転職するかどうか分かんないんですけどーみたいな)方や、あまりに転職回数が多かったり、キャリア的に受け入れてくれる法人クライアントが少なそうな求職者に関しては、面談すらお断りせざるを得ない状況です。
3.で無理なクロージングがあった、と書いてありますが、僕も人材紹介やっていた時に法人のお客様都合で返答を早めさせたことは実際あります。「どうしてもこの人採用したいからなんとか他のところに入社されないようにしてよ」って頼まれたら致し方ないことではないかと。それが3時間以内に返答を迫られたということでしたら、僕でもやっていると思います。思わぬ飛び火を受けたワークポート林さんも声明を出されておりましたね。林さん、すいません。
Libの松本さんは否定されてますし、無理なクロージングについてはなかったとおっしゃっておりますが、1コンサルタントが1転職希望者の方に発した発言の1つ1つまでは管理してないでしょうし、社長から「おい!無理なクロージングした事あるやついるか!?」と聞かれて「はい、僕やってます」って素直に手を挙げる人もいないでしょうから、真偽の程は僕にもわかりません。
そもそも紹介会社に対しての口コミはあまりあてにならない
以前のJACさんを取り上げた記事でも書きましたが、JACさんですら、登録後の決定率が8.5%です。12名登録してやっと1名転職成功させられていると。と、いうことはJACさんくらいの会社でも91.5%の人には転職成功させてあげられてないということになります。ここでいう登録が全エントリーに対してなのか、面談に対してなのかがわかりませんが、とりあえず90%以上の方は別の紹介会社の推薦で転職したり、転職しなかった、ということです。
そうすると、紹介会社に対してあつまる口コミの90%以上は批判的なものになる可能性があります。レストランに行ったら注文した料理の10品のうち9品がまずかったみたいなw食べログスコアどのくらいになるんだ。
・せっかく登録行ったのに求人紹介してくれなかった
→紹介できる求人がないような方だったのかもしれません。キャリア的には問題なくても高望みしすぎたりしたとか。
・担当の対応が悪い。連絡が遅い。
→売れてるキャリアコンサルタントは同時に数十から100名くらいの方の選考をマネジメントしてるんですよ。。。自分のレスが遅いのは棚に上げて紹介会社に無理強いをしてくる人いますよね。
とか。まあ普通にあることなんですが、割合的にネガティブな印象が多くなってしまうのは頷くことができます。
また口コミで信頼できるのは知り合いや知り合いの知り合いからのいわゆるソーシャルな情報ですが、SNSは日本の人材紹介ビジネスはあんまり相性が良くないです。だって「この前インテリジェンスの面談行ったらすごく丁寧でよかったよ」ってなかなかオフィシャルにFacebookで投稿するのは難しいですからね。そうすると、こういった批判した人本人は匿名で、発言力がある新田さんのような方が爆弾的に落としたりするとこういうことになるのかなと。
おそらくここから10日間は紹介会社さん追い込みの時期
転職は4月入社が1番多いです。なぜか。期の変わり目だからでしょうかね。なので、実はこの2月末は多くの紹介会社様で1年のウチで1番の追い込みの時期です。2月末までに入社意志承諾→3月1ヶ月で引き継ぎ→4月に新会社に入社という人が多いでしょうから。
恐らく、今回の一件を受けて、何社かは注意喚起がなされたかもしれませんが、多分一年で1番無理なクロージングが飛び交う時期であることには間違いないと思います。もし、今紹介会社を使って転職活動をされている方がいらっしゃいましたら、是非、こう思って下さい。「あなたにも人生はありますが、転職コンサルタントにも人生はあるんです」と。
それでは。
Kosuke