Linkedinの買収額に違和感を覚える日本の人達へ
INST石野です。
昨日の人材ビジネスビッグニュースと言えばこれですね。
米MS、リンクトイン買収=ビジネス向け拡充、最大の2.8兆円
に、に、にぃてん、は、は、はっちょーえん!!!???
もうどのくらいの金額なのかわからないくらいの大型買収です。Skypeを買収した時の額が85億ドル=9000億円くらいなので、その3倍以上。
でも、日本の皆さんは(まあ僕も日本人なんですけど)「ちょっと高すぎじゃーねーの?」と思っている人が多いのではないでしょうか。で、なんでこんな額になったのかを、一応海外企業との取引を3年弱やっている私めがちょっと考察してみようかなと思った次第です。
4.3億人のユーザーがいて、アメリカ人は3人に1人以上、でも日本人は100人に1人以下
まずはここです。Linkedinはユーザー数を公開しています。下の画像をクリック。
Linkedinのユーザー数は4億3300万人!すごいっすね。ですが、日本のユーザはざっくり100万人ちょっとしかいません。かたやITビジネスの中心アメリカでは1億2800万人のユーザーが利用しています。次に多いのはインド、ブラジル、中国、イギリスなどと続くんですね(これは俺も知らなかったw)
アメリカの人口は大体3.2億人くらいなので、人口対比で40%くらいの人が使っている計算になります。かたや日本は、1.2億人の人口に対して100万人なので100人に1人。1%以下のマーケットシェアです。
これを15歳以上の労働力人口対比で考えますと
アメリカ:1.62億人
日本:6500万人 このページ参照
なので、なんとアメリカの労働力人口内Linkedinシェアは79%!高齢者じゃない人はほぼ使っているのではないでしょうか。ちなみに日本最大級の求職者DBを保有すると思われるリクナビnextの会員数は591万人とのことので、それでも労働力人口対比では10%以下。Linkedinに比べたら全然シェアとれてないと。
海外ではビジネスの繋がりはLinkedinが普通。Facebookは基本友達とだけ。
基本的にアメリカ人はビジネスの繋がりですとLinkedinだけで繋がります。Facebookは基本的にプライベートなSNSとして利用するので友達だけ。
かたや、日本ではビジネスの繋がりでもFacebookで友達になることが結構ポピュラーですよね。まあこの辺は個人の使い方によって様々だと思いますが、こういう感じのFacebook利用法はアジア圏のビジネスマンが多いような気がします。実際、僕はビジネスで様々な人種の方々と交流がありますが
<Linkedinだけ>
・アメリカ
・レバノン
・フランス
・インド
・シンガポール
<Facebookだけ>
・中国
・香港
・台湾
・韓国
こんな感じでつながっています。Linkedin、Facebookの両方でつながってるのは仲の良い同級生の中国人のSimonだけですね。
多くの採用活動がLinkedinを活用するダイレクトリクルーティングで行われる
とは言ってもそんなに数多くの海外企業の採用活動を見てきているわけではありませんが、Linkedin上は「ウチの会社で人を募集してるよ!」的なメッセージや、ビジネスのプレスリリース、ニュースのシェアなどがほとんどです。Facebookみたいに家族の写真とかラーメンの写真とかのポストはほぼありません。
また、某企業のAPAC支社の立ち上げを見ていましたが、支社の社員数2名から今は3-40名くらいになるまでに採用されたメンバーに「どうやってこの会社の事知ったの?」と聞くと、「社員からの紹介」と「Linkedin経由」が半々くらいでした。その会社にエージェント経由で入った人はごく一部だった気がします。
営業のメンバーも積極的に自分のネットワーク(友達の友達、の友達くらいまで)に「ウチに来ない?」とスカウトを打っていましたね。
日本では転職決めてから仕事探す、海外では常にいい仕事探している
Linkedinが日本で現段階であまり普及していない理由のひとつはこれだと思います。海外のビジネスパーソンは常に自分の職歴書をLinkedin上でUpdateしています。また、知人がスキルのレコメンドをしたり「この人はこういうビジネスマンでこういう部分が優れてるよ」とコメントをじゃんじゃんしています。
日本でリクナビnextの履歴書・職務経歴書を常日頃Updateしている人は、よっぽど熱心に転職活動をしている人だけでしょう。こういう仕事探しの文化の違いがLinkedinが日本にあまり根付かない理由だと思います。
SNS・チャットの利用環境が日本はめっちゃ特殊
もうひとつの理由は日本のSNS・チャットのりよう環境が日本は本当に特殊です。さっき書いたFacebookとLinkedinの使い分けをしないというのもそうですし、こんなにLINEだけ使う人種も特殊です。何でもかんでもLINE。
アジア圏の人達と仕事をする機会が多いのですが、ほとんどの人達は
・WeChat
・Kakao
・LINE
・Skype
などのチャットアプリをいろんなシーンで使い分けています。実際に僕も
・WeChat→中国人
・Kakao→韓国人
・LINE→友達になった人
・Skype→ビジネス
と使い分けていますね。WeChatとか殆ど使わないんで、アンインストールしてたらLINEに「WeChatみてる?」と言われることもしばしば。LINEも日本以外での伸びが鈍化してますし、日本ではユーザー数天井に達してるのでいいタイミングでIPOされたという感じですね。
それでは。
Kosuke