IEのサポート終了について思うことをセンチメンタルに綴る
inst石野です。
SaaS事業者の悩みのタネのひとつでもあった「IE対応」。
6月16日にいよいよIEサポート終了ということで、これは祝杯をあげたいレベルな出来事なわけでありまして、表題の通りセンチメンタルになるというのは全くの嘘です。
個人的には大学生〜社会時2-3年目でWindowsPCを使っていたときも、ひねくれた性格なのと多少のITリテラシーがあったものですから、SleipnirやOpera,Firefox、Lunascapeなどの多少マニアックなタブブラウザなど利用してまして、IEしか対応していないサービス(当時はASPか)を使うときにはFireFoxのIEtabを使うなんてめんどくさいことをやっていたりもしました。
その後2008-9年くらいにMacOSに出会ってからはその美しいUIの虜になったとともに、ブラウザは「Googleが作ったんだって!」ということで初期からのChromeユーザーであります。スマホでも同じくChromeをデフォルトブラウザとして愛用中です。
起業してからはIEを使った記憶はまったくなく、eTaxを使うときにSafariを使うだけですし、2015年の創業時から提供しているINST Messengerでは「対応ブラウザどうします?」とCTOに聞かれたときに「IEだけは非対応にしよう」ということで、当時のSaaSとしては珍しく(?)IE完全非対応のSaaSであったように記憶をしております。
数百社レベルの導入企業数ですと、別にIE完全非対応はそこまで大きい影響はなく、2016年くらいだったと記憶しておりますが、そこそこの規模感の準大手人材系企業で「IEのみが会社で許可されているブラウザでして」と受注後に言われたときは「ギョギョギョ!!!!」とさかなクンよろしく驚愕してあたふたしたわけですが、IE対応どうしよう?と考えていたときに「あ、Chromeでなんとか大丈夫そうです」と言われたときは青天の霹靂と同時に目からウロコが落ちたということで良いオチが付きました。
一応ネット系ベンチャー界隈に所属している身からすると、IEサポート終了なんてのはガラケーサイトが閉鎖になりましたくらいのインパクトなんだろうと思っていたわけですが、一般の低ITリテラシーにはそうではない模様でして
IE廃止でヤフコメは地獄なんだろうなと思ったら地獄だった pic.twitter.com/zOTcDKpQZi
— 佐々伸也(佐-916) (@naoskihund) June 16, 2022
このTweetでもあるように、IEの廃止にSDGsを持ち出すハイレベルなヤフコメの展開に驚愕していれる次第であります。もう貴殿はウイルス感染してカード情報や個人情報までごっそり全部盗まれてみてはいかがでしょうか。
個人的に思うのは、今どきIEを使っている人は「インターネットブラウザって何を使ってますか?」と質問されたときに
・Windowsです
・ブラウザってなんですか?
・デスクトップにあるやつをクリック
・青い”e”のやつです
の4択で回答をする程度のリテラシーの人だと思っておりまして、instでIEを非対応にした経緯としてはそういう低リテラシーの人をお客にしてしまうと、「なんでチャットのみで電話対応してねえんだよぉぉぉ」みたいなことになったり、「あれ」だの「それ」だの自分のPCの画面をこちらが見えているが如くで暖簾に腕押しどころか押し問答になればマシくらいのやり取りが日々発生してサポートが大変になってしまうと思ったから、というのもあります。
対応ブラウザはChrome、Edge、Safariです。
ときちんと説明してから申込書をいただいておりますし、サポートはチャットのみで電話受付していないのですが、IEでは管理画面にログインすらできない仕様になっておりますので、いくら既存ユーザーとはいえ、IEしか持っていない人はログインできない=チャットサポートに質問すら送ることができない様にしたわけです。低リテラシーのユーザーをある意味足切りしたい事業者にはおすすめの対応方法です。
ただ、MicroSoftさんのように超大手企業はそういった低リテラシーのユーザーを簡単に蔑ろにできるわけではなく、Edgeに「IEモード」たるオプションを設置し、IEで使っている風に2029年まではしてくださるそうです。IEを通してみないといけない理由でもあるのでしょうか。TESLAの車体に蒸気機関を設置して走らせたいというような奇特なご要望な気がします。
こういったMS社の対応や、前職で携わっていたimode公式サイトの廃止までの長いアイドルタイムを考えると、サービスのやめ時というのは非常に大事ですし、サービスとして低リテラシーユーザーの面倒を見続けるのは本当に大変なことなんだなと思いました。
事業者としてはサービスの継続利用に責任を持つのも大事ですが、限られたリソースを「廃れゆく過去の遺物」の延命のために割くのは得策ではありませんし、社内でその対応をしなくてはいけないエンジニアやPMの心中たるや多いに察するものがあります。
今後も、例えば身近に迫ってきそうな終了しそうなサービスはたくさんあります。
ガソリン車も僕が死ぬまでには公道を走れなくなるかもしれませんし、紙の本屋もどんどんなくなっています。
古き良き時代を懐かしむのも良いですが、世の中が良くなる際に多少の犠牲が伴うのは仕方がないことです。ビジネスの世界で生きていく身としては、自分が死ぬまでそういった世の中の発展の足かせになることがないようにしようと思ったところで、今日のブログは終了とさせていただきます。
それでは。
Kosuke
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