人材ビジネスはマイナンバー制度でなにが替わる?基礎から調べてまとめてみた
おはようございます。人材ビジネスアナリストの石野です。
10月から個人に配布が始まったマイナンバー。従業員がいる会社には対応の義務が生じるということではありますが、はたして人材ビジネスにはどのような影響があるのでしょうか?
実務レベルではもう派遣会社の方のほうが詳しいのかもしれませんが、マイナンバー素人の僕が調べてみた結果をまとめてみました。
ちなみにどのくらい盛り上がっているのかを調べてみると
このくらい盛り上がってきています。Googleトレンドで「マイナンバー」で検索してみた結果です。皆さん、これは結構便利ですよ。検索数=注目度合いなので。客観的なデータは上司への説得にも効果的です。
さて、そもそもマイナンバーとはなんなのか。定義から調べてみますと、政府広報オンラインに「マイナンバーとは」のページがありました。
※政府広報のページからキャプチャしました。
要は、日本国民全員にナンバリングするよ、ということです。
君は001238244398番、012984239843番は私、などになるということですね。でもそれは何のためにやるのでしょう。
なんで必要なのかも、さっきのページにありました。
1.行政の効率化
お役所の仕事をスムーズにするためだよ、ということですね。
2.国民の利便性の向上
行政手続が簡素化?よくわかりません。そんなにめんどくさいことありましたっけ?
3.公平・公正な社会の実現
脱税したり、社保の未払いだったり、生活保護の不正給付とかを防止するよ、ということですね。
国民の皆様、僕達日本政府はあなた達の管理監督をもっと厳粛にするためにナンバリングさせていただくことになりました。
ということですね。意訳すると
オメーらwww今度から一人ひとりに番号割り当てることになったからwww生ポ不正に受給したり、保険や税金の未払いとかできなくなっから覚悟しろよwww
日本政府こええwwwwww
そして民間企業に対応を義務付けとかwww
では、具体的になにに使われるのかというと
平成28年1月から、社会保障、税、災害対策の行政手続でマイナンバーが必要になります。
ということです。逆に言うとそれ以外はすぐに対応必要ないということですね。
他人のマイナンバーを不正に入手することや、他人のマイナンバーを取り扱う者がマイナンバーや個人の秘密が記録された個人情報ファイルを不当に提供することは、処罰の対象となるそうです。
社会保険の履歴調べたら個人の勤務状況(正確には社会保険の支払履歴)が確認できたりするものの、それにマイナンバーは利用できない模様です。
なので、もちろんマイナンバーで経歴詐称していないかチェックするなどは無いわけで、労務管理をする必要がない人材紹介会社(のビジネス)には現時点ではあまり関係がないものではないかと思われます。
副業はバレるけど、経歴詐称は暴けないわけですね。そのうち出来るようになったら便利になると思うんですけどね。
それに対して、ダイレクトに影響を受けるのは、派遣社員を雇用して労務管理する必要がある人材派遣会社です。
まず社会保険手続きや税金支払のためにスタッフ全員および扶養家族のマイナンバーを回収する必要があります。
殆どの派遣会社は登録型だと思われますので、以前分析したように営業利益率5%程度だとすると、大手の会社は何千何万人のスタッフ稼動があると思いますので、回収するだけでもかなり至難の業でしょう。しかも今の一般消費者は個人情報に敏感になっているので
「なんで派遣会社にマイナンバー教えないといけないんですか」みたいな押し問答が頻発することでしょう。マイナンバーを預かることにより、個人情報のプライバシーレベルの引き上げも起きると思いますので、個人情報の保護体制ももっと強化していく必要があります。
また、入退社に関しては必ず
・健康保険
・社会保険
・雇用保険
などの手続きが必要になりますし、退社の際には
・源泉徴収票
の発行が必要になり、このオペレーションにマイナンバーが利用されるようになることで、オペレーションコストが一気に嵩むことでしょう。ただでさえ利益率が高くない派遣業において、オペレーションコストの増加は痛手でしょうから、中小の派遣会社は淘汰されてしまうかもしれません。
<まとめ>
マイナンバー導入により、ビジネス的に影響が大きいのは人材派遣会社。オペレーションコストが嵩むだけでなく、今までの業務オペレーションの見直し、プラスして全スタッフのマイナンバー回収という重要ミッションが発生するだけでなく管理コストも嵩む。
一方人材紹介会社にはビジネス上の影響はほぼなし。
という感じでしょうか。派遣会社に優しくないのかもしれませんね、今の日本は。
ちなみに蛇足ですが、個人ベースでは結構影響が出ているようで、なんといっても副業が本業の会社にバレる。というのが一番クリティカルな問題なようです。
知人のT田M人さんがいつぞやfacebookでシェアしていた記事(引用元は東洋経済)によりますと、キャバクラを副業にしているOLさんが、副業が勤務先にバレることを恐れて退職が相次いでいるようで、その経済損失はなんと約972億円にものぼるそうです。すげえ。というか副業キャバ嬢マーケットのでかさがすげえ。記事内にある「筆者によるアンケート調査」をどう行ったのかが激しく気になります。
その他にもクラウドワークスとかで土日はフリーとしてちょこちょこ仕事してる人も多いことでしょう。年間20万円以上の収入を得ていた場合は確定申告をしなくてはならなかったのに、それをやってない=脱税となってしまっているケースなどを防止するための日本政府の策ということですね。失われる経済損失と、きっちり確定申告する人の申告から得られる税収は天秤にかけてシミュレーションしたのでしょうか。
キャバ嬢が2万5000人も減ったらどうするんだよぉぉぉぉぉ!!!
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決してキャバクラに行った時にマンツーで女の子が付く可能性が減ることに対して怒っているわけではありません。
972億円とも言われる経済損失に対して怒りを露わにしているだけです。
まあ、僕はそのようなところに行ったことはないので、あまり関係ありませんが。
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それでは。
Kosuke